2022/03/17 特別企画

飲食店の売上アップにはコレが効く…! 伸びているお店から学ぶ成功のオキテ

飲食店を経営する中で「いかに売上をアップさせるか」は、厳しい時代を生き残るための至上命題。その基本的な考え方や具体的な対策について紹介する。

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更新日:2023.12.27

多くの飲食店が抱えるのが、「売上アップ」という課題。その実現のためには、売上予測を立てて実際の売上と比較し、「集客に力を入れて客数を増やす」「メニュー・価格などを見直して客単価を上げる」という2つの方法を検討することが重要だ。店のコンセプトや客層をよく分析し、Web販促やSNSでの情報発信・拡散で集客に努め、回転率を上げるなどの工夫もポイントになる。同時に、客単価アップのためにメニューやサービス内容を再検討して注文率を上げることも大切だ。

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目次

「売上=客数×客単価」。売上予測の算出方法は?
客数を増やすためにはどんなことをしたらよい?
客単価をアップさせるには?

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「売上=客数×客単価」。客数と客単価をいかに上げるかがポイントに!

売上予測の算出方法は?

まず「客数×客単価」で売上を出し、坪単価を把握する

では、こうした厳しい状況下で売上を伸ばしていくにはどうすればいいのだろうか。店の売上は「客数(1日あたりの客数)×客単価(1人あたりが払う金額)」の式で算出される。つまり、売上をアップするためには、

①集客に力を入れて客数を増やす
②メニュー・価格の見直しなどで客単価を上げる

のいずれか、もしくは両方を行うのが一般的だ。

店の規模によって客数や客単価は大きく異なるが、売上の目安になるのが「坪月商(月商÷坪数)」だ。例えば20坪の居酒屋で1カ月300万円の売上があれば、坪月商は300÷20=15万円となる。飲食店を安定的に経営していくためには、坪月商は最低でも15万円は必要と言われている。もし、これより低い場合は早急に集客方法やメニューの価格や内容などを見直す必要があるだろう。

毎月の売上を把握して「どこを改善すべきか」を分析する

売上を伸ばすには、毎月の売上予測を立てて実際の売上と比較し、「どこを改善すべきなのか」を定期的に分析することが大切だ。

毎月の売上予測は、「1日の予測客数(総客席数×1日の平均回転数×席稼働率)×平均客単価×営業日数」で算出できる。例えば全40席で1日の平均回転数が2回、席稼働率が70%、客単価が4,000円の場合、1日の売上は「40×2×0.7×4,000=22万4,000円」となる。営業日数が月25日で日ごとに客数や客単価が一定だとすると、月の売上予測は「22万4,000円×25=560万円」になる。

こうして売上予測を立てて、実際の月商と比べると、客数や客単価が想定より多い(高い)、もしくは少ない(安い)ということがわかってくるはず。想定よりも客数が少ない場合は、販促などを通じて集客に注力することが必要だし、客単価が安いなら、料理やドリンクの価格を見直したり、注文率を上げる工夫が求められる。なお、単純に売上を上げても、仕入れ費用や人件費などのコストに圧迫されては利益が上がらない。正しくコストを把握して削減に努めることが健全な経営につながることも肝に銘じておきたい。

こうした「コストの把握」に欠かせないのが損益計算書。以下の記事、
【飲食店の数字の見方】損益計算書を楽に作るための3つのポイント
では、計数管理コンサルタントの東海林健太郎氏に損益計算書の作り方や諸経費・コストの考え方や算出の仕方を聞いているので参考にしていただきたい。

【飲食店の数字の見方】損益計算書を楽に作るための3つのポイント

現在、多くの飲食店が直面しているのがお金の問題。計数管理コンサルタントの東海林健太郎氏に店舗の数字の見方・操り方を3回にわたり解説してもらう。第1回では、損益計算書の作り方と店舗運営に生かす方法を解説。

では、具体的に客数を増やしたり、客単価を上げるための対策にはどんなことをしたらよいか、見ていこう。

客数を増やすためにはどんなことをしたらよい?

(1)店のコンセプトを明確にする

自店のコンセプトは何かを、明確にすることも客数アップにつながるポイント。例えば、店のコンセプトが「近隣住民が気軽に立ち寄れる普段使いのレストラン」であれば、売上アップのために単純に客単価を上げようとしても、かえって常連客が離れてしまうことになりかねない。それより、日替わりランチの種類を充実させてリピーターを増やす、特典を付けてファミリーやグループで来てもらえる工夫をするなど、コンセプトに合った方法を考えることが重要だ。そのためにも、コンセプトをより具体的に、明確にすることが必要と言える。

例えば、東京・渋谷にある人気居酒屋「蕎麦前酒場 はんさむ渋谷」は、“ゆっくりそば屋で飲む文化を若者にも楽しんでもらう”という明確なコンセプトで他店との差別化に成功。狙い通り若い世代が自家製のそばと日本酒を求めて来店する繁盛店に成長した。コンセプトをいかに店づくりに反映したか、成功のポイントなどを下記の記事、
「そば屋で飲む」粋な文化を発信して坪月商57万円の大ヒット!「蕎麦前酒場 はんさむ渋谷」
で取り上げているので、参考にしていただきたい。

「そば屋で飲む」粋な文化を発信して坪月商57万円の大ヒット!「蕎麦前酒場 はんさむ渋谷」

東京・神泉駅近く、裏渋谷通りにある「蕎麦前酒場 はんさむ渋谷」は、下北沢・用賀にも店を構える「はんさむ」ブランド3店舗目。自家製の九一そばと日本酒、アイデアが光る一品メニューなどをそろえ、若い世代が“そば屋で飲む文化”を楽しみに集う繁盛店に成長している。

(2)来店動機を分析する

また、自店の来店動機を分析することも大切だ。例えば会社帰りのビジネスマンが主なターゲットだが、来店動機を探ると「1人でもふらりと立ち寄れる」ことから女性の割合も高いことに気が付くかもしれない。その場合は女性向けに店の看板メニューを少量ずつ楽しめるレディースメニューを用意するといった方法で、さらに集客につなげられる可能性があるのだ。

そうした、「ターゲットの来店動機を想定した店づくり、メニュー開発」のd例の一つとして「おひとり様ニーズの獲得」がある。以下の記事、
人気です!「おひとりさま」メニュー~限定・専用プラン、“夜定食”などで来店を促進~
では、「一人で食事をしたい」という来店動機(ニーズ)の増加を踏まえて、そうした利用シーンに対応するためのメニュー開発で成功している事例を4つ紹介している。

人気です!「おひとりさま」メニュー~限定・専用プラン、“夜定食”などで来店を促進~

近年、外食業界を取り巻く環境は大きく変わり、1人で居酒屋を利用する人も増えている。「おひとりさま」向けの料理やサービスなどに力を入れている4店舗の取り組みを紹介する。

(3)顧客満足度を上げる

店の客数を増やすためにまず大事なのは、顧客満足度を上げることだ。メニューのラインナップや味、価格、雰囲気、外装、インテリア、接客などにおいて、店に来た時の満足度が高ければ高いほどリピーターになる可能性は上がり、長期的に見ても売上アップにつながる。来店客が「その店ならではの価値」を見出せるように、店の強みとなる部分が何かを明確にし、それを磨く努力をすることが大切だ。

さらに、顧客満足度を上げることはリピーターを獲得する以外に、注文率や客単価アップにもつながる。沖縄・那覇の「もうあしびー」では、自慢の食材を客席で紹介したり、提供時の演出にこだわるなどして顧客満足度を高め、客単価アップにも成功している。以下の記事、
今こそ、顧客満足度を追求しよう お店のこだわり×アピール=客単価アップ!
では、「もうあしびー」以外にも顧客満足度を高めて客単価アップにつなげた事例を紹介しているのでチェックしていただきたい。

今こそ、顧客満足度を追求しよう お店のこだわり×アピール=客単価アップ!

売上向上につながる手段の1つである「客単価アップ」。それを実現するには、お店の売りやこだわりを自然な形でアピールし、客単価だけでなく顧客満足度も上げることが必要だ。3店舗の取り組みにそのヒントがある。

(4)情報発信を強化する

店の公式ホームページやぐるなびなどの飲食店情報サイト、InstagramやFacebookなどのSNSを活用して積極的に情報発信することで、さらなる集客アップが見込める。スムーズな予約につなげるためにWeb予約も設定しておきたい。また、店の外観・内観写真や新メニュー、その日の仕入れ情報、レアな食材・お酒の入荷情報、ユニークな期間限定イベントやキャンペーンなど、消費者の興味を引く情報発信が集客につながりやすい。

SNSの集客事例の一つとして参考にしていただきたいのが、東京・代々木にある「Seafood bar Ermitage」。以下の記事、
SNSで集客&味でリピーターを生む!「とろサーモンレアカツ丼」Seafood bar Ermitage @代々木
では、「Seafood bar Ermitage」が名物の「とろサーモンレアカツ丼」をSNSで上手にアピールし、集客につなげたノウハウを取り上げている。

SNSで集客&味でリピーターを生む!「とろサーモンレアカツ丼」Seafood bar Ermitage @代々木

Seafood bar Ermitage(シーフード・バー・エルミタージュ)代々木店は、人気横浜店の2号店として2023年にオープン。SNSで話題沸騰の「とろサーモンレアカツ丼」を入り口に、確実にファンを増加させている。

(5)回転率を上げる施策を行う

店の回転率を上げることも、売上アップにつなげる方法の1つ。回転率を上げるために心がけたいのは、注文を受けたら速やかに料理を提供することだ。仕込みなどの事前の準備をしっかり行い、調理を効率的に行い、スタッフのオペレーションも万全にしておきたい。注文を受けるプロセスをよりスムーズにするために、POSレジやセルフオーダーシステムの導入を検討してもいいだろう。ただし、回転率ばかりに気を取られてサービスの質が低下したり、客単価が下がってしまうと、トータルとして売上が下がってしまう可能性もあるので要注意だ。

東京・三軒茶屋の「食堂かど。」は、昼夜ともに2回転以上をキープしている。
必見!繁盛店「食堂かど。」2回転以上キープの術はズバリ、予約時間とメニュー
では、「食堂かど。」がどのようにして回転率をあげているかを取材。ランチや昼飲み、ディナーでのオペレーションや店づくりの工夫について紹介しているので参考にしていただきたい。

必見!繁盛店「食堂かど。」2回転以上キープの術はズバリ、予約時間とメニュー

忘・新年会シーズンは、飲食店需要が高まり利益を期待できる大事な期間。少しでも多くの客を受け入れる、または客単価を上げることで1席が生みだす収益をアップさせたいところ。そこで、回転率と稼働率のよい繁盛店の事例を紹介。2TAPS社が運営する「食堂かど。」は、東京・三軒茶屋に10坪という狭い立地ながら月商900万超。どの時間帯も2回転以上させている。

客単価をアップさせるには?

(1)メニューのリニューアルを行う

売上アップにおいて、客数と同じく重要なファクターとなる客単価を上げるにはどんな方法があるのか。その1つとして、定期的なメニューの見直しは効果的だ。従来のメニューを単純に値上げするだけでは敬遠されやすいが、人気メニューをリニューアル、またはグレードアップして金額を少し上乗せする方法をとると割高感が薄れ、客単価アップにつながりやすい。例えば鶏料理で使用する鶏肉を銘柄鶏に変更したり、旬の食材を使った季節限定メニューを用意するといった方法がある。特に限定メニューは「今のうちに食べておきたい」という意識を呼び起こしやすいのでおすすめだ。

大阪・福島にある焼き肉店「福島 焼肉ホルモン こいちゃん」は、オープン後に集客に苦しんでいたが、仕入れの見直しをきっかけにメニューをリニューアルした。以下の記事、
利益を生み出す店づくり(1)~仕入れ・メニューの見直しで集客アップ!コストに対する意識改革で利益体質に!~
では、「福島 焼肉ホルモン こいちゃん」が、おいしくてロスを出さない新メニューなどを開発して集客アップにつなげた成功ノウハウを紹介している。

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安定した飲食店の経営を実現するには、利益をしっかり生み続けることが至上命題だ。仕入れやメニューの見直し、コストに対する意識改革で赤字から利益体質に改善した大阪・福島の焼き肉店の事例を紹介する。

(2)サービス力・演出力をより高める

値上げではなく、サービス力や演出力を高めることで客単価を上げる方法もある。魚を数種類客席に持って行き、調理法を伝えながらおすすめするサービスや、テラス席や屋上に張られたテントに滞在しながらバーベキュー料理を食べてグランピング気分を味わえる演出など、「この店ならではのサービス・演出」を付加価値としてメニューの単価を上げたり、注文率を上げることで、客単価アップにつなげることも可能だ。

ただ、忘れてはいけないのが、特別な演出やサービスだけでなく、基本的な接客が顧客満足度を上げてリピーターを生み、注文率を高めるということ。以下の記事、
接客の心得やスタイルに迫る! できるサービスマンはここが違う
では、ワンランク上の接客を実践する“できるサービスマン”に取材を行い、日ごろ何を考え、営業しているのかを聞いている。

接客の心得やスタイルに迫る! できるサービスマンはここが違う

忘年会シーズンを控え、店のサービスを見直す時期。ワンランク上の接客をする“できるサービスマン”は、何を考えて営業しているのか。接客に定評のある店舗のサービスマンに、その心得やスタイルを聞いた。

(3)追加オーダーされやすいメニューを開発する

ドリンク、デザートなど追加オーダーしやすいメニューや、もう1品注文したいときにすぐに出てくる安価な単品メニューを用意することも客単価アップにつながりやすい。メニュー表や卓上、壁などに「お酒のお供に、もう1品いかがですか?」などの文言を添えて、目につきやすい形で表示しておきたい。

追加注文が期待できるメニューの一つが食後のデザート。以下の記事、
カフェメニューでプラスの売上づくり SNSでの拡散で認知度もアップ!
では、客単価アップにつながっているカフェメニューの成功事例を取り上げているので、メニュー開発のヒントにご活用いただきたい。

カフェメニューでプラスの売上づくり SNSでの拡散で認知度もアップ!

食後に楽しめるスイーツやカフェメニューがあれば、売上アップにもつながる可能性が高い。そこで、カフェメニューを充実させて売上アップやSNSで情報が拡散されるなど、効果を出している事例を紹介する。

(4)料理のランクアップやオプションを用意する

「+300円でコース料理のメインの牛肉をブランド牛にランクアップ」「+500円で本日の刺身盛り合わせ付き」「+1,000円でオマール海老のポアレに変更可能」など、通常のコースメニューなどに追加料金を支払うことで料理のランクを上げる仕組みも効果的。特別感を高めることができて、記念日利用など特別なシーンで選ばれやすく、客単価アップにつなげることができるかもしれない。


(5)セットメニューを開発する

セットメニューも客単価アップにつながりやすい商品だ。ランチタイムなら、単品よりもドリンクや小鉢、サラダ、デザートなどをセットにして「お得なセットメニュー」として打ち出すと注文率が上がり、無理なく客単価を上げることができる。ディナータイムならドリンク1杯+お通し+小皿料理の「晩酌セット」などを作るのもいいだろう。

(6)接客時の声掛けで追加注文を促す

「追加でドリンクをお持ちいたしますか」「こちらが今おすすめのメニューです」「食後にデザートはいかがですか?」などの声掛けで、さりげなく追加注文を促すことも重要。ただし、押し付けにならないように、声掛けのタイミングや言い方には注意を払う必要がある。スムーズな注文につながる自然な声掛けの方法をスタッフ間で共有しておくことも成功のポイントになる。

客単価を上げる上での注意点

こうした施策をする際は、必ず店舗のコンセプトや客層を考え、「どのメニューをどの価格帯で提供すれば、最も顧客満足度が高まるか」を見極めることが大切だ。客単価を上げようと高価格帯のメニューを押し出すばかりで、肝心の味やサービスがおろそかになっては本末転倒。また、原価率が高くても注文率が高いメニューなら集客手段としてそのまま残しておき、原価率が高すぎて赤字になってしまうメニューなら「1日限定10食」にして希少価値を出しつつ注文を抑えるといった工夫も必要だ。

売上アップのために改善できることはいろいろある。まずはこれまで上げたような基本的な考え方や対策を参考に店の売上(=客数×客単価)の見直しを図り、顧客満足度のさらなる向上に努めて「支持される店づくり」に励んでいただきたい。

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