韓国・ソウル編 トッポギ最新事情! 後編

韓国でもっともポピュラーなおやつ“トッポギ”。その専門店のフランチャイズ化が進むソウルから、前編に引き続き、新しい波を含むトッポギ店2店舗をご紹介しよう。

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Vol.2

韓国でもっともポピュラーなおやつ"トッポギ"。その専門店のフランチャイズ化が進むソウルから、前編に引き続き、新しい波を含むトッポギ店2店舗をご紹介しよう。

味にうるさい芸能人の御用達!
カルチャー系おしゃれトッポギ屋台

「ジョス トッポギ弘大店」は、店舗横の交差点が"ジョス トッポギ五差路"と呼ばれるほど有名な店。ソースは、なめらかでこってり。初めは甘く、後からくる辛味が病みつきになるとトッポギマニアからの評価も高い。

セルフサービスが基本の多くのトッポギチェーン店と違い、ジョス トッポギ弘大店は、店員が注文を取り、支払いはレジで済ませるスタイル

「理由なき繁栄はない」というスピリットを語るのは、弘大店店長兼本社運営支援スーパーバイザーのチ・ジュンソン氏。「トッポギチェーンでは唯一、独自の物流センターを持ち、毎朝温かい作りたてのトッポギが到着するんです」と繁盛の理由のひとつを明かす。

店内では、若いスタッフたちの自由な空気感が、そのまま客に伝わっている。「会社の仕組み上、役員とスタッフが縦ではなく水平な関係で、アルバイトでも"~(名前)プロ"と呼びます」

「ジョスが行くところにはカルチャーがある」と言われることを目標に、音楽・文化行事へ積極的に参加しているのも特徴だ。「DJイベントや野外音楽フェスに出店し、飲食以外の分野でも、ユーザーにアプローチしています。利益ばかりを追求せず、今後は社会貢献もしていきたい」(ジュンソン氏)。スタイリッシュな店内には、多くの韓国の若者たちが集う。常に新しいカルチャーを発信するジョスのイメージを敏感にかぎとっているからに違いない。

ジョスと前編に登場した國代(ククテ)、2店舗に共通するのは、専門店としての確立された味にプラスαされた強い個性だ。トッポギは、今やその個性を前面に打ち出したブランド化の時代を迎えている。

同店のトッポギは、女性にも食べやすい小ぶりサイズ。手前の串は、釜山おでん。11種類の干物でとった出汁に、タイの唐辛子を加えたスープで煮込む
(右上から時計回りに)スンデ(豚の血ともち米の腸詰) 3,000ウォン(約210円)、釜山おでん 1個700ウォン(約49円)、辛いトッポギ、手作りてんぷら各2,500ウォン(約175円)。メニューそれぞれに特別なオリジナルレシピがあるのが特徴
2007年の創業以来、急速に店舗を増やし、今年7月現在で全81店舗となる。芸能人にも愛好者が多く、マスコミにも多数露出し、知名度を上げた
左は、ジョス トッポギ弘大店店長兼本社運営支援スーパーバイザーのチ・ジュンソン氏、右は、同店スタッフのチャン・ドンジュン氏
ジョス トッポギ 弘大店
ソウル市麻浦区西橋洞366-12/
서울 마포구 서교동 366-12
(地下鉄2号線弘大入口駅9番出口から徒歩7分)
TEL
02-337-1525
客単価
2500ウォン(約175円)
営業時間
12:00~翌2:00 (金・土曜 ~翌4:00)
定休日
なし
http://www.jawsfood.co.kr/

多種多様に進化し続ける
フュージョン・トッポギ

カラフルなソースがからまるのは、パスタではなくトッポギ。ここ「Beggarback TOPOKKI」は、韓国のおしゃれカフェであり、多国籍なソースのトッポギを提供している。しかも、トッポギの長さや太さ、形が異なるものが全8種類もある。なぜここまでトッポギにこだわったのか?

明るくて洗練されたデザインの「Beggarback TOPOKKI」。本格的なカフェメニュー&ドリンクも揃う

「海外留学経験のあるオーナーが、韓国料理を海外進出させたいと、トッポギに目を付けました。トッポギ(餅)を小麦食品のような多様性のある、ワールドワイドな食品としてブランド化させるのがコンセプトです」と、セールス&マーケティングを担当するテミョン コーポレーションのチョン・ヘヨン氏は語る。

メニューの多さもさることながら、その入れ替わりも頻繁だ。夏と冬でメジャーチェンジするほか、春秋にも一部変更し、常に改善・進化している。「新メニュー作りでは、様々な国の料理経験があるシェフ、レシピ研究の担当者など4人の開発チームが、現場スタッフの声を聞いて試行錯誤します」。

「トッポギは一般にはおやつですが、米で作られているので食事にもなります。形状やソースにこだわった結果、販路が広がり、カフェタイム、ランチ、ディナー、あらゆる時間帯で集客できるようになりました」国内市場規模1兆ウォン(約700億円)超と言われるほど韓国で愛されているトッポギ。1杯約200円の手軽なおやつとしても、食事のひとつとしても、ビジネスチャンスの可能性を十分秘めているようだ。

(下から時計周りに)「Creamy Pink」9,300ウォン(約650円)。しきつめた長いトッポギの両面を焼き、トマトクリームソースをかけたもの。「Orignal Masala Fried Rice」8,000ウォン(約560円)。カレー味のトッポギ(雪だるま型)とチャーハンの組み合わせ。「Black Sesame」9,300ウォン(約650円)。クリームソースに黒ごまを入れたあっさり味のソース。トッピングはチーズ
政府主催のトッポギフェスティバル2009年で最優秀賞を受賞したメニュー「Mr. Back's Special」9,300ウォン(約651円)。オリエンタルチリソースにからめたトッポギをサワークリームと一緒にトルティーヤに包んで食べる。辛さをサワークリームが和らげる絶妙の組み合わせだ
立地はセレブな街、江南(カンナム)。「貧乏人(Beggar)が戻ってくる」という店名には、思い出や愛に飢えた現代人を貧乏人に例え、欠けたものを満たす、という意味が込められている
左から、シェフのミョン・セホ氏、店長のパク・ジョンイム氏、ホールスタッフのキム・ソンファ氏

SHOP DATA

Beggarback TOPOKKI
(ベガバック トッポギ)ソウル市 瑞草区瑞草洞1317/
서울시 서초구 서초동1317
(地下鉄2号線江南駅6番出口から徒歩4分)

TEL

02-534-3877

客単価

9,000ウォン(約630円)

営業時間

11:00~23:00 (L.O 22:00)

定休日

なし

Text by 東郷葉月
Photo by 重松みさ
Coordination by 宋信海(TANO International)

*以上すべて、通貨レート:
100ウォン=7円で計算(2011年9月27日現在)