(後編)ドイツ・ベルリン発 カフェのおしゃれな朝食がブーム

ドイツの首都ベルリンでは、朝食メニューやブランチメニューを終日提供している「朝食メニュー専門カフェ」が続々登場している。後編では、世界各国の朝食を提供するなど、インターナショナルな朝食を出す店を紹介

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Vol.200

 ドイツ・ベルリンでは、多種多様な朝食メニューやブランチメニューのみを終日提供する「朝食メニュー専門カフェ」が続々と誕生し人気を集めている。見た目もおしゃれな料理の数々はSNSで拡散され、世界中から来た旅行者が行列を作るほどのトレンドスポットとなっている。

 前編では、ドイツ伝統の朝食セットやフォトジェニックなワンプレート朝食が評判のカフェを紹介した。後編では、よりインターナショナルでバラエティ豊かな朝食メニューを提供する、ドイツ人以外の外国人オーナーが経営するカフェをリポートする。

オーストラリア風の朝食メニューが人気

 旧東ドイツ側に位置するフリードリヒスハイン地区は、現在、海外からの旅行者を中心に若い層で賑わうエリア。飲食店やショップが並ぶ一角に、2人のオーストラリア人が、「メルボルンのカフェ文化をベルリンに伝えたい!」という想いから、共同オーナーとして立ち上げたのが「シロ・コーヒー(Silo Coffee)」だ。2013年8月のオープン以来、ベルリンの「FJORD COFFEE」のコーヒー豆を使用したフィルターコーヒー(2.7ユーロ=約319円)やカプチーノ(3ユーロ=約354円)を提供し、サードウェーブコーヒーとブランチブームの波に乗って人気を集め、ベルリンのカフェといえば真っ先に名前があがるほどの人気店になっている。

 営業時間は、平日が8時30分~17時、週末は9時30分~18時で、朝食やブランチ用のメニューを終日提供する。オープンサンドを中心に約10種をそろえ、内容は季節ごとに入れ替えている。

 一番の人気メニューは、店名を冠した「ザ・シロ」(12ユーロ=約1,416円)。ポーチドエッグのオープンサンドに、ローストポテトとベーコン、アボカドペーストと自家製のケチャップを盛り合わせており、オーストラリアで定番の朝食「ブレッキー」(ブレックファスト)をイメージしているという。トロッとしたポーチドエッグにしっとりとしたアボカド、カリカリのベーコンとホクホクのポテトなど、味はもちろん、素材ごとの食感の違いも楽しめる。

看板メニューの「ザ・シロ」。ハーブ入りのパンから作ったクランブルをポーチドエッグにのせてアクセントをきかせている

 また、「メルゲーズ&ハーブエッグ」(12ユーロ=約1,416円)は、トマトソースで煮込んだコーンとベイクドビーンズにメルゲーズ(スパイス入りソーセージ)とポーチドエッグ、サラダをスキレットに盛り合わせた、見た目も味もインパクトのある1品。トマトソースやソーセージは濃厚な味わいだが、まろやかな卵とさっぱりしたサラダを合わせることで、最後まで飽きずに食べることができる。

彩りも鮮やかな「メルゲーズ&ハーブエッグ」。スキレットを使うこともSNS映えのポイントに

 このほか、「ザ・オーブン・ベイクド・パンケーキ」(8.2ユーロ=約968円)も好評。オーブンで焼き上げたダッチベイビー生地にラズベリーとオレンジのピューレ、マスカルポーネ、ピスタチオ、バジルを飾ったメニューで、カルダモンとシナモン風味のシロップによってエキゾチックな味わいに仕上がっている。

「ザ・オーブン・ベイクド・パンケーキ」。見た目以上に食べごたえがあるため、デザートとして2人以上でシェアする人も多い

 オープン当時からコーヒー好きが足繁く通うほか、若者向けのホステルが密集するエリアということもあり、ここ数年はSNSなどで店を知って訪れる若い旅行者も増加。週末ともなると朝から1時間待ちの行列ができることも珍しくない。ドイツでは珍しいオーストラリア風の朝食やフレンドリーなサービスによって、若者を中心に人気を博している。

Silo Coffee
Gabriel Max Str. 4, 10245 Berlin
http://www.silo-coffee.com/

24時間、世界の朝食を提供するカフェ

 ベルリンの繁華街クーダム近くのホテル内に店を構えるのは、イスラエルの有名な朝食カフェチェーン「ベネディクト(Benedict)」の海外初進出店舗。24時間営業で世界各国の朝食を提供するという独特のコンセプトで、2016年の冬にオープンしてから、週末になると待ち時間が2時間にもなるほど、ベルリンで1、2を争う繁盛店へと成長した。

 メニューは、シャクシュカ(トマト、タマネギなどを炒めて、真ん中に卵を落としたイスラエル料理)や、ベイクドビーンズとベーコンが付く英国風、フランスのクロックマダム、ベトナム風オムレツなど世界約10ヵ国の朝食のほか、ビーガン向けのメニューやステーキなどもそろえる。前菜や付け合せメニューも種類豊富で、パンケーキを除くすべての料理に、食べ放題の自家製パン、サラダ、ホットドリンク又はカクテルのミモザが付くサービスも好評だ。

 特に人気が高いのは「エッグベネディクト」(15.90ユーロ~=約1,876円~)。ベルリンの多くのカフェで提供されているメニューだが、同店ではポーチドエッグに合わせる食材を、定番の「ハム&ベーコン」のほか、「サーモン」「エビ」「ミートソース」「ホウレンソウ」「アボカド」の計6種類から選ぶことができる。

ホウレンソウをトッピングした「エッグベネディクト」。濃厚なソースと卵がほろ苦いホウレンソウと調和。パンはバゲットやブリオッシュなど数種類から選べる

 また、「テルアビブ・ブレックファスト」(17.50ユーロ= 約2,065円)は、オムレツやスクランブルエッグなど数種類の卵料理から一つ選び、トマトソース入りサワークリームなどが付くイスラエルで定番の朝食セット。あれこれ少量ずつ楽しめるのが人気の理由だ。

「テルアビブ・ブレックファスト」。皿の上の小さな器に入っているのは3種のペースト(写真左からネギ入りフレッシュチーズ、ゴマのペースト、ツナペースト)。ドリンクは、ミモザ(写真左上)かホットドリンク(コーヒーや紅茶など)のどちらかを選べる

 このほか、「パンケーキ」(10ユーロ~=約1180円~)も人気メニューの1つ。型を使って厚さ3cmに焼き上げた生地は、ふわっとした食感で口どけがいい。フルーツやクリーム、チョコレートソース、ナッツなど、様々なトッピングを追加(有料)することも可能で、自分だけのフォトジェニックなパンケーキを作って写真を撮影する人も少なくない。

ブルーベリーのパンケーキ。ミニサイズのパンケーキ(6ユーロ~=約708円~)もある

 来店客はほとんどが外国人旅行者で、店内には様々な言語が飛び交っている。ベルリンのおしゃれな朝食専門カフェは、今や外国人観光客が旅行スケジュールのなかに組み込むスポットの1つになりつつある。

Benedict
Uhlandstraße 49, 10719 Berlin
http://benedict-breakfast.de/

取材・文/坪井由美子(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ユーロ=約118円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。