2011/07/05 特集

お店の売りを伝え、客を呼び込む!店頭販促のツボ

「一度店に来ていただいたら、リピーターにする自信があります」。だが、客が店に入らないことには何も始まらない。黒板やイーゼル、ポップ、最近ではデジタルサイネージ(液晶パネル等)の設置など、店頭販促(店頭宣伝)にはどの店も様々な工夫を凝らしているだろう。店の前を通る人、店に来た客へ、いかに店の魅力を伝えられるか。2店舗の事例を元にヒントをつかんでいただきたい。

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「一度店に来ていただいたら、リピーターにする自信があります」。だが、客が店に入らないことには何も始まらない。黒板やイーゼル、ポップ、最近ではデジタルサイネージ(液晶パネル等)の設置など、店頭販促(店頭宣伝)にはどの店も様々な工夫を凝らしているだろう。店の前を通る人、店に来た客へ、いかに店の魅力を伝えられるか。2店舗の事例を元にヒントをつかんでいただきたい。東京・六本木

鉄板・炭火焼市場 あぶらぼうず六本木店

毎日開催の"祭"をアピール!「1秒半で読めて10文字以内」が要

その日のメインを「○○祭」と特大文字で書き、(特に通りの向こうの)通行人にアピール

「漁師居酒屋」を追求
本物の大漁旗と墨文字の粋

六本木駅から1分ほど歩くと、大胆に飾りつけられた大漁旗やトロ箱が目に飛び込んでくる。「当店の売りは、全国49カ所の提携漁港から直送される魚介類。〝港町の漁師居酒屋〝のリアルさを追求しながら、路面店の強味を最大限に活かし、テーマ性のある店頭販促を心がけています」と、経営母体のヘンリーブロス株式会社 店舗開発運営部 本部長の薄 裕之氏。

特に目立つのが「○○祭」と、大きく書かれた立て看板の存在だ。2009年9月にオープンし、その3カ月後から、日本各地の一番旬な魚をピックアップ。「祭」として打ち出したところ、早々に売上前月日30%増を実現した。「祭の主役は、日本各地の漁港と直接取引する、とびきり新鮮な魚です。毎日Webで天気図や波の状況を読み、漁獲量や卸値を予想。狙いの港から狙いの魚を、ある程度まとまった量で仕入れるなどの努力をして、リーズナブルな価格で提供し続けたところ、祭目的の来店客が急激に増えたのです」。

看板設置にあたっては、自ら何度も道を往復。通り向こうの人が店を何秒見るかを分析した。「だいたい1秒半でしたね。そこで文字数は、1秒半で読みきれる10文字以内が妥当と考えました。大きな文字は通り向こうの通行人の目を引きつけるためです。店のすぐ前の歩道を歩く方へは、料理内容や価格がわかる、写真を多用したメニューを提示。〝遠近2WAY〝の販促です」。

さらに接客では、着席してから15秒以内で祭のおすすめ品を声がけし、オーダー率はなんと平均87%。祭の魚は、日々完売が続いている。

同社は今年3月、シンガポールに系列の寿司料亭「銀座・黒尊」を出店。9月には静岡県・沼津にも出店計画中だ。「テーマ性の高い販促はリピーター育成の要」と薄氏。「祭システムは各店に導入したい。さらなる進化を狙っています」と、新たな目標を語ってくれた。

大漁旗やトロ箱などは漁港に足を運び、親しくなった漁師さんに譲ってもらった本物。各トロ箱には電球を入れ、夜はライトアップの演出を行なう
仕入れが毎日替わるため、手書きメニュー表が大活躍。また、A3サイズまでのラミネート加工ができる機械を各店舗で導入。チラシをしっかりと保護して、雨の日の対策も万全だ
ランチバージョンのメニュー告知。大きなカラー写真と筆文字でわかりやすく伝える
漁港を訪れた時に撮影した写真を、店内外での販促に活かす。写真は店舗コンセプトを伝え、祭の魚介と連動させるなど、重要な役割を果たしている
〝港町の漁師居酒屋〝らしく、ランチでも定期的に旬魚のフェアを開催し、大好評
店内でも祭の内容を随所で告知。来店時に積極的におすすめし、オーダー率アップ
六本木店をはじめ、姉妹店の外観、内観全般をすべて担当。実際に足しげく港へ通い、漁師と交流を重ね、「漁港の活性化」をも視野に入れた営業展開を考えている
鉄板・炭火焼市場
あぶらぼうず六本木店
東京都港区六本木5-9-22平日はビジネス層、週末は観光客が行き交う六本木の交差点から、麻布方面へのびる芋洗坂に立地。2009年9月のオープン以来、全国49カ所の漁港と提携し、独自の流通網を構築。陸路と空路を駆使し、産地直送で仕入れる魚介を売りにしている

〈コラム〉
数字でアピール!具体的な根拠で説得力が高まる

大阪・梅田の「味道楽弁天本店」が店頭に掲げている黒板。看板メニューのひとつで、客の8割が注文するという「だし巻玉子」を、開店以来の注文数と共に記載。

1日○個と具体的に書かなくても、数の大きさが与えるインパクトは大きく、「食べてみたい!」気持ちを絶妙に刺激する

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