2020/02/12 特集

若手スタッフの育成&コミュニケーション 小さな成功の積み重ねとフォローが成長と定着につながる!(3ページ目)

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育成担当者を決めるとともに、スタッフ全員でサポート

全員が成長に関わる体制を構築することが大切

 若手スタッフが育つ理想的な組織のあり方として三浦氏は、「1対1対nの育成」を挙げる。これは下の図のように、若手スタッフと育成担当者の「1対1」の関係に加えて、店長である店舗責任者やほかのスタッフも「n(複数名)」の立場から、全員で育成をサポートする組織を指す。

 ここでのポイントは、店長が若手スタッフの育成に直接関わるのではなく、できれば育成担当者を別に1名置くこと。「店長は売上管理や顧客対応、労務管理など、常に目を配らなければいけない範囲が広く、加えて若手スタッフの育成も担うとなると手が回らず、指導が後回しになってしまうこともあるでしょう。そこで、現場で一緒に働く先輩スタッフを育成担当者とすることで、若手スタッフへの細やかな目配りやフォローが可能になり、また若手スタッフにとっても、店長よりも年齢や立場が自分に比較的近い先輩が指導してくれることで、安心感や居心地のよさにつながり、指導への納得感が高まるメリットがあります」と三浦氏は解説する。

 そして、「n」であるほかのスタッフのサポートも重要だ。若手スタッフと育成担当者の「1対1」の関係性のみでは、仮に若手スタッフが指導された内容に対して何か疑問に思うことがあったとしても、ほかに相談する相手を見つけられず、わだかまりが残ったままになりやすい。また逆に、特定の育成担当者を決めない「1対n(複数名)」の関係性だけでも、若手スタッフが困りごとや疑問を誰に聞けばよいのかがわかりにくく、指導する人によって言うことが違うといった問題も生じがちで、結果的に十分な育成指導ができない状況になりやすい。だからこそ、若手スタッフと育成担当者の「1対1」を基本としながらも、店舗のスタッフ全員が育成に関わる「1対1対n」の体制を作り上げることが重要になる。「育成担当者には、現場のエース社員や次期店長候補、スタッフのリーダーなどを選ぶとよいでしょう。役割を任せる際には、若手を育成する経験が育成担当者自身の学びや成長につながることや、職場全体でバックアップすることをしっかりと伝えることも大事。そして店長は、育成担当者を信頼して指導を任せるとともに、常に状況を把握してサポート役に徹することが大切です」(三浦氏)。

 さらに、若手スタッフ本人がどう成長したいのか、何を求めてこの職場を選んだのかといった意向や目的を、店長、もしくは責任者が最初の面接で聞き出し、育成担当者へ情報を共有することも大切だ。その目的に対して、行動を紐付けて指導すれば、効果的に成長につながっていくという。例えば、「お金を貯めて旅行がしたい」という目的であれば、「うちのお店でお金を稼ぐには、テーブルセッティングを覚えたり、お出迎えができるようにならないとね」などと、目的を実現するためにやるべきことを伝えると、行動につながりやすい。逆に、最初から「店の売上に貢献してほしい」「成果を出すように」と話しても、理解されないことが多い。提示される目標が大きすぎるため、そこに自分がどう関わったらよいのかイメージができず、モチベーションに結び付きにくい。

 「これまでのようなトップダウンの指導ではなく、若手スタッフが悩んでいることや考えていることを引き出しながら、店全体でていねいに育成サポートしていくことが不可欠です」と三浦氏は助言する。

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