2020/02/12 特集

若手スタッフの育成&コミュニケーション 小さな成功の積み重ねとフォローが成長と定着につながる!(4ページ目)

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成功体験を積ませ、成長へ導く

プロセスもきちんと評価し、成長を認識させる声かけを

 若手の育成において、従来は「失敗から学ばせる」という考え方が主流だったが、これはもはや時代に適さない。「前述した『Z世代』の傾向として、一度失敗すると長く引きずってしまい、その結果、職場が自分にとって居心地の悪い空間になり、別の場所を求めて辞めてしまう、という選択をしがちです」(三浦氏)。

 株式会社シェイクでは毎年、新入社員研修の受講者約2,000人にアンケートを実施し、分析結果をレポートとして発表。そのレポートで、2018年度の新入社員の特徴と職場での関わりをまとめたのが上図だ。これらの特徴を踏まえ、三浦氏が育成においてすすめるのが「小さな成功体験を積ませる」ことだ。「ここでいう『成功』とは、結果だけを指すものではありません。例えば、本人が工夫して実践したことなどプロセスにも目を向け、こまめに声をかけて褒めることが大切です。すると、『努力の過程を見てくれている』という安心感や自己肯定感が得られ、成長につながります」(三浦氏)。ほかにも、本人が意識せずに行っていることや、来店客やスタッフにとってプラスになっている行動があれば、言葉で示して気づかせることも効果的だ。こうした小さな成功体験を重ね、着実に自分が成長しているという実感を持てるようなサポートが求められる。

 もちろん、育成においては褒めるばかりでなく、ミスや適切ではない行動があれば、注意しなくてはならない場面も出てくる。このときも、まずは行動の意図を聞き出し、それを尊重することが大切だ。例えば、来店した人がいるのに、近くにいる若手スタッフが声をかけず、黙々と片づけている場合、「その作業は後でいいから、お客様を案内して」と指導するだけでは、成長にはつながりにくい。「育成担当者の視点では不適切な行動に見えたとしても、そこには本人なりの基準や考えがあるのです」と三浦氏。「なぜ片づけをしていたのか」、の意図を聞けば、「以前、お客様が帰ったらすぐ片付けてと言われたから」と答える可能性もある。育成担当者がその行動の背景を理解したうえで、そのときの状況をあらためて一緒に振り返れば、優先して対応すべきだったのは何だったのかが理解でき、状況に応じて仕事の優先順位を判断することや、周りに目を配る大切さを認識できるようになる。

 また、指導を行う際には「ここができていない」と指摘するのではなく、「こんなふうに変えれば成長のステップになる」と、前向きに伝えることも重要だ。「指導者から見て『できていない』と思うのは、期待する姿とギャップがあるため。しかし、それは一方的な期待の押しつけでもあります。ギャップがあるのは当然のことであり、そこを埋めるステップをいかに具体的に、わかりやすく伝えるかが大切です」(三浦氏)。相手の意図を尊重しつつ、ミスやできていないことをネガティブに捉えずに接することで、若手スタッフは自分を否定されたという感覚を持つことなく、納得してアドバイスを受け入れやすくなる。

 「『背中を見て学べ』という環境で育った世代からすると、ここまでていねいな指導には違和感があるかもしれませんが、こうしたステップを踏んで成長を実感させることが、職場への信頼感に結びつき、定着にもつながります」と三浦氏。ていねいな育成や密なコミュニケーションが職場の居心地のよさとなり、それが接客や店舗力の向上につながっていくことを認識したい。

職場のルールを守ってもらうには、責任者の一貫性が重要!

 勤怠など職場におけるルールや行動規範はどの店舗にもあるが、守ってもらえないケースも。若手スタッフには、最初に明確に説明することが大切だ。その際、「こんな店や会社を目指していくために、このルールがある」と、背景や理由も含めて伝えると納得感が高まる。マニュアルについてもどんな目的で作られたのかをしっかりと伝えるようにしたい。

 ルールを運用するうえでもっとも大切なのが、責任者の一貫性だ。「人によって対応や態度を変えることは絶対にNGです。例えば、Aさんの遅刻は大目に見て、Bさんには厳しく指導するといった一貫性のない対応は、スタッフの不満や不信感にもつながります」と三浦氏。ルールの改訂や個別の対応が必要になった場合は、スタッフ全員で意見交換し、総意で決めていくと受け入れやすくなるので、ぜひ取り組んでほしい。

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