2018/08/07 特集

使い方次第で、可能性が広がる 「動画」はこう活用する!

多くの人にとって身近な情報ツールとなっている動画。販促に活用する飲食店も増えつつあり、動画と料理を組み合わせることで価値を生み出すケースも。そうした事例から、飲食店における動画の可能性を探る。

URLコピー

多くの人にとって身近な情報ツールとなっている動画。写真や文字だけでは表現し切れない情報を効果的に伝えられることから、販促に活用する飲食店も増えつつある。また、プロジェクションマッピングなどの技術を使い、動画と料理を組み合わせることで価値を生み出すケースも。そうした事例から、飲食店における動画の可能性を探る。

店の売りを動画で紹介! お好み焼きの焼き方も動画にし、外国人観光客の心をつかむ

【東京・浅草】浅草 つる次郎

言語の違いを超えて伝わる。動画の高い訴求力を活用

都内でもひときわ外国人観光客(インバウンド)が多く集まる観光名所、東京・浅草に、2007年から店を構える「浅草 つる次郎」。看板料理のお好み焼きは、丸鶏の出汁とヤマイモを加えたふわふわの生地が評判で、学生やビジネスマン、観光客など幅広い層で連日賑わう。また、タブレット端末やスマートフォンで、焼き方を説明する動画を見ながら、お好み焼きを作る外国人の姿も多く見られる。

お店の売りを動画で
店舗紹介の動画は、ぐるなび店舗ページのトップに掲載

この動画は、インバウンド対策の一環として、2013年に店が独自で作ったもの。「当店ではお好み焼きをスタッフが焼くか、お客様自身で焼くかを選べるのですが、特に外国人のお客様は『自分で焼いてみたい』という方が多かったんです。そこで、言葉が通じなくてもわかりやすく解説できる動画の作成を思いつきました」と、店長の浜田圭二氏は振り返る。浜田氏がお好み焼きを作る手元をスタッフがスマートフォンで撮影し、当時在籍していた英語が堪能なスタッフに頼んで、英語のテロップを付けてYou Tubeにアップ。その動画にアクセスできるQRコードのシートを用意し、外国人客に閲覧をすすめている。焼き方がすぐにわかる動画は大変好評で、ホールスタッフのオペレーション改善にも貢献。「以前は、英文と写真で説明するシートを使っていましたが、細かい部分は伝えきれず、スタッフがテーブルを順に回って実演する必要がありました。団体で来店された場合は手が回らないことも多々ありましたが、動画を用意したことで、お客様をお待たせすることもなくなりました」と話す。

また、動画の力を実感した浜田氏は2017年、ぐるなびの動画作成サービスを利用し、新たに1分間の店舗紹介動画を作成した。動画づくりに当たっては、店の売りが何なのかをあらためて分析。お好み焼きにかけたソースが鉄板でじゅうじゅうと音をたてる様子や、カウンターで料理人と外国人が会話を楽しむ様子、落ち着いた和風の客席など、ポイントを絞り込んで作成した。また、小さな子どもが笑顔で食事をするシーンも挿入。子ども連れの来店も歓迎しているというメッセージも込め、ファミリーの集客を図っている。「動画は直感的なものだからこそ、店側が伝えたいことを明確にして作ることが大事だと感じます」(浜田氏)。完成した店舗紹介動画はぐるなびの店舗ページのトップに掲載するほか、店のブログからの拡散も狙い、積極的に活用。また、インバウンド向け情報サイト「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」にも動画を掲出。「店舗紹介動画を見て来店したお客様が、SNSなどでその動画をさらに拡散してくれることも多く、国内外での認知度アップを実感しています」と浜田氏。お好み焼きという日本の食文化を、今後、世界に発信していくツールとしても期待している。

調理のライブ感や和の空間、スタッフの自然体の笑顔を動画で印象付ける。事前に店内の雰囲気がわかり、安心して利用できると好評
明太もちチーズ玉1,220円
お好み焼きの上に明太子ソースをたっぷりかけ、バーナーの火で炙ってより香ばしく濃厚な味わいに仕上げる「明太もちチーズ玉」。動画ではその調理工程も紹介して、シズル感を強調
浅草焼き1,010円
干しエビや切りイカなど乾物の旨味が決め手の名物。動画では、ほかにも数種類のお好み焼きを並べてアピール
店頭でも動画を流し、料理や店内の雰囲気をアピール。動画に興味を持って足を止め、入店する人も多い
お好み焼きの作り方を動画で
YouTubeにアップした動画へアクセスできるQRコードを載せたシートを用意。基本的には来店客自身のスマートフォンで閲覧してもらうが、タブレット端末の貸し出しも行っている
店長 浜田 圭二氏
東京・神楽坂で和食の料理人として腕を磨いた後、2011年に義父がオーナーを務める「浅草 つる次郎」に入店。積極的にインバウンドの集客に取り組んでいる。
浅草 つる次郎
東京都台東区浅草1-20-8 武山ビル
https://r.gnavi.co.jp/b891800/
自慢のお好み焼きともんじゃ焼きには、丸鶏と野菜で3日間かけて煮出したコクのある出汁を使用。調理の様子を目の前で眺められるカウンター席のほか、掘りごたつの広い座敷もあり、外国人観光客に好評。

全3ページ