2020/10/09 特集

今やるべき衛生対策〈前編〉 “クリーンな店”のつくり方(4ページ目)

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Checkpoint 3 新型コロナはワンランク上の対策を

来店客が触れた箇所にも注意!イメージアップの視点も重要

接触後の対応を工夫し、ウイルスの拡散を防ぐ

 新型コロナの予防において注目したいのが、「スタッフと来店客が接触するポイント」と山本氏は指摘する。「自店で働くスタッフに対しては、業務命令として衛生管理を徹底させることができますが、来店客に“コロナのリスクがある場所へ行った後は来ないで”などと強制することは難しい」(山本氏)。しかし、ウイルスが付着していたり、自覚症状のない新型コロナ感染者が来店する可能性は大いにある。来店客の中に感染者がいたとしても、店内で広がらないよう、来店客とスタッフ、客同士の接点を店側がコントロールすることが求められている。

現金やカードを扱った手で、そのまま料理をサーブするのは、衛生面もイメージ的にもNG

 例えば会計時。来店客がキャッシャーでスタッフに渡す現金やカードを介してウイルスが拡散するリスクはゼロではない。会計を担当したスタッフが、そのまま厨房に入ったり、料理をサーブするのは絶対に避けたい。

 対策として、会計を行うスタッフを固定し、レジ業務と接触のない接客、バッシングだけに仕事を限定するのがおすすめだという。ただ、スタッフの人数的に固定することは難しいかもしれない。レジ業務の後に厨房に入ったり、料理をサーブしなければならない場合は、レジ業務の後に手を洗浄しアルコール消毒する。手袋を付けている場合は、手袋の付け替えを徹底することが重要だ。

 また、来店客が触れる場所の消毒も徹底したい。テーブル、イス、呼び出しベルなどは、バッシング後に必ずアルコールで消毒する。店舗入口のドアノブも、来店客が必ず触れる箇所なので、定期的にアルコールで拭き取ろう。「来店客が触れるところはハイリスクポイントと考えて、前述の対応をルール化しましょう」(山本氏)。

 さらにこうしたルールは、衛生面だけでなく、来店客の安心という心理的な面でも効果があるという。「初めに述べたように、消費者は新型コロナをきっかけに自身が触れるもの、口にするものの衛生面について、よりセンシティブになっています」と山本氏。スタッフがお金を触った手をそのままで料理をサーブしているところなどを目撃されると、店への信頼感が損なわれてしまう可能性もある。

 逆に、スタッフが手の洗浄・消毒を丁寧に行っていたり、汚染リスクのあるポイントで手袋をきちんと替えている、決済端末などをその都度、消毒していることなどをアピールできれば、安心感や店のイメージアップにつながる。どうすれば安心して来店してもらえるか、店に対してネガティブな感情を持たれないためにどうすべきかという視点で、営業中の動きを見直してみよう。

手洗い2回+消毒を推奨。食洗機の使用も有効

 そのほか、山本氏は「スタッフは、手洗い2回+アルコール消毒を原則にしてほしい」と提案する。出勤時やトイレの後は、まず一度石けんで手を洗い、身支度を整えてから、店内の手洗い用シンクでもう一度手洗い。水分をよく拭き取って乾燥させてから、アルコール消毒を行う。「1回目の手洗いで、細菌もウイルスも劇的に減りますが、まだ感染するくらいの量は残っていることがあるからです」(山本氏)。また、アルコール消毒は新型コロナには有効だが、ノロウイルスへの効果はやや劣るため、手洗いで完全にシャットアウトする必要がある。この点も、2回手洗いが推奨される理由だ。

 このほか、雑菌やウイルスが付着する可能性があるのが食器類。「食器類は、食洗機での洗浄が理想」と山本氏。洗剤を使った洗浄と80度の温水すすぎをするよう設定しておけば、ほとんどの細菌やウイルスを撃退できるという。食洗機がない場合は、洗剤を使って、丁寧に洗う。「きちんと洗えば感染しない水準まで病原体を減らすことができます」と山本氏。ただ、“きちんと”や“丁寧に”という表現は個人個人で捉え方に差があるため、アルバイトなどに教える際は、実践して見せるなどしたい。さらに、口に入るカトラリー類は洗浄後にアルコール消毒をしたり、次亜塩素酸ナトリウム溶液に短時間浸けて消毒すると安心。ただし、次亜塩素酸ナトリウムは食品中に残留してはいけないので、消毒後に水洗いし、拭き取ることを忘れてはいけない。

出勤して厨房に入る際やトイレの後などは、「手洗い2回」をルール化したい。手洗い後には、アルコール消毒もプラスしよう

新型コロナに効く消毒薬。濃度などもチェック

 これまで見てきたように、店内ではさまざまなシーンで消毒が必要。では、新型コロナの予防にはどの消毒薬が適しているだろうか。いろいろなシーンで活用されているのがアルコール。ウイルス消毒の効果が高く、乾かせばにおいも残らないため、消毒薬の中でも使いやすいだろう。濃度の違う製品が多種類出回っているが、濃度が低すぎると消毒効果が下がるので、飲食店では「エタノール成分70%」のものを、火気に十分注意して使用しよう。

 次亜塩素酸ナトリウム溶液も、アルコール同様に高い殺菌効果が認められている。適正濃度は200ppmで、これはノロウイルスにも効果的だ。市販品には洗剤などが混ざっているので、食品に接触する食器や調理器具、調理台などに使用する場合は、「食品添加物」と表示のある製品を使いたい。食品添加物製品であっても、消毒後には水洗いや水拭きが必要になる。

 そのほか、食器用洗剤などに含まれる界面活性剤や、逆性石けんの一部にも消毒効果が確認されているものがある。ソースや食べかすが付着した食器や調理用具は、そのままアルコールなどで消毒しても効果がほとんど得られないが、消毒効果のある洗剤を使って洗い、汚れとともにウイルスの量も減らしておけば、その後の消毒効果を高めることにもつながる。

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