シェフがオリジナルレシピを開発
プロの技で食材をブランディング!
ぐるなびは、日本の食文化を守り育て、食を通した地域活性化に取り組んでいる。そのなかで、日本全国の生産者がつくる食材や酒、加工商品などを活かしたレシピ開発をシェフに依頼。プロの技を駆使したオリジナルレシピを生産物のブランディング・販売に役立ててもらうなど、サポートしている。生産者×飲食店シェフの幸せなマッチング事例をリポートする。
Report 1
色鮮やかな韓国料理と日本酒のマリアージュ
健康志向の韓国料理が好評な東京・赤坂の「張家(チャンガ)」。シェフの洪 沃秀氏は、山口県・下関酒造の日本酒「下関Spirits of 445」に合う料理の開発を依頼された。「日本酒と韓国料理を合わせるのは初めてでした」と語る洪氏は、酒米「山田錦」と地下水で作られる酒のフルーティな香りと飲みやすさに驚き、その優しい味わいに合う料理をいくつか試作。そのなかから韓国の宮廷料理でもある1品を選び、「牛肉と薄焼き卵のはさみきゅうり漬け(甘酢かけ)」を提案した。「きゅうりの食感と牛肉の甘辛さが、このお酒に合うと思います。彩りも意識しました」と洪氏。さらに、「今回をきっかけに、もっと日本酒を勉強したい」と語る。
一方、下関酒造株式会社・営業部リーダーの太田哲也氏は、「当社の日本酒に合う、和食以外のおしゃれな韓国料理を開発していただき、とても喜んでいます」と語る。そして、「下関は、韓国からの観光客も多い。様々なところで営業する際にこのレシピを活用させていただきたい」と、今後へ期待を寄せた。
Report 2
旨味際立つ魚醤を肉に合わせてレシピ開発
山口・特牛(こっとい)漁港に水揚げされる「特牛イカ」を醤油と麦、2種の麹にミネラル豊富な塩を使って仕込み、1年以上かけて醸造熟成した「特牛イカ魚醤プレミアム」。これを使い、「イカ魚醤風味の豚チャーシュー」を開発したのが、厳選した食材と匠の技で1日限定5組を魅了する東京・六本木の割烹、「一献」だ。シェフの鹿渡省吾氏は、「この魚醤は魚だけでなく肉にも合う。臭みがなく、旨味が強いのでほかの調味料は使わず、低温でじっくり加熱することで、肉に味を染み込ませています」と語る。
イカ魚醤を生産する加藤味噌醤油醸造場の工イカ魚醤を生産する加藤味噌醤油醸造場の工場長・加藤俊亮氏は、「今までは鍋のタレとしての提案ばかりだったのですが、プロが考えたレシピで私たち自身も新しい発見ができました」と話す。また、代表者の加藤和宏氏も「日々、菌や温度の管理を行い、手間暇をかけてつくっている商品に、シェフから太鼓判をいただいて自信がつきました。今後も“価値を理解いただける飲食店”とのご縁を大切にしていきたいです」と語った。
Report 3
ブランド力の向上を狙うジビエを引き立てる料理
山口・下関で、有害獣として持ち込まれたシカやイノシシを「長州ジビエ」としてブランド化し、加工品を販売する静食品株式会社。代表取締役の小野康行氏は、「農産物の産地でもある下関は気候が温暖でエサも豊富。そのため、年間を通して肉質のいいジビエが提供できます。ドリップ(生体液)が出ず、臭みがないのが自慢です」と、胸を張る。
そんな同社の鹿肉を使い、「le vin quatre(ル ヴァン キャトル)」(東京・目白)のオーナーシェフ・北野智一氏が考えた一皿が、「長州ジビエ鹿もも肉のパイ包み焼き 赤ワインソース」。小野氏は、「フレンチらしい高級感のある見た目も素晴らしい」と絶賛。また、「長州ジビエのさらなるブランド化を目指して、全国規模でアピールしていきたいです」と、意欲を語った。