2026/03/16 コラボ企画

東京・初台「シルクロード・タリム ウイグルレストラン」羊肉の魅力を伝え続けた15年

「シルクロード・タリム ウイグルレストラン」は、日本における草分け的存在のウイグル料理店として、新宿に隣接する京王新線初台駅エリアに看板を掲げて15年。まだ日本で羊肉食が一般的でなかった頃から、オーナーのスラジディン・ケリム 氏は、羊肉中心のウイグル料理が持つ可能性を信じてきた。いかにして羊肉料理が日本で“市民権”を得たのか。味を通じて自国の文化を語り続けてきた、その歩みをたどる。

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※スマイラー119号(2026年2月)より転載

23歳で来日し決断。知られざるウイグル文化を食で伝える夢

オアシス・タリム株式会社 代表取締役 スラジディン・ケリム 氏

新疆(しんきょう)ウイグル自治区(通称ウイグル)出身オーナーのスラジディン・ケリム 氏(以下、スラジディン氏)は、2001年の23才のときに来日。語学留学生だった頃からウイグル料理店経営の構想があったと話す。そこには日本人の大半が、ウイグルのことを知らないという衝撃の体験が背景にある。「出会う日本人の8割以上が知らなかった。モンゴルと勘違いする人もいて…。ウイグルは、モンゴルに文化的な影響を与えた民族なのに非常に残念に思いました」。

そこでスラジディン氏は、その理由をウイグル研究者や大学教授などに聞いてまわる。「モンゴルは大相撲の力士などで有名だけど、ウイグルはニュースになることも少ない。だから日本に文化を紹介する場所を作ってほしいと言われました。ウイグルの食文化は中央アジアなど周辺国と影響し合ってきた歴史もあり、そこから始めるのもいい、と。みなさんも賛成してくれました」。

現代のウイグル人は、主にイスラム教を信仰する。当時の日本には、ハラール(イスラム法で許された食材)に対応した飲食店が少なかったことも出店の強みとなると判断したと話す。その後、大学では経済学を専攻。ホテル勤務も経験してサービス業を学び、着々と準備に備えたようだ。

遊牧民の知恵が宿る羊肉レシピ。日本での商機を確信した理由

羊串の「カワープ」

ウイグル人は羊肉に精通し、他国にないレシピもある。「ウイグル人はもともと遊牧民のため、遊牧しながら動物の研究をしていた民族です。羊肉食を中心にしたのも理由があり、羊のどんなところも料理するんですよ」。

スラジディン氏は、大学時代に、日本人に羊肉が受け入れられるか色々調べたという。「日本の肉食文化の歴史は200年も満たなかった。日本で牛肉はアメリカから、豚肉は中国から広まった。じゃあ羊肉はウイグルからにすればいい。これはチャンスだと」。さらには、ジンギスカン料理店でアルバイトをし、現状をリサーチ。来客の9割は羊肉が初めてながらも評判は上々。“これはいける”と確信する。

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店舗外観

2008年に大学を卒業し、1年以上かけて物件を探した。初台を選んだのは、代々木上原にある東京ジャーミイ(日本最大のモスク)が近く、ムスリムの集客が見込めると考えたからだと話す。開店直後の半年は経営が大変だったと当時を振り返る。ベテランのシェフを現地から招致し、妻と3人で運営。当時の客単価は2,000円位。売上は月100万円ほどで人件費や家賃などのコストを差し引くと赤字だったそうだ。

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国民的麺料理の「ラグメン」

ハラール羊肉は、豪州やニュージーランド産。同店から羊肉のおいしさを広めることができたのもスラジディン氏の地道な努力がある。「初めてお店に来られた方はみなさん『羊肉は臭みがある』と言われます。そんなとき、店の羊肉串(代表的なウイグル料理の串焼き)を、サービスで出したんです。そうしたら『おいしい!』って言われます。ラグメン(羊肉と野菜の手延べ麺料理)なども『この肉は何の肉だと思いますか』と声をかけると『これも羊肉なの?』と聞かれてそうだと答えると、『羊肉ってこんなにおいしいと思わなかった!』と。ここで羊肉料理の文化を日本に広げることができると思いましたね」。

その後、インスタグラムなどで羊肉のおいしさや同店の情報が拡がり、テレビ番組での紹介も相まって客数が飛躍的に増えていったとのこと。客層は日本人が8割。団体客向けにウイグル民族の舞踊・音楽演奏サービスも希望により提供しているが、コロナ禍以降、個人客のリピーターが増えているようだ。

四ツ谷にある2号店のジンギスカン料理店「ジンギスカンたりむ」

2016年には2号店「ジンギスカンたりむ」を四谷に出店。業態を変えた理由は、「ウイグル料理はほぼゼロから手作りだから、人件費が高くなる。目が行き届かなくなって味が落ちてしまうと、自分の民族に申し訳ない。まずは手間が比較的かからない焼肉料理などで羊肉食の文化を広げていこうと思ったから」と話す。店の運営は順調とのことだ。

伝統の味を守りつつ効率化。ウイグル料理のさらなる普及へ挑戦

今後の目標として、ウイグル料理店を増やしたいと語る。手作業の一部を自動化し、コストを削減する調理法などを現在開発中だという。

ウイグルの冬は厳しく、料理の塩分が高めのため、日本では調整しているが、基本のレシピは現地と同じ。スパイスを始め、現地でしか手に入らない食材は輸入しているなか、輸入の規制が厳しくなっていることに懸念しつつ、やむを得ないことと捉えている。「それもこの国の安全のためだから仕方ないと思います。20数年日本に住んで思うのは、“日本のおもてなし”はみんながマナーを守ってきちんとしたキレイな国にしてきたからできることで、最近よく見かけるゴミをポイ捨てし、交通ルールも守らない外国人や旅行者はマナーを守るべきです」とスラジディン氏。

郷に入っては郷に従い、自国の文化を、羊肉料理を通してひたむきに伝えてきたスラジディン氏。これからもさらなる発展が楽しみだ。

取材協力:シルクロード・タリム ウイグルレストラン
住所:東京都新宿区西新宿3-15-103 西新宿パールビル1階
https://r.gnavi.co.jp/8bb057dh0000/


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