産地・品種・質にこだわり、果物のおいしさを追求。究極のカクテルで差別化
【大阪・京橋】老松町 RABbit
フルーツを柱にした店づくりで好調!
大阪・西天満の路地にある隠れ家的な店「RABbit」では、オーナー宮内 健氏が作るフルーツカクテルが評判だ。そんな宮内氏が、フルーツを究めるきっかけとなったのは、10余年前、バーテンダーとして勤めていた店で、客が口にした一言だった。「あるお客様が『以前ほかの店で飲んだイチゴのカクテルがおいしくなかった』と、つぶやかれたのです。それから、カクテルにどんな問題があるのかを考え、試行錯誤を繰り返しました」と宮内氏。以来、様々なイチゴを使って試作を続け、産地や品種・品質によってカクテルの味や風味が違ってくることに気づいたという。その後、ますますフルーツへの興味を強めた宮内氏は、生産者とも交流。“フルーツへのこだわり”が自身の柱となっていった。
「そのころ、料理をするように素材を見極めて絶妙な配合でドリンクを作ることを“ミクソロジー”と呼ぶことを知りました。イギリスなどでは、“ドリンクのシェフ”として〝ミクソロジスト〟の活躍が知られており、私が追求しているのは、まさにそれだと思いました」(宮内氏)。以来、日本では数少ないミクソロジストの1人として、フルーツへの探求に一層の磨きをかけてきた。
宮内氏が作るフルーツカクテルは、果実本来の味や風味を、最大限に引き出すのが特長だ。そのため、リキュールは使わず、そのほかに加えるものも最小限。“ミクソロジー”の手法ではハーブやショウガなどをミックスする例もあるが、あくまで果実を活かすことにこだわる宮内氏。「だからこそ、本当においしいフルーツが必要です。カクテル作りのため、フルーツの生産地を訪ね、生育状況をチェックしたりもします」と語る。
来店客には、どんなフルーツを使い、それがどこでどのように育てられたのかを伝え、興味と関心を刺激。高品質のフルーツカクテルを提供することで、他店との差別化に成功し、多くのリピーターをつかんでいる。
この夏に向けては、国産では珍しいドラゴンフルーツや、パッションフルーツなどを入荷予定。どれも外国産のものとはひと味違うという。こうした入荷状況や果実の成熟度合いなどは、フェイスブックで発信。情報を共有することで、フルーツが店と客の結びつきのひとつとなり、集客にも大きく貢献している。また、店内に香り高い旬の果実を飾ったり、カクテルを目の前で作ってライブ感を演出するなど、フルーツとカクテルを徹底的に印象付けることで、初来店の客をファンにさせるのだ。
今では、フルーツだけでなく、野菜やほかの食材でも産地や品種、栽培方法などに気を配り、より安全でヘルシーな料理を追求。フルーツとドリンクへのこだわりが、「RABbit」を唯一無二の店にさせている。