2020/06/29 特集

店とスタッフを守るために、知っておきたい! パニッククレーマー対策(3ページ目)

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【STEP2】初期対応を身に付ける――炎上クレームの多くは初期対応の失敗。傾聴の姿勢で気持ちに寄り添う

「でも」「だって」はNG。「S言葉」で受け止める

 クレーム対応で最も重要なのは、「現場の初期対応」と援川氏は語る。援川氏によれば、もつれたクレーム案件の大半は初期対応の失敗で、「対応したスタッフの余計な一言が、お客様の怒りの火に油を注いでしまうことはよくあります」と言う。逆に、初期対応に成功すれば、「対応が良い店」と認識され、顧客満足につながることもある。この点でも、スタッフに適切な初期対応ができるよう指導することは、組織として重要な課題になる。

 では、クレームの初期対応の基本とは? 援川氏は「どんな人に対しても、まずは、大事なお客様として顧客満足の観点から寄り添うこと」と提言する。「何に怒っているのか」「どうしてそう思うのか」をその人の目線で考え、気持ちを受け止める姿勢を見せることが大事。「悪意のないクレームの場合、寄り添う姿勢が伝われば、多くは炎上せずに収めることができます」と援川氏。特にコロナ感染に対する不安から生まれるクレームは、傾聴することで沈静化することもある。

 だが、対応に不慣れなスタッフが突然クレームを言われて、とっさに気持ちに寄り添えるとは限らない。そこで、ぜひ覚えてほしいのが、援川氏が提唱する「S言葉」(下記参照)だ。これは「さようでございますか」「失礼しました」「承知しました」「すみません」「そんなことがあったのですね」など、「さ」行で始まる言葉。これらを使うと、寄り添おうとする気持ちが相手に伝わりやすくなる。反対に、避けるべきワードを、援川氏は「D言葉」と呼ぶ。「ですから」「だって」「でも」など、「だ」行の接続詞で、それぞれ相手が「上から目線」「反抗的」「逃げ腰」という印象を受けやすいという。

上が寄り添う気持ちを表す「S言葉」。下は避けるべき「D言葉」を「S言葉」に変えた例。対応がスムーズになるので、それぞれ覚えておきたい

 「S言葉は台本であり、護身術でもあります」と援川氏。クレーム対応を言葉で定型化し、単純化することで、スタッフはとっさの場合でも初期対応を“演じる”ことができる。演じていれば、クレーム時のきつい言葉や態度を俯瞰して冷静に捉えることもできる。初期対応のノウハウを身に付けることは、クレームから自分の心を守ることでもあるのだ。

 加えて援川氏は「早く終わらせよう、説得しようと焦らないこと。傾聴の姿勢が伝われば、相手は『わかってもらえた』『聞いてもらえた』と感じ、それだけで済むケースが多い」と話す。また、シーンによっては、「2人で対応することも有効」(援川氏)。1人がメモを取って記録係になり、もう1人が聞き役に徹すると、傾聴する姿勢が伝わりやすい。

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