貴重な戦力！の採用＆育成事情 シニア＆外国人スタッフ活躍中！

人材不足が叫ばれて久しい飲食業界において、優秀な人材を獲得すべく、シニアや外国人スタッフを積極的に募集している店も増えている。社員・アルバイトを問わず、戦力として活躍する店を取材し、そのメリットや効果を考察してみた。

CASE STUDY① シニアスタッフ採用編任せて安心の即戦力！豊かな人生経験から若いスタッフのサポートも

【京都・河原町】ぷちももじろう 四条河原町店

1年前から本格的に採用。厨房には67歳のスタッフも

京都・滋賀を中心に居酒屋ダイニングを展開する、株式会社ももじろうグループ。全13店舗の社員・アルバイト数は約200名で、うち50歳以上のシニアスタッフ10名（社員4名）を採用している。シニアの採用は以前から行ってきたが、求人情報媒体に“シニア大歓迎”と大々的に打ち出したのは1年前から。「繁忙期は猫の手も借りたいほどの忙しさ。仕事を探すシニア世代も多いと聞き、積極的に募集しました」と話すのは、人事部長兼店長の芝﨑哲朗氏。シニアスタッフは、社員とアルバイトの双方で募集。応募者は男女半々で、「ぜひ採用したい」（芝﨑氏）と感じる人材ばかりだという。また、求人媒体に限らず、常連客やスタッフの紹介で採用するケースもある。現在のシニアスタッフは、50代を中心に、最高齢は67歳。みんな元気に活躍中だ。

グループ内の一店で、京都きっての繁華街にある「ぷちももじろう 四条河原町店」では、採用面接時、元気と愛想が売りの居酒屋であることや、スタッフは若い人が中心であることを明確に伝えている。これを理解してもらったうえで、シニア自身に、ホール、もしくは厨房（調理補助・洗い場）の選択を委ねている。社員の場合は、希望の持ち場で3カ月間の研修を実施。各店舗により営業時間が異なるが（「ぷちももじろう 四条河原町店」は朝5時まで営業）、芝﨑氏は「気がかりは体力ぐらいです。研修期間中は、仕事内容と体力的な適性を見た上で、希望を考慮し、配属店舗を決めています」と言う。

一度採用したシニアスタッフが、途中で仕事を投げ出したケースは一度もないと芝﨑氏。「全体的に言えることは、とにかくまじめで責任感が強い。一度お願いしたことは必ず守ってくれるし、仕事に対する姿勢は見習う点がたくさんあります」と、評価は高い。もちろん、遅刻もなければ無断欠勤もない。そんなシニアスタッフの「かがみ」といえるのが、同店で働き始めて10年になる最高齢（67歳）のアルバイト、廣谷幸雄氏。本業を別に持つダブルワーカーとして洗い場に入り、現在、週に5日、一日平均5時間勤務している。廣谷氏は、夜中の2時から50名の宴会が入ることもある店にとって、なくてはならない存在だ。「忙しい日に廣谷さんがシフトに入っていると、安心できます。洗い場の仕事が滞らないので」と、芝﨑氏は全幅の信頼を置いている。廣谷氏は「仕事ですから真面目に一生懸命やるのは当たり前。洗い場はていねいに作業し、なおかつ遅れないことが、いちばん大事」と話し、実際に誰よりも仕事が早い。

信頼の置けるシニアスタッフは、会社に多大な利益をもたらしている。採用後は人材不足の悩みも軽減し、「今後もシニアを積極的に採用していきたい」と芝﨑氏。戦力となる人材との出会いを、年齢を理由に失いたくないと考えているからだ。また、業務上のメリットだけなく、20代の店長の悩みを聞くなど、若いスタッフの精神的なサポートにも一役買っている。世代を超えた交流も盛んで、スタッフ同士の宴会や、運動会も開催。廣谷氏をはじめとしたシニアスタッフも参加し、若い世代と積極的に交流を図っている。