2017/11/28 特集

宴会シーズンにファンを生む! 心をつかむ接客力

宴会シーズンは新規の来店客も増加し、接客時のちょっとした対応で店への印象はよくも悪くもなる。予約対応から退店時の見送りまで、来店客に「また来たい!」と思わせる接客の工夫を3店舗の事例から紹介。

URLコピー

宴会シーズンは新規の来店客も増加し、接客時のちょっとした対応で店への印象はよくも悪くもなる。予約対応から退店時の見送りまで、来店客に「また来たい!」と思わせる接客の工夫を3店舗の事例から紹介。

幹事をサポートする宴会コンシェルジュがリピーター獲得に貢献

【新潟・長岡】和ダイニング 朔(さく)

予約の内容は専用シートに記入。歓送迎会や記念日など主役がいる会かどうかなど、宴会の主旨を確認し、料理の要望にも臨機応変に対応

ニーズを先読みしつつ、黒子に徹して満足度アップ

新潟のJR長岡駅から徒歩5分の立地に2010年オープンした「和ダイニング 朔」。20名の宴会が可能なテーブル席の個室などを備え、ビジネス層を中心に集客。コースは4000~6000円で4種類を用意し、来店客の約9割がこれを利用している。

そんな同店では、2015年からホール担当の社員3名を「宴会コンシェルジュ」と名付け、幹事をサポートしている。「幹事様の負担を減らしたいと、このポジションを作りました。3人とも当店で何千件も宴会を経験し、様々な要望に対応できる人材です」と、代表の山﨑武雄氏は笑顔を見せる。

まず、予約の電話は必ず宴会コンシェルジュが対応。歓送迎会や記念日など宴会の目的をヒアリングし、コースの料理も要望に応じて変更する。「歓送迎会では花束の手配も承っており、主役の方の性別や年齢、好みを聞き、どんな花がよいかを考えて用意します」と語るのは、宴会コンシェルジュの佐藤佳奈氏。当日は、少し早めに幹事に来店してもらい、簡単な打ち合わせも行う。挨拶や余興などがある場合、いつ、誰が行うかを確認し、それに合わせて料理提供のタイミングを調整している。

一方、ホールスタッフ全員で徹底しているのが、ドリンクを一人ひとりに手渡しするというもの。この理由について佐藤氏は、「別のお客様に回していただいたり、『○○をご注文の方』など声をかけると、会話を止めてしまうからです」と語る。直接手渡しを徹底するため、オーダーを受ける際は、どの席の人が何を注文したかをわかりやすくメモ。スタッフ間で共有し、誰でも迷わず提供できるようにしている。

さらに、来店客にベルを鳴らさせないことも意識。「中間バッシングの際、グラスの空き状況はもちろん、新しいおしぼりや箸、皿などニーズを先読みするように各卓をチェックします。ベルで呼ばれて行く場合、お客様を待たせるだけでなく、スタッフがそのとき行っていた作業も途中で止まり、効率がよくないからです」と佐藤氏。

こうした取り組みの積み重ねが満足度と信頼感をアップ。最近では、宴会コンシェルジュの存在も浸透し、予約の際に「○○さんに相談したい」と指名する人も増えている。「当店の接客は攻めではなく守り」と山﨑氏。幹事とコミュニケーションを取り、黒子に徹しつつ来店客のニーズを先読みする。これらが「宴会をするなら『朔』で」という幹事からの高い評価につながっている。

シートには、日時、人数のほか、料理への要望や挨拶、余興などのタイムスケジュールも記入している
出迎えでは、予約客であれば名前を確認。「顔に見覚えのある方には『いつもありがとうございます』と一言添えます」(佐藤氏)
当日の打ち合わせで幹事と名刺交換。「信頼関係を築くことを意識しています」(佐藤氏)
幹事との打ち合わせでは、その日の料理の内容などを説明。タイムスケジュールの最終確認のほか、幹事に不安なことがあれば相談を受けることも
ドリンクのオーダーをメモ。どの席に座っている人が何を注文したかを、ほかのスタッフが見てもわかるように簡潔にメモする。ドリンクを一人ひとりに手渡しするための工夫
ドリンクは一人ずつ手渡しで提供。「会話の邪魔をしないのが目的ですが、同時にすべてのお客様と会話する機会を持てるのもメリットです」(佐藤氏)
料理の提供やバッシングの後は、ほかのテーブルのグラスや皿の空き状況などをさりげなくチェック。「お客様にベルを押させない」(佐藤氏)ことを意識
退店時は店の外まで見送る。特に幹事には感想を聞くなどしつつ、コミュニケーションを取って再来店につなげている
メニューブックの1ページ目に、宴会をサポートするスペシャリストとして3名の「宴会コンシェルジュ」を紹介
来店客の声やほかのスタッフのよかった部分などを全員が毎日ノートに書き、接客のサービス向上に活かしている
宴会コンシェルジュ 佐藤佳奈氏
旅館スタッフなどを経て2014年に入社。「お客様の気持ちになること」をモットーに、細やかなサービスを心がける。
和ダイニング 朔(さく)
新潟県長岡市東坂之上町2-6-1 コンドウビル1F
https://r.gnavi.co.jp/6wgxrbjt0000/
“寝かせて美味しく”をコンセプトにした和食居酒屋。長岡市内に肉の熟成工場を持ち、旬の新鮮な素材を活かした料理や、熟成や燻製など、ひと手間加えた料理が人気。宴会向けのコースは、2時間飲み放題付き4,000円から用意。

全2ページ