2019/03/12 特集

店長必読! この春、役立つ! チームマネジメント講座

人材が入れ替わる春は、店としてのチームづくりを一から始める時期。店長はチームをどうマネジメントしていけばいいのか。飲食店コンサルタントの山川博史氏に、5つのテーマでチームづくりのコツを聞いた。

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一般社団法人これからの時代の・飲食店マネジメント協会 代表理事 株式会社オフィスヤマカワ 代表取締役 山川博史 氏
23歳で飲食業界に入り、27歳で独立。東京・大阪を中心に居酒屋業態などを10店舗展開。その後、本格的にコンサルティング事業を開始し、現在は複数の会社経営に携わり、クライアント店舗数も300店舗を超える。また飲食経営者や幹部がコンサルタントとしても活躍するためのパーソナルキャリアプロジェクト「一般社団法人これからの時代の・飲食店マネジメント協会」の代表理事として、飲食店経営者の飲食店コンテンツ事業展開やコンサルティング事業構築出版プロデュース・監修を行っている。近著に「これからの飲食店マネジメントの教科書」、監修書「これからの飲食店集客の教科書」(ともにDO BOOKS)がある。

Lesson1「自己分析」 求められるリーダー像を理解し、自分自身や店の現状把握を!

新メンバーを迎える春は、チームを見直すチャンス!

 春は、多くの店でスタッフが入れ替わる季節。主力メンバーだったベテラン社員が異動や退職で店を離れることもあれば、転職や新卒採用などで、新たにチームに加わる人もいる。学校の卒業に伴って店を“卒業”するアルバイトがいたり、経験を積んだスタッフに替わって、「アルバイト自体が初めて」という新人が入ってくるケースも少なくない。そういう意味で、1年のなかで、チームの力がもっとも不安定になる時期といえる。

 しかし、「この時期は逆にチャンスともいえます」と語るのは、飲食コンサルタントの山川博史氏。「新しいメンバーが入るこのタイミングに、チームマネジメントの方法を見直すことで、これまで以上にスタッフが成長し、意欲的に働けるチームを作ることも可能だからです」。では、そもそも「チームマネジメント」とはどういうものか。山川氏は、「常識や文化の違う人の集まりに対して、それぞれの特徴をつかみ、計画的なコミュニケーションのもと、同意を取りながらひとつのプロジェクトを達成させること」と定義する。特に飲食店は、社員よりアルバイトの割合が多いことも珍しくなく、それぞれの仕事への意欲や目的も様々。「年代も価値観もバラバラのスタッフをまとめなくてはならない店長には、高いレベルのマネジメント能力が求められるのです」(山川氏)。

 にもかかわらず、「多くの店長がマネジメントのノウハウを学ぶ機会を与えられていません。そのため、どうやってチームづくりをすればいいかわからず、自分が受けた指導法や経験を頼りにするケースがほとんどです」と、山川氏は断言する。それでも、かつては店長の自己流のやり方でもついてこられる人がほとんどだった。「“見て覚えろ”というスタイルだったとしても、スタッフは受け入れましたし、店長のやり方についていけずにスタッフが辞めても、代わりの人材はすぐに採用できました。でも、今はそうはいきません」(山川氏)。近年の深刻な人手不足によって、飲食業の採用は厳しさを増している。せっかく採用した人が店になじめずになじめずに辞めてしまうと、代わりの人材は簡単には見つからない。「チームを成長させつつ、意欲を引き出し、定着させる力が不可欠です」と、山川氏は力説する。

まず、自己分析をし、店の現状を把握しよう

スタッフのやる気を引き出す店長の要件
①技術=仕事のスキル
②考え方=物事を前向きに捉える力
③伝え方=わかりやすく伝える力
④聞き方=相手への理解を示す力
⑤人間性=感情のコントロール
⑥容姿=清潔感や身だしなみ
⑦忍耐力=成長を待つ粘り強さ

 では、この春、店長がマネジメントを見直そうと考えたときに、何から始めたらよいのか。山川氏は、「まずは“スタッフのやる気を引き出す店長の要件”(上記)を基に、自己分析をしてみてほしい」と言う。その要件とは、「技術」(仕事のスキル)、「考え方」(物事を前向きに捉える力)、「伝え方」(わかりやすく伝える力)、「聞き方」(相手への理解を示す力)、「人間性」(感情のコントロール)、「容姿」(清潔感や身だしなみ)、「忍耐力」(成長を待つ粘り強さ)の7つ。「仕事はできるのに、すぐ感情的に怒鳴ってしまうなど、どれか一つが欠けても、よいリーダーとは言えません。すべてが秀でている必要はありませんが、7つのバランスが重要です」と、呼びかける。この7つについて自分の得意分野や弱点を客観的に見つめ直し、日々の業務のなかで改善する意識を持つことが大切だ。

 次に山川氏は、「店の現状を把握するために、スタッフの人物相関図を作ることをおすすめします」と語る。各スタッフがどんな関係か、誰が発言力を持っているかなど、漠然と感覚で把握しているものを実際に書くことで、チームをまとめるためのキーマンなどが見えてくる。「自分が普段どれだけスタッフを観察できているかを知る機会にもなります」(山川氏)。

 そして、この相関図を基に考えたいのが、「チームをまとめていく際に自分をサポートしてくれる『バディ(相棒)』を見つけること」と山川氏は言う。「チームのマネジメントは、自分一人でやろうとしてもうまくいきません。リーダーをフォローしてくれるバディを探し、協力体制をとることが肝要です」。課題が出たときも1人で悩むより、バディに相談して複数の視点からアプローチしたほうが効果的。バディの人選の基準は、「リーダーと価値観が似ていること」「スタッフへの発言力があること」などとともに、ただの「イエスマン」ではなく、リーダーの勇み足や間違いを指摘できる人物であることも、重要なポイントになる。

春からのチーム作りでまず行いたい準備項目
●セルフチェック
上記の「スタッフのやる気を引き出す店長の要件」について、自己分析する。
●スタッフの相関図を作る
既存スタッフの人間性や関係性を相関図に書いてみて、チームづくりの土台として活用。
●バディにする人物を見つける
店の方向性を共有できる人をバディにして、協力体制を作る。イエスマンはNG。

 自分の弱点の克服にしても、マネジメントの方法にしても、いきなりすべてを変えるのは難しい。「春からマネジメントの方法を変えても、効果が現れるのは半年後くらいと考え、“忍耐力”を持って取り組んでください。まずは、自己分析をして自分や店の現状を把握するのが第1歩です」と山川氏。そのうえで、次ページから紹介する「コミュニケーション」「ミーティング」「目標設定と評価」「仕事の任せ方」など、具体的なマネジメントのノウハウを理解し、年末の繁忙期に向けてチーム力を最大化できるよう、チームづくりに取り組んでほしい。

■ONE POINT ADVICE
いい雰囲気で新人を迎え入れる準備を!


 せっかく新人を採用できても、最初の対応を間違えると、早期離職につながりかねません。新人の迎え方もマネジメントの大事なポイントです。

 大切なのは「なじみやすい環境づくり」。新人の中には「大変そう」「高い意欲がないと、浮いてしまいそう」と感じると、尻込みする人もいるため、いかに「働きやすさ」「なじみやすさ」「楽しさ」を感じてもらえるかが、重要です。

 そのための第1歩が「挨拶」。もし、「挨拶は、新人や後輩から先輩にするもの」という風潮が店にあるなら、すぐにあらためるべき。先輩から笑顔で挨拶するだけで、安心感を与えられるものです。ただし、目だけの挨拶や、首を動かすだけのおざなりな挨拶では、“ウェルカム感”を伝えられません。そこでおすすめなのが「分離礼」。相手の目を見て「こんにちは、山川です」と自己紹介をしてから礼(おじぎ)をする方法で、相手に気持ちが伝わりやすく、好印象につながります。

 また、新人が疑問に思うであろうことを事前に想定しておき、「○○については●●さんに聞いてね」などと伝えておきましょう。質問することで自然に先輩との会話が増え、チームの輪に入りやすくなります。既存スタッフにも「○○について教えてあげてね」と伝えておき、一人ぼっちにさせないことが大切です。先輩からの声かけや分離礼が定着すると、いい雰囲気や定着率アップにもつながるのでチャレンジしてみてください。

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