2014/12/25 NEWS

年間で話題となった料理「2014 今年の一皿」を発表

世界に誇る日本の食を文化として人々の記憶に残し、後世に語り継ぐことを目的に、株式会社ぐるなび総研は、1年間の「日本の食」を象徴する料理を「2014年 今年の一皿」として選定。「ジビエ料理」が選ばれた。

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左から滝久雄、杉本敬三氏、徳永純司氏、山口靖氏、塚本勝巳氏、道場六三郎氏、小山薫堂氏。中央と右端の書は、いずれも道場氏によるもの

各界の知見を集めて選定。1年の食の顔はジビエ料理

世界に誇る日本の食を、文化として人々の記憶に残し、後世に語り継ぐことを目的に、株式会社ぐるなび総研(代表取締役 滝久雄)は、1年間の「日本の食」を象徴する料理を選定。去る12月4日に「2014年 今年の一皿」として記者発表した。

選定の基準は、①2014年に流行、または話題になった ②社会の動きと深く関わり、世相を反映している ③食文化として後世に語り継ぐ価値がある、の3つ。選定手順はまず、ぐるなびのビッグデータ(月間4200万人のユニークユーザーによる検索ワードなど)を駆使してトレンド性の高いキーワードを抽出し、次にそれを選択肢としたアンケート調査を、ぐるなび会員を対象に実施して(有効回答約1万2000件)、上位キーワードを選出。それをメディア関係者が審査し、さらに、ぐるなび総研が各界の専門家の意見を得て最終決定を行った。

ぐるなび本社で開催された記者発表会には、ぐるなび総研の滝久雄をはじめ、同理事で「今年の一皿」発案者の小山薫堂氏、料理人の道場六三郎氏らが出席。滝は「『今年の一皿』を通じて、1年の食を振り返る機会となるよう願っています」と挨拶。小山氏は「『今年の漢字』や『流行語大賞』があるなら、『今年の食』も必要なはずと考え、今回の実現に至りました」と、「今年の一皿」誕生のきっかけを語った。

また、「毎日、献立を墨で書き、それを見ながら仕込みをしてきました」と、食と書の関わりを語る道場氏は、題字「今年の一皿」を披露した。

続いて、審査結果の発表へ。2014年の「今年の一皿」に選ばれたのは、「ジビエ(食用の野生鳥獣)料理」。同時に、「今年の食流」(話題になった食のトレンド)として「高級かき氷」、「今年の食材」としては「うなぎ」が選出された。「今年の一皿」では、道場氏が会場で書の腕をふるい、第1回「RED U-35」グランプリに輝いた、フレンチの杉本敬三シェフによるジビエ料理「蝦夷小鹿の赤ワイン煮込み ちりめんキャベツのカネロニ仕立て」が登場。小山氏らによる試食と杉本氏の解説に、記者席の目と耳が集中した。

今回、初めての選定となった「今年の一皿」だが、今後も毎年発表される予定。日本の食文化発展に寄与する1つとして、大きな意義を持ちそうだ。

2014年の「今年の一皿」として選定された「ジビエ料理」を、書にしたためる道場六三郎氏
記者発表会には、テレビ、雑誌など多くのメディアが来場し、関心の高さを伺わせた

2014 今年の一皿ジビエ料理

蝦夷小鹿の赤ワイン煮込み ちりめんキャベツのカネロニ仕立て

ともすると、地域の害獣とされる野生の鳥獣を、料理の力で価値に変える「ジビエ料理」は、農林水産省が進める六次産業化の象徴的存在。厚生労働省が「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」を作成するなど、2014年は「ジビエ元年」ともいえる。一般消費者への普及も始まっており、新たな日本の食文化の誕生として選定された。農林水産省食料産業局の山口靖氏は「世界に向かって、日本のジビエ料理を発信したい」と語った。
農林水産省食料産業局
外食産業室長
山口 靖 氏
料理しにくいと言われる鹿の前足を使ったジビエ料理を披露し、レシピなどを解説する杉本敬三シェフ(左から2人目)

2014 今年の食流高級かき氷

夏の風物詩で、職人の技が光るかき氷に、2014年は高級感と独創性を加えたものが多く登場。その注目の大きさから選定。ピンクのドン・ペリニヨンを使ったかき氷を作ったザ・リッツカールトン東京の徳永純司氏が喜びを語った。
ザ・リッツ・カールトン東京
ペストリーシェフ
徳永 純司 氏

2014 今年の食材うなぎ

乱獲と不漁による危機にあえぐニホンウナギ。「絶滅危惧種」に指定された節目の年に、うなぎを守る想いを込めて選定。日本大学教授の塚本勝巳氏は、ニホンウナギを襟を正してゆっくり楽しむ「ハレの日うなぎ」を提案した。
日本大学 生物資源科学部
海洋生物資源科学科 教授
塚本 勝巳 氏