2011/09/13 繁盛の法則

特徴ある麺類を武器に激戦区で健闘する担担麺専門店とは

ゴマ、酢、野菜類といった健康志向の食材を使った麺類で差別化。東京・本郷三丁目の東京大学赤門付近は、ちょっとしたラーメンストリートの様相を呈し、個性的な個人店から中華チェーン店までが軒を連ねている。

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東京担担麺本舗 瀬佐味亭

入口は狭いが、奥に細長い店舗で、終日コンスタントな集客力がある

Key Point

  1. 新鮮な自家製芝麻醤で香り高い担担麺を提供
  2. 酸っぱくて辛い酸辣麺がもう1本の柱に成長
  3. 健康志向のトッピングやサイドメニューを用意

ゴマ、酢、野菜類といった
健康志向の食材を使った麺類で差別化

東京・本郷三丁目の東京大学赤門付近は、ちょっとしたラーメンストリートの様相を呈し、個性的な個人店から中華チェーン店までが軒を連ねている。その中で終日コンスタントな集客力を見せ、女性客が3 ~4割を占めているのが、栄養価の高いゴマをテーマとする担担麺専門店「東京担担麺本舗 瀬佐味亭」である。オープンは2000年7月で、浅見克己社長が始めたわずか7坪10席の店舗だった。3軒隣の現在地に移転したのは2005年5月で、現店舗は23坪、カウンター席のみ22席を配している。

特徴のあるラーメン店にしたいと考えた浅見社長が着目したのが担担麺で、現在、同店では白ゴマを使った「赤の担担麺」750円、粗挽き黒ゴマを使った「黒担担麺」800円、希少な金ゴマ100%を使った「金の担担麺」1,000円の3種を提供している。それぞれ、ゴマの炒り方、すり方を調整したゴマのペースト・芝麻醤(ジーマージャン)をベースにしている。同店ではこれら3種の芝麻醤を3、4日~1週間で使い切るペースで作っている。この新鮮な自家製芝麻醤により、香りの高い担担麺ができ上がる。麺は細めで、1人前に130gを使用する。食べ盛りの学生の中には、替え玉や、麺1.5倍の大盛りをオーダーしたり、コシヒカリ70%と麦30%で炊いた「畑の麦ごはん」50円とともにしっかりと食べていくお客も多い。

担担麺に次ぐ人気商品が、酸っぱくて辛い「酸辣麺」(サンラーメン)850円である。スープには米酢と五香辣油(ウーシャンラー油)が入っており、ショットグラスで提供される黒酢を好みで加えて食べる。「黒酢が苦手というお客様も中にはいらっしゃいますが、米酢のツーンとくる酸味に黒酢を加えることにより、角がとれてまろやかになるのです」と、本郷店の店長・浅見健太郎さんは説明する。

担担麺、酸辣麺ともに個性的な味であることから、基本のスープは丸鶏と野菜類で取ったあっさりしたものを使用している。このスープをしょう油味で仕上げた「東京らーめん」650円も提供しており、昔懐かしい味わいが特徴だ。客単価は950~1,000円で推移し、麺類のオーダー比率は、担担麺類が6~7割、酸辣麺が3~4割、東京らーめんが1割弱となっている。店頭で煮込んでいる「ほかほか煮込み茶玉子」50円を始め、「小松菜のゴマ和え」400円、「コールスロー」100円、餃子類も店内で手作りし、健康を意識したトッピングやサイドメニューを用意している。そのため、女性だけでなく、食事のバランスに気を配る客層から支持されている。

手前が希少な金ゴマ100%を使い、たっぷりの野菜をトッピングした金の担担麺1000円。奥はキャベツ、ニンジン、玉ネギの入ったお値打ち価格のサイドメニューのコールスロー100円。

創業10年目に2号店を出店
品質の保持と地盤固めに尽力

「当店では創業時からゴマをテーマにしていますし、ある程度健康面も考えていますが、あまりにも油控えめ、味も薄めにしてもうまくいきません。100%健康志向というわけではありませんが、どちらか迷ったときには、体に良い方を選ぶという考え方を基本にしています」(浅見店長)

創業10年を迎えた昨年8月に、2号店の虎ノ門店を出店した。虎ノ門店は17坪19席の規模で、現在は浅見社長が指揮を取っている。芝麻醤や、サンショウ、八角、桂皮、ネギ、ショウガの5つの香りを加えて作る五香辣油などは、本郷店で一括して仕込んでおり、両店で同様の商品が味わえる。創業当初は、浅見社長が毎日2時間ほどかけて中華鍋でゴマを炒っていたが、現在は2店舗分で毎週数十kgのゴマを炒るために、羽根つきの回転釡を導入している。

同店が担担麺、酸辣麺といった特徴のある商品で、ラーメン激戦区で健闘している要因は、以下のようになるだろう。

1炒りたて、すりたてのゴマを使った新鮮な自家製芝麻醤による、香り高い担担麺の商品力で差別化している。
2酸っぱくて辛い酸辣麺を、担担麺に次ぐ商品に育てている。
3健康を意識したトッピングやサイドメニューを用意し、食事のバランスに気を配るヘルシー志向の客層を掴んでいる。

「今後、3店目、4店目と出店していきたい気持ちもありますが、まずは現在の2店舗の基盤を固め、地道に経営していきたいです」と浅見店長は語る。

本郷店では、今年のゴールデンウィーク明けから日祝の閉店時間を1時間延長し、平日と同様、22時までの営業とした。認知されるまでまだ時間がかかるかもしれないが、以前は少なかった休日の客も徐々に増えてきているため、しっかりと定着させ、着実な運営を継続する方針である。

住所
東京都文京区本郷5-25-18
TEL
03-3811-6634
営業時間
11:00~22:30
定休日
無休