アメリカL.A.発 ベーカリースイーツ最新事情 後編

ミニカップケーキやフードアレルギー対応のベーカリーが大人気。モデルや俳優が多く集まるロサンゼルスでは、ルックスへの意識が非常に高いこともあり、以前より"ローファット"や"ノンシュガー"といった、ヘルシーさを売りにしたスイーツ店やレストランが数多く出店されてきた。

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Vol.7

モデルや俳優が多く集まるロサンゼルスでは、ルックスへの意識が非常に高いこともあり、以前より"ローファット"や"ノンシュガー"といった、ヘルシーさを売りにしたスイーツ店やレストランが数多く出店されてきた。しかし、味がいまいちなうえに、おしゃれな雰囲気に欠けていたことから、たいていは消えてきた。だが、今、新しい世代による、品質にこだわったヘルシーでおしゃれなベーカリーショップがいくつか登場し、絶大な人気を集めている。

「スイート・イーズ・ベイクショップ」のミニカップケーキ。季節に応じた目にも楽しいケーキがそろう

前編から引き続き、もはやヘルシーなだけではない、多様化するニーズに応えたアメリカ・ロサンゼルスのビバリーヒルズより、ベーカリースイーツの最新事情をリポート!

「スイート・イーズ・ベイクショップ」では、ギフト用のケーキもオーダーできる
様々なアレルギーに対応する「ザ・センシティブ・ベーカー」のケーキ

進化系カップケーキはミニサイズ
トラック販売にはツイッターを活用

アメリカでは、とりわけフードに関しては何でも大きいサイズが好まれるが、元女優のエリカ・タッカー氏が2009年に立ち上げた「スイート・イーズ・ベイクショップ」の商品は、すべてがミニサイズ。主力商品のカップケーキも、ゴルフボールほどのサイズだ。スコーン、チーズケーキ、マフィンなどの商品も、一般的なサイズの5分の1、あるいはそれ以下の大きさ。「色いろな種類を少しずつ食べたい」というニーズに応え、人気を博している。

ミニカップケーキはひとつ$2(日本円で約154円)。通常サイズのカップケーキに比べればかなり割高だが、少量を希望する人、あるいは少しずつ多種類を食べたいというニーズにマッチし、好評を得ている

愛犬のためのカップケーキ"パップ・ケーキ"やクッキーをメニューに加えたり、子供向けのお菓子作り教室を開催するなど、新しい商品開発や楽しいイベントも積極的に行なう。

実は同店は、販売戦略として、インターネットオーダーとフード・トラックを活用。近年、L.A.では店を構えず、トラックで移動して販売するフード・トラックがブームだが、「スイート・イーズ・ベイクショップ」も始めはこれでビジネスをスタートさせた。2011年にショップをオープンした後も、「スイート・イーズ・ベイクショップ」のフード・トラックはロサンゼルスの随所を回り、巡回スケジュールをはじめ、トラックの所在などをリアルタイムでツイッターで情報発信。こうした販売戦略で認知度を上げ、たくさんのファンを獲得している。

愛犬のためのクッキーやカップケーキも充実している。価格は$3~6(日本円で約231~462円)
店員のテイラー・チェネリー氏によると、電話やネットで注文して、テイクアウトするお客さんがとても多いとのこと
ピンクを基調にした明るくポップなインテリア。カフェとしても利用できる
Sweet E's Bake Shop
(スイート・イーズ・ベイクショップ)
1417 S. Robertson Blvd. Los Angeles
営業時間
月曜~土曜8:00~20:00
日曜10:00~17:00
定休日
なし
www.sweetesbakeshop.com

フードアレルギーに
徹底配慮するベーカリー

一方、今日、アメリカでも増え続けている、アレルギーを持つ顧客の細かいニーズに対応して支持されているのが、「ザ・センシティブ・ベーカー」。この店が作るパン、バゲット、ベーグル、チーズケーキ、クッキーなどは、小麦、グルテン、乳製品を一切使用していない。ほかに、ナッツや卵、大豆を使用していない商品もそろう。すべての商品に材料が明記されているのはもちろん、問い合わせがあれば、店員が細かく説明し、対応してくれる。例えば、大豆、ナッツ、卵の3つすべてにアレルギーを持つ人が来店したら、それに対応した商品を提供できるのが、同店の強みである。

グルテン、乳製品、あるいはナッツを使わないパンやハンバーガー、マフィン、ケーキなどの商品が充実

オーナーは、ダン&イーディ・アーウィン夫妻。息子が小さい時に小麦、米、アーモンド、大豆のすべてにアレルギーがあり、パンなどを自分で焼くようになったことが、お店を開いたきっかけだ。 上述したパン類やチーズケーキ、クッキーといった商品以外にも、ピザ生地やサラダ用クルトンなど、アメリカ人の日常の食生活に欠かせないものも提供。そのほか、バースデーケーキ、ホリデー用のパイなどの注文も受ける。

近年では、アレルギーを持つ人への対応が必要であることが理解されてきたため、ケータリング会社からの注文も増えており、ビジネスの拡大はまだまだ期待できそうだ。

乳製品、卵抜きのチーズケーキ。ビーガン用のチーズや大豆を原料とするサワークリームなどを使って作る
オーナーのイーディ・アーウィン氏。「新商品を開発するのは楽しい。大変なのは、それを大量に作ること」と語る
「小麦やグルテン抜きのパンを作るのは、スイーツを作るよりずっと難しい」とイーディ氏。卵の代わりにフラックス・シードオイル(亜麻仁油)でつなげるなど工夫を凝らしている

SHOP DATA

The Sensitive Baker
(ザ・センシティブ・ベーカー)10836 1/2 Washington Blvd. Culver City

営業時間

月曜~土曜10:00~18:00
日曜10:00~14:00

定休日

なしwww.thesensitivebaker.com

取材・原稿/猿渡由紀
写真/鈴木香織
構成/東郷葉月

※通貨レート:
2011年12月12日現在1$=約77円で計算