プロの料理人の技術や知識を通して、和食を身近に考える特別授業
包括連携協定を結んだ福岡市とぐるなびの共催で、有名店の料理長が中学生を対象に「食育教室」を実施
「加賀屋」のシェフの指導で中学生が和食2品を調理
2015年7月、福岡市とぐるなびは、「福岡市と株式会社ぐるなびとの地域共働事業に関する包括連携協定」を締結。同協定の柱の1つである「食文化振興」の一環として、2016年2月16日に中学生を対象とした「食育教室」を福岡市立福岡中学校(福岡市東区)で開催した。このイベントは、福岡市の老舗日本料理店「加賀屋 博多店」の料理長・平川泰司氏が講師を務め、同校の1年生2クラス(各23名)が、それぞれ2時間の調理実習を受講するというもの(内容は同じ)。校長の廣瀬桂次氏も「プロによる実習型の授業は本校では初めて。一流の料理人の方に直接、調理技術や知識を学ぶことができる体験は、生徒たちにとって貴重な財産になるはずです」と、初めての取り組みに期待を寄せた。
授業の冒頭、生徒を前に平川氏は「今回は皆さんが家庭で作れるようなレシピを考えました。この授業をきっかけに、和食に関心を持ってもらい、料理人を目指す人が1人でも出てくればうれしいです」と笑顔であいさつ。
その後、今回のメニューである「鰆(さわら)の煮付け」「小田巻き蒸し、きのこ餡掛け」の調理手順を、実演しながら説明。魚を3枚におろすテクニック、熱湯にさらして魚の臭みを取る「霜降り」といった下ごしらえのほか、魚の旬の季節や特徴など食材に関する知識も紹介。生徒たちは平川氏の話に耳を傾けつつ、見事な包丁さばきに見入っていた。
調理の流れの説明が終わると、生徒たちは6つの班に分かれ、実際に調理を開始。平川氏は各テーブルを回り、「わからないことは何でも聞いてください」と気さくに話しかけ、生徒たちと会話をしながら手順を確認。「味だけでなく香りや盛り付けの美しさ、彩りも重要です」など、プロならではのアドバイスも伝授。どの班も協力し合いながら真剣に取り組み、2品を完成させた。
その後、できあがった料理を全員で試食。「おいしい!」の声があちこちで上がり、生徒からは「難しそうで不安でしたが、楽しく調理できました」「プロの人の手際のよさに驚いた」「これからは家でも和食を作ってみたい」といった感想が聞かれた。
最後に平川氏は、「和食は2013年に無形文化遺産に指定され、世界から注目されていますが、近年、若い人の和食離れが進んでいると言われています。今日は、夢中で調理する皆さんの姿が印象的でした。どの班の料理もおいしくできていました」と生徒の頑張りを大いに讃え、授業は終了。若い世代がプロの料理人の技術に触れつつ、和食文化についての理解を深める有意義なイベントとなった。