宴会シーズンは新規の来店客も増加し、接客時のちょっとした対応で店への印象はよくも悪くもなる。予約対応から退店時の見送りまで、来店客に「また来たい!」と思わせる接客の工夫を3店舗の事例から紹介。
幹事をサポートする宴会コンシェルジュがリピーター獲得に貢献
【新潟・長岡】和ダイニング 朔(さく)
ニーズを先読みしつつ、黒子に徹して満足度アップ
新潟のJR長岡駅から徒歩5分の立地に2010年オープンした「和ダイニング 朔」。20名の宴会が可能なテーブル席の個室などを備え、ビジネス層を中心に集客。コースは4000~6000円で4種類を用意し、来店客の約9割がこれを利用している。
そんな同店では、2015年からホール担当の社員3名を「宴会コンシェルジュ」と名付け、幹事をサポートしている。「幹事様の負担を減らしたいと、このポジションを作りました。3人とも当店で何千件も宴会を経験し、様々な要望に対応できる人材です」と、代表の山﨑武雄氏は笑顔を見せる。
まず、予約の電話は必ず宴会コンシェルジュが対応。歓送迎会や記念日など宴会の目的をヒアリングし、コースの料理も要望に応じて変更する。「歓送迎会では花束の手配も承っており、主役の方の性別や年齢、好みを聞き、どんな花がよいかを考えて用意します」と語るのは、宴会コンシェルジュの佐藤佳奈氏。当日は、少し早めに幹事に来店してもらい、簡単な打ち合わせも行う。挨拶や余興などがある場合、いつ、誰が行うかを確認し、それに合わせて料理提供のタイミングを調整している。
一方、ホールスタッフ全員で徹底しているのが、ドリンクを一人ひとりに手渡しするというもの。この理由について佐藤氏は、「別のお客様に回していただいたり、『○○をご注文の方』など声をかけると、会話を止めてしまうからです」と語る。直接手渡しを徹底するため、オーダーを受ける際は、どの席の人が何を注文したかをわかりやすくメモ。スタッフ間で共有し、誰でも迷わず提供できるようにしている。
さらに、来店客にベルを鳴らさせないことも意識。「中間バッシングの際、グラスの空き状況はもちろん、新しいおしぼりや箸、皿などニーズを先読みするように各卓をチェックします。ベルで呼ばれて行く場合、お客様を待たせるだけでなく、スタッフがそのとき行っていた作業も途中で止まり、効率がよくないからです」と佐藤氏。
こうした取り組みの積み重ねが満足度と信頼感をアップ。最近では、宴会コンシェルジュの存在も浸透し、予約の際に「○○さんに相談したい」と指名する人も増えている。「当店の接客は攻めではなく守り」と山﨑氏。幹事とコミュニケーションを取り、黒子に徹しつつ来店客のニーズを先読みする。これらが「宴会をするなら『朔』で」という幹事からの高い評価につながっている。
新潟県長岡市東坂之上町2-6-1 コンドウビル1F
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