年明けから初春にかけては、忘新年会で獲得した新規客をリピーターに変えていく時期。そのためには冬の看板メニューがまだまだ集客のカギとなる。今回は、冬メニューがヒットしている2店を取材し、人気の理由に迫る。
食材のヘルシーさを売りに2種類の鍋が女性に人気
【大阪・天王寺】きのこの里 天王寺店
「キノコとアボカド料理専門店 きのこの里 天王寺店」は、「焼きアボカドのチーズグラタン TSUBO蒸し焼き」(880円)や「シャキシャキ花びらキノコとゴーヤのチャンプル」(580円)など、店名どおり2つの食材を使った料理に特化した専門店。女性客を意識し、食材のヘルシーさを売りに店づくりをしている。「スタッフは全員きのこ好き。女性に喜んでもらえるメニューを皆で考え、『女子会の店』として選ばれるようになりたい」と語るのは店長の日高 覚氏。仕入先から珍しいキノコが入ると、必ずスタッフで味見をして導入を検討するという。
冬のメニューでは、6~7種のきのこが入るオリジナルの鍋が人気。アワビ茸、トキイロヒラタケ、ハナビラタケ、柳松茸、かきの木茸など、色や形がバラエティ豊かで、珍しいきのこを意識的に入れている。
なかでもこの冬は、コース用メニューとして開発した「アボカドときのこのクリーミーポタージュチーズ鍋」の人気が高まっている。スープにクリームと2種類のチーズが溶け込み、アボカドと7種類のきのこを具材に、上から粉チーズをかける。アボカドを崩しながら食べるとフルーティーさが感じられ、女性客を中心に好評だ。しかし、ヒットまでには試行錯誤があった。2013年の年末は同じ具材で野菜出汁のクリーミーチーズ鍋を打ち出したが、今ひとつ個性に欠けた。そこで、洋食のシェフでもある日高氏の発案でポタージュにしたことで、とろみのあるスープが具材によくからみ、さらに味に一体感が出た。現在、コースでしか提供していないが、今後はアラカルトのメニューにも入れたいと考えている。
同様に冬の看板メニューとなっているのが、2011年のオープン当初から1番人気の「きのことトリュフの魔法鍋」。味を3段階に変えられることから"魔法鍋"と名付けた。コクのあるテールスープがベースで、きのこは7種類。まずは、トリュフ入りのコラーゲンボールを溶かして、それぞれのきのこの味をコラーゲンの食感とともに楽しむ。2段階目は中央のトマトを崩して全体に溶け込ませる。コクのあるスープがトマトの酸味によってほんのり和風に。3段階目は、オリジナルの"魔法のクリーム"を入れて洋風の味わいに変化。残ったスープにはお米を入れてリゾットか、パスタを入れてシメる。ヘルシーさと飽きのこない仕かけで、女性から絶大な支持を得ている。
また、鍋を注文した客には、提供時にスタッフがきのこの名前や特徴、キノコキトサンなどのアンチエイジングに効果のある成分について説明。きのこの効能やダイエットの話題でスタッフと客が親しくなることで、リピーター獲得にもつながっている。
ぐるなびの店舗ページでも、前述の2種類から鍋を選べる「ダイエットコース」(4000円)などをアピールし、着実に集客につなげている。また、女子会の様子をフェイスブックでアップするなどSNSも活用。今後も女性客をターゲットに新規客の獲得を狙っていく。