2020/06/29 特集

店とスタッフを守るために、知っておきたい! パニッククレーマー対策(4ページ目)

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【STEP3】断る勇気を持つ――相手の土俵に乗らずに、「3だん話法」でしっかりと断る

3〜5分で話を切り上げる。上手なギブアップも大事

 初期対応でクレームが収まらなければ、「上手に断る勇気を持とう」と援川氏は呼びかける。もともと“ブラック”なクレーマーはもちろんのこと、たとえ出発点のクレーム内容が正当な要求だったとしても、態度や要求がヒートアップして、モンスターと化したときは、「受け入れられない要求は断ってよい」(援川氏)とアドバイス。「初期対応の目安は、通常でも5分。感染予防の観点から見れば短時間も大事なポイントですから、3分でもよいでしょう」と援川氏は語る。

 そこで、「上手に断る極意」として援川氏が提唱するのが「3だん話法」という考え方。「3だん」とは「段・暖・断」の3つを指す。「段」は「段階」。前項の「STEP2」でも述べたように、いきなり断るのではなく、まずはその人に寄り添い、不安・不満を受け止める段階を踏む。次の「暖」は「あたたかい」。どんなクレームでも来店客に対しては、あくまであたたかい姿勢で臨むことが大事。最後の「断」は、もちろん「断る」。丁寧にしながらも、要求は断固として応じられないことを伝え、その場のやり取りを終わらせ、断ち切ることが大切だ。

 例えば、「混雑して、密じゃないか!」というクレームに対しては、「お客様はそのように感じていらっしゃるのですね」と、まずは初期対応として不安な気持ちに寄り添う。可能であれば、「窓に近いあちらの席はいかがでしょうか」など、別の席を提案してもよいだろう。それができなければ、傾聴の態度で接しつつ、「当店では感染予防を徹底し、保健所の指導に沿って対応しております。ご理解いただければと存じます」と、丁寧かつきっぱりとクレームを遮断しよう。あるいは、「お客様のご意見を、今後の運営に生かしますので、よろしければアンケートにご協力ください」と、その場でのやり取りを切り上げることも有効だ。まれに「家に謝りに来い」と言われることもあるが、「感染予防の観点から断ってよいでしょう」と援川氏は言う。

対応できない要求であれば、丁寧に断ってクレームを終わらせよう

 それでも収まらなければ、「上手にギブアップしましょう」と援川氏。「私どもではこれ以上、ご要望にお応えすることができません」と伝え、まだ怒りが抑えられないようであれば、組織的な対応に移ることを考えてもよいだろう。

 大事なのは、「提供できるサービスはきちんと提供し、できないサービスはしっかり断ることと、相手の土俵に乗らないこと」(援川氏)。相手の土俵に乗って、こちらが感情的になったり、言われるがままになってはいけない。さらに、「対応の公平性も大切」(援川氏)。サービスが過度なものになっていないか、店や会社の方針に沿っているのかを改めて確認したい。例えばクレームを受け、料理に関わるクレームではないのに割引券を渡した場合、「クレームを言えば、割引券がもらえる」と思われる可能性もある。それが引き金となり、系列店でも同じクレームを入れ、「あっちの店は、割引券をくれた」と言われかねない。また、店長が相手によって態度を変え、一貫性や公平性を保っていないと、スタッフも言動を定められないばかりか、店や店長への信頼にも影響する。こうした悪循環を避けるためにも、店とスタッフが一丸となって、効果的に「断る」スキルを身に付けることが大切だ。

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