2020/10/09 特集

今やるべき衛生対策〈前編〉 “クリーンな店”のつくり方(3ページ目)

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Checkpoint 2 菌やウイルスが残りがちな所を知る

冷蔵庫の取っ手は残留菌数が多い。トイレやバックヤードも要チェック

ちょっとした不注意が汚染拡大の引き金に

 細菌やウイルスなど目に見えない汚れは、ちょっとした不注意が原因で、知らないうちに拡散することがある。特に注意したいものの1つが、厨房の冷蔵庫などの取っ手だ。

 山本氏は「飲食店の細菌検査をすると、冷蔵庫の取っ手からたくさん雑菌が検出されることが多い」と言う。調理の途中で冷蔵庫を開閉することは、厨房ではよくある光景。だが、生の肉や魚、野菜には、それぞれに特有の細菌やウイルスが付着しているもの。それらに触れた手や手袋でそのまま冷蔵庫を開閉すると、細菌やウイルスが取っ手に付着し、同じ場所を触った別の人の手や手袋に付着して別の場所に運ばれてしまう。その繰り返しで、細菌が増殖したり、汚染が拡大してしまうのだ。

 予防の大前提は、食材を触って汚れた手(手袋)で、冷蔵庫に触れないこと。そのためのオペレーションを構築しつつ、食材を触り汚れた手袋は交換してから冷蔵庫などを開けることを鉄則にする。

 だが、ピーク時などには、うっかり手袋を交換し忘れたり、急いでいて素手で触ってしまいやすいのも事実。「だからこそ、冷蔵庫の取っ手は一定の頻度でアルコール消毒することが重要」と山本氏は語る。

 消毒の頻度は、厨房の状態にもよるが、「飲食店では冷蔵庫内の温度チェックを1日に2~5回実施すると思うので、そのタイミングで、取っ手やその周辺を消毒するように習慣づけるとよいでしょう。もちろん、汚れた場合はその都度消毒します」と提案する。

 そのほか、厨房の入口やデシャップ付近は、ホールと厨房の両方のスタッフが触れる場所で、料理と伝票類が混在することもあるので注意が必要。汚れたら拭くのはもちろんのこと、汚れていなくても1時間に最低1回はアルコールで消毒するとよいだろう。

冷蔵庫の取っ手には、雑菌が多く残りがち。菌やウイルスが付いた手で冷蔵庫を開閉していることが原因。食材に触れた手で触らないことは大前提。加えて、定期的に取っ手を消毒する必要がある

トイレはこまめな清掃を。バックヤードも清潔に

 不特定多数の来店客が使用し、スタッフと共用している店も少なくないトイレも、要注意箇所の1つ。営業中、特にピーク時はトイレ掃除まで手が回らず、後回しにしがちだが、来店客が多いほど汚れやすいので、忙しい時間帯も含めて、定期的に清潔にすることが大切だ。

 トイレ掃除の適切な頻度について、山本氏は「店の規模、業態、客数などによって幅があるが、最低でも3時間に1回は掃除してほしい」と言う。カフェなど、トイレを利用する人が多い業態の場合はそれでも不十分で、「少なくとも1時間に1回、朝やランチ後などピークの時間帯には、さらにこまめな掃除が必要」(山本氏)。まずは自店のトイレの使用頻度や使用後の状態をよく観察し、クリーンな状態をキープできる適正な清掃頻度を見極めたい。

 また、「トイレ入口のドアノブなどは、少なくとも1時間に1回、しっかり消毒すべき」と山本氏は呼びかける。ドアノブはトイレを利用する人が必ず触れる箇所。感染すると排泄物に多量のウイルスが排出されるノロウイルスなどは、ドアノブに付着する可能性も高いため、流行時期には特に消毒を徹底しておこう。

 そのほか、見落としがちなのがバックヤード。来店客から見えない場所なので掃除の優先順位が下がりがちだが、「ここも検査で雑菌が多く検出されやすい場所の1つ」と山本氏。スタッフが休憩などで使う場所が雑菌だらけでは、客席や厨房にも汚染が広がってしまう。店全体の衛生を保つうえではバックヤードの衛生も欠かせないため、毎日の掃除と、ドアノブなど人が直接触る箇所の消毒、食事前後のテーブル周辺の消毒など、客席と同じように気を配ってほしい。

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