※スマイラー119号(2026年2月)より転載
コミュニティ拠点として開業。四つ木をエチオピア文化発信の場に
なぜ四ツ木に出店したのだろうか。その理由は、同店代表者のティベベ・メニバラさん(愛称:ミーナ)の夫でマネージャーを務めるエフレム・ハイレさん(以下、エフレムさん)の生活圏だったからだ。エフレムさんは2004年に大使館で勤める兄を手伝うために来日。しかし日本で暮らす3年の間に自国の政情が不安定に急変。難民申請中の在留資格者として日本に留まることになった。
「エチオピア人は集まって過ごすのが好き。でもこの辺りはちょっとした行く所もない。エチオピア人がたくさん住んでいるのに、自国の文化を見せたりするところもないんですよ。妻と出会って最初はコーヒーショップをやろうかと考えたけど、エチオピア人はコーヒーだけで終わらない。だからみんなにレストランにすればと言われました」。
こうして2016 年に開業。当初の物件は商店街にあり、大家には直接交渉、話は早かったという。「当時は外国人もそんなにいなかったから、いつもそこを通っていたので、誰だかすぐ覚えられるんです(笑)だから簡単でした」とエフレムさん。
低家賃でローリスク経営実現。母国以外のアフリカ人が殺到
開業当初、お客様はほぼエチオピア人のみで、客数も少なく大変だったそう。それでも今までほぼ赤字を出していないそうだ。「ギリギリね。赤字はコロナ禍のときに1、2回くらい」。
開業時にエフレムさんは妻を代表者として会社を設立し、資本金は海外にいる姉から借りた。「まだ返してないんだよ(苦笑)」。そしてエフレムさん自身は、以前フルで勤務していた会社に今もパートで働いている。物件は古い建物で、改装に費用がかかるため、家賃は5万円と格安だ。
さらに開業から4年後の2020年、物件の老朽により退去し、現在の物件に移転した。前借主のバングラデシュ人の紹介ですんなりと契約することができたという。
エフレムさんは、日本人の友人の協力を得て、周知活動に尽力している。徐々にクチコミも広がり、日本人客が増えていった。現在の客層は日本人と外国人の半々。アフリカ系アメリカ人の来客が急増し、驚きを隠せない様子だ。「今まで日本人が多かったんですけど。他のアフリカの人もすごく来るようになってるんですよ」。
客数は増えているが、売上は“まぁまぁ”。その理由は、原価高騰で利益率が下がっているが、客数が減ることを恐れ、価格改定をしていないからだ。土地柄、ビジネスマンのランチ需要も見込めないことから、夜営業のみに変更した。週末の客数は、1日40人程度。週末など忙しい曜日は、調理担当のエチオピア人スタッフ2名と、接客担当の日本人スタッフ1名を使って運営している。
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主食インジェラは日本向けに調整。エチオピアの“駆け込み寺”へ
エチオピア人は辛味が好きだが、辛くないメニューもあり、基本、レシピは現地と同じにしている。酸味の強い、主食のインジェラ(発酵させたクレープ状のパン)だけ、日本人向けに米粉を加えて風味を調整しているようだ。
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また、エチオピア人は時間をかけて食事をするそうだ。取材時も、注文が入ってから提供されるまで30分以上かかっていた。コース注文だと目の前でコーヒーを焙煎して淹れる“コーヒーセレモニー”がセットになっているため、店の回転率は高くない。
それでもエチオピア料理を食べたくて遠方から来るお客様が多いため、個人客を優先し、予約なしの団体客は入れないようにしているという。「普通のお客さんがここまでわざわざ来てくれて、入れないということになると大変じゃん」とエフレムさん。
四ツ木に居を構えてから、地元住民に母国料理を紹介する交流活動は今も続けている。現在ではエフレムさんを頼って同店を訪れる日本人・エチオピア人が後を絶たない。初対面のエチオピア人から突然、困り事を相談され、近所にあるNPO法人のエチオピア協会につなぐこともある。
実際、隣国ジプチに派遣される前に来店する自衛隊員、現地赴任前にエチオピア語を学びに来る日本の国際協力機関職員など目的はさまざまだ。「この間も(日本の)大使のコックさんが、“エチオピアに行くからいろいろアドバイスくれませんか”ってうちに来て…」。さらには、現地で起業したい人に会社を無償で紹介することもあるそうだ。「国の紹介のためにこのレストラン作ったし。みんな帰ってきたらちゃんとお店に来てくれるんですよ。ありがとう、って」。
葛飾から2店舗目へ。日本とエチオピアをつなぐ窓口としての使命
エフレムさんは今、自身の在留資格に配慮し、潔白で堅実な業務展開を心がけている。管理がしやすいフルタイム雇用のエチオピア人シェフを登用し、昼も集客できるエリアで2店舗目を開業したいと話す。「法律を守らないといけない。だからもう確認ばかりです」。
同店も老朽化で退去の可能性があるが、その場合も四ツ木での店舗運営は続けるという。「場所を変えるだけで絶対やる。ここは最初のコミュニティーだから。私はもう日本に慣れたんで、ずっと日本で暮らしたい。子どもたちもここで大学まで出てほしい。こんな安全な国、嫌いになる人いたら、ちょっとおかしい。日本のシステムも好きだし、もし私がエチオピアに戻って、仕事をやるなら日本式で、朝会議(朝礼)して、仕事終わって帰る前に“お疲れ様です”と言って、みんなを集めてしゃべったりとか、そういう風にやりたい(笑)」とエフレムさん。
昨年、18年ぶりに母国に家族とともに戻れたと話すエフレムさんの日本に根を張った取り組みは、外国人経営者のひとつのモデルとして、今後も注目されそうだ。
住所:東京都葛飾区東四つ木3-23-6
https://r.gnavi.co.jp/p6c68kkr0000/map/
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