やっぱりコレ!冬の集客の強い味方 こだわりの鍋で勝つ！

そろそろ忘年会に向けての宴会コースや、新しいメニューが決まり、アピールが始まった時期。やっぱり「鍋」は、集客の強い味方になる。隣の飲食店は、ターゲットを誰に設定し、どんな鍋メニュー・コースを打ち出しているのか。福岡、大阪、東京から、3店舗の“個性派鍋”を紹介する。

１人前から注文できて女性グループに人気！15種類の選べる小鍋

【福岡・西中洲】小鍋ダイニング 輪

コースにも組み込み、仲間内の宴会を獲得！

「小鍋ダイニング輪」の小鍋メニュー誕生のきっかけは、一人ひとりに小さな鍋料理が出される旅館のお膳から。２００９年のオープン以来、和食店で経験を積んだオーナーの大山雅史氏のアイデアで、他店にはないメニューを生み出し、店長を務める妻の佳子氏による温かな接客で、わが家のように居心地のいい店を目指している。

小鍋メニューは、土鍋で提供されるものと、せいろ鍋を合わせて常時15種類。ここに、季節ごとの限定鍋が追加される。少しずついろいろなものを食べたい女性をターゲットに、１人前７００円～とリーズナブルな設定。狙い通り、現在、20～30代の女性客を中心に好評だ。また、路地を入ったビルの２階という立地も、隠れ家的空間として人気の要因となっている。

「15種類の鍋のスープは、醤油、味噌、塩の3種類が基本です」と語る佳子氏。鍋は、小さな土鍋を一つ一つ厨房のコンロで調理して提供するが、注文数が多いときはカセットコンロも使い、グループ全員の鍋を同じタイミングで提供できるよう心配りをする。

15種の小鍋メニューは、まかないから発展させたものが多いが、素材にこだわり、冬の一番人気「白子鍋」の白子は、北海道から仕入れている。また、小鍋メニューの材料のほとんどは、ほかの一品料理にも使用しているものなので、食材のロスも少ない。

販促では、ぐるなびで小鍋と女子会を前面に打ち出し、さらに、ビルの1階入口にもメニューを書いた黒板を設置し、フリー客を獲得。月１回の割合でイベントも開催し、「常連さんにメールで案内したり、来店時にお誘いしています。常連さんが友人を連れて参加してくれることもあります」と佳子氏。

人気の女子会コースは、小鍋とシメのラーメンのほか、刺身、サラダ、揚げ物、デザートに2時間飲み放題が付き、ぐるなびクーポンの利用で２９５０円～。もちろん、小鍋は1人前15種類から選べ、1年を通しての一番人気は、「キムチチーズもつ鍋」。また、パイに餅をはさんだデザート「もっちりパイのアイス添え」も女性に喜ばれている。さらに、コースによっては鍋のシメもラーメン、ちゃんぽん、雑炊の3種類から選ぶことができる。

例年、年末には忘年会コースも用意する。「昨年は通常の女子会コースより料理のボリュームを増やし、３０００円、４０００円、５０００円の３つのコースを設定しました。そのほかにも、６０００円と７０００円の『白子づくしコース』も作り、こちらは特に、男性ビジネス層を中心に、少人数のお客様に好評でした」と話す佳子氏。女性を中心とした友人同士のプライベートな宴会に加え、会社の忘年会予約も増やすことに成功した。

ドリンクは、焼酎を中心に種類も豊富。バルの雰囲気を漂わせる店内では、梅酒やワインを飲みながら鍋を食べる女性も多いという。

店内は長いカウンターテーブルがキッチンと客席を二分し、オープンキッチンの中からは、どの客席も見渡せる。さらに一番奥のテーブル席は、１段高い場所に置かれ、テーブル上の料理も把握できるようになっている。「食事の進み具合などにも目を配るようにしています」と、接客にも力を入れる佳子氏。一人ひとりを大事にする小鍋メニューとサービスで、今年の忘年会も話題の店となりそうだ。