本場から世界一と称えられたマッシュルーム

静岡県富士市にある「長谷川農産」で育てたマッシュルームは「本場ヨーロッパと同じ味」と評され、東京・池袋の「博多 うきしま倉庫」は肉厚で香り高い味わいに引かれメニューに採用した。

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代表取締役
長谷川 光史 氏収穫したばかりのホワイトマッシュルームを手にする長谷川氏。おすすめの食べ方は「シンプルがいちばん!」。現在300ほどのレストランを顧客に持つほか、卸も行っている。
「アホ」はスペイン語でにんにくの意。生ハム&刻みにんにく、ガーリックバター&ラグーソースという2種類の味を一皿で。ブラウンとホワイト、どちらのマッシュルームも使用する。

本場の技師からも「世界一」と称えられた、マッシュルーム

静岡県富士市。富士山を間近に臨むこの地にマッシュルームファーム「長谷川農産」はある。「もともとはキャベツの専業農家でしたが、今から25年ほど前、花の栽培に興味を持ち、オランダへ視察に行った際、出合ったのがマッシュルームでした」と代表取締役の長谷川光氏はその経緯を語る。

当時、日本で売られていたマッシュルームと言えば、変色を防ぐため薬品処理した水につけるウォーターウォッシュタイプ。しかし、ヨーロッパのマッシュルームは出荷までにその工程はなく、旨みも香りも強い。長谷川氏はその味に衝撃を受け、惚れ込んだ。「これだけおいしければ、必ず日本でも売れるはず」と確信。オランダにある世界で唯一の“マッシュルーム学校”に通い、基本的な知識を得た。そして、オランダから経験豊かな技師を招聘。ノウハウを吸収し、最新の栽培設備を整え、1992年から日本で栽培をスタートさせたのだ。

栽培におけるこだわりは、無農薬・無漂白の有機栽培であること。そして、育てるうえで富士の伏流水をくみ上げて使用している点も大きい。さらに、人の手に触れるだけで変色するほど繊細なマッシュルームだけに、取り扱いは慎重そのもの。スタッフは手袋を着用し、かつマッシュルームに触れる時間を最小限にとどめるため、収穫しながらサイズ分けも行う。配送方法や顧客の獲得など、創業当初は苦労も多かったが、「本場と同じ味のマッシュルーム」は徐々に星付きレストランのシェフや一流ホテルなど食のプロたちの間で評判となり、2003年頃から軌道にのる。現在では300を超えるレストランへ出荷し、なかには直接、本社を訪れるシェフもいるという。

そんなマッシュルームに、ぐるなびの展示会で出合ったのが「博多 うきしま倉庫」の浮嶋貴法氏。「試食したら、私がスペインで食べたのと同じように、肉厚で香り高い味わいだった。価格面でも折り合いがつき、既存メニューである『マッシュルームのアホ焼き』に使うことを即決しました。火を通すとより芳醇でジューシー。オリーブオイルとの相性がよく、生でもおいしいですが、少し炙ると香りがさらに引き立つ。マッシュルームが含む旨みのエキスはパスタとも好相性です」(浮嶋氏)。今後もこのマッシュルームを使い、店のコンセプトである「ワインに合うメニュー」を随時、開発したいと話す。

今や長谷川農産のマッシュルームは味やしまり具合、サイズなどの面で、何人ものオランダ人マッシュルーム技師から「質の高さと味は世界一」と称えられるほど。栽培に関する試行錯誤の長い助走期間を経て、日本で花開いた本場のクオリティ。今後、さらなる飛躍を感じさせる。

生産者
長谷川農産
静岡県富士市伝法1320-9
http://hasegawa-nosan.co.jp/
スタッフは栽培管理や収穫・出荷など含め40名弱。本社に6つの栽培室(グローイングルーム)を併設し、大型の機械で定期的にフレッシュな培地を充填し、コンピューターで環境を管理。マッシュルームはオンラインショップでも販売する。
徹底した温度・湿度&衛生管理がなされた栽培室。写真右側の棚がブラウン、左側がホワイトのマッシュルーム
収穫前のブラウンマッシュルーム。養分を含んだブラックピート(培養土)はドイツから輸入
大きさ別に行われる収穫。手袋着用で、鮮度を保つためにスピーディに行われる
収穫されたものは、一度も水をくぐらせることなく、サイズごとにパック詰めされて出荷となる
ホワイト、ブラウンのほか、笠の直径7cmほどのジャイアント(白)や、直径9cm前後のポットベラ(写真)も栽培している
飲食店
博多 うきしま倉庫
東京都豊島区西池袋1-21-2 オーク西池袋ビルB1
http://r.gnavi.co.jp/ga56802/
九州出身、長く福岡で飲食店の経験を積んだ浮嶋氏が2012年4月に東京・池袋にオープン。イタリアンやスパニッシュをベースに、玄界灘の魚介や博多胡麻醤油など、九州の素材をミックスさせ、ワインに合う料理を提供。
新メニュー「山の恵みのサラダ」(800円)。トリッパや黄ニンジン、ゴルゴンゾーラ、松の実、生ハムに加え、味の濃いブラウンマッシュルームも入った具だくさんサラダ
ワインバルの名の通り、100種を超えるワインがそろう
おすすめメニューは黒板でも表示。一番人気は「どか盛りプロシュート」
マネージャー
浮嶋 貴法 氏飲食業に従事して20年以上。札幌や福岡での店舗立ち上げを経験して、東京で同店をオープン。最近は「五島列島(長崎県)の五島牛や福岡の糸島野菜」に注目しているという

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※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報はご自身でご確認ください。

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