朝一番の漁獲の1割を商品化。フェアメニューはコースでも反響
瀬戸内海に浮かぶ蒲刈島や倉橋島(呉市)周辺など、安芸灘でしらす漁を営む株式会社もみじ水産の代表・三宅敏郎氏。周辺の海域は海底に高低差があり、潮の流れも速いため、水揚げされるしらすは粒がそろい、色は白く、甘みもある。そんなしらすをちりめん用に姫路市の業者へ卸していた三宅氏は、自社でも商品化して多くの消費者に届けようと、3年前から本格的に生産に取り組むようになった。「当時、広島ではしらすを生で食べる食習慣はほとんどありませんでしたが、こんなにおいしいものなら広島でもウケると思いました」(三宅氏)。今までの漁の経験から、安芸灘で獲れるしらすのクオリティは非常に高いと感じており、商品には自信があった。
漁は朝5時に4隻1班の船団を2班出し、17時頃まで行う。網を引き揚げるのは1日6~7回。しらすは1回で500~600キロ獲れる。「『大和しらす』になるのは、朝一番に引き揚げた網の中から選別した約60キロだけ。それを船上ですぐに活水器を通した水で洗って氷を利かせて港に運び、目視選別を2~3回経てから100グラムのパック詰めにして急速冷凍しています」と三宅氏。徹底した鮮度キープと、洗浄・選別を繰り返した「大和しらす」は、検査に出した専門機関も驚くほど菌が少ないという。安心、安全を数値でも証明できた「大和しらす」は、大手流通グループの目にも留まり、販路はますます拡大している。
そんな「大和しらす」をぐるなびの「広島食材フェア」(今年5~6月)で知った「かいか」の出原圭一郎氏は、安芸灘のわかめと一緒に一口サイズのかき揚げにしたメニューを開発した。かき揚げは、実は三宅氏の奥様も推薦する調理法。油で揚げることで、香ばしさも味わえるようになる。今回フェアで開発した6品のメニューの中で、「安芸灘わかめと大和しらすの一口かき揚げ」は、初来店客から特に人気の一品だ。来店客の多くはグランドメニューとフェアのメニューの両方から料理を選び、また、フェアの食材を盛り込んだ期間限定コースも反響がある。
「かいか」で広島食材フェアを開催するのは、今回で2度目。前回は期間限定メニューが、おいしい酒と肴を求める地元男性客の要求にマッチし、フェア終了後もグランドメニューとして提供している。「食材フェアを開催するメリットの1つは、メニューに幅ができることです。広島の食材でメニューを考案することで、より地域色を打ち出せると思います」(出原氏)。食材フェアは、集客の呼び水になると実感している出原氏は「今後も積極的に開催し、接待や食事会などあらゆるシーンで求められ、お客様も地元の名産を発見できる店を目指します」と話す。
もみじ水産
広島県呉市吉浦中町1-8-8
http://momijisuisan.blog.fc2.com/
2007年に法人化。姫路方面へのしらす卸を中心に、会社の二大商品「大和しらす」「大和わかめ」の製造販売なども行う。アルバイトを含む従業員13人の規模で船8隻を有し、業績は右肩上がりと好調が続いている。
かいか
広島県広島市中区本通1-25 パオビル2F
http://r.gnavi.co.jp/h1wbp57h0000/
広電本線立町駅から徒歩1分の場所に、昨年11月オープンした和食店。50席の中に2人客に適したカウンター席や接待向けの個室を設けるなど、客目線に立った店づくりが好評。男性客も多く、日本酒も豊富にそろえている
「産地フェア」で全国の食の魅力を発信!
http://r.gnavi.co.jp/foodfair/
テーマにあわせた各地の食材フェアをぐるなびが紹介する「産地フェア」。各地の“厳選食材”の生産者と飲食店を結び、ユーザーに提供することで、お店のファン獲得を狙うこの企画。実施エリアや開催スケジュールなどの問い合わせは担当営業まで。