京野菜と京の食文化の魅力を発信し、伝承する「冬の京野菜まつり」を京都市役所前広場で開催
キッチンカーではシェフが京野菜をアピール
1月28日、京都市役所前広場において「冬の京野菜まつり」が開催された。このイベントは、京都の旬の野菜と食文化を未来へ継承するとともに、そのすばらしさを国内外へ広く発信する目的で、毎年行われているもの。2014年8月に京都市と地域活性化包括連携協定を締結した株式会社ぐるなびも主催に名を連ねている。
3回目となる今回は、京の伝統野菜をはじめ京都市産農畜産物の生産者、飲食店など計26のブースが出店。生産者が売り場に立ち、来場者に直接、京の食の魅力をアピールした。
また会場では、フレンチレストラン「ikariya523」(京都市中京区)の髙橋雄一シェフが、京都市産食材を使った特別メニューをキッチンカーで提供し、注目を集めた。この日に提供されたメニューは、「パテ・ド・カンパーニュ聖護院大根のピクルス」「鰯とゴロゴロ野菜のブルターニュ風スープ」「こだわりたまごのプリン」の3品。パテ・ド・カンパーニュには京の伝統野菜「聖護院大根」のピクルスが添えられ、ブルターニュ風スープには「九条ねぎ」や「畑菜」、「堀川ごぼう」などが、プリンには京都市で養鶏業を営む佐藤養鶏場の卵が、それぞれメイン食材として使われた。
メニューの開発に当たっては、「食材のよさが最大限に引き立つよう心がけました」と髙橋氏。キメが細かくやさしい味わいの聖護院大根は、本来の味を際立たせるため、あえて酸味を抑えて味付け。また、通常のごぼうの3倍ほどの太さがある堀川ごぼうは、厚めにカットして煮込み、存在感がありつつもやわらかな食感に仕上げたという。堀川ごぼうを提供した中弥 中島(なかや なかじま)農園の生産者は、「どんなメニューになるのか楽しみにしていました。自分たちでは思いつかないような料理で、香りとやわらかさを活かしていただけてうれしいです」と笑顔で話した。
日ごろから京都府内の産地をめぐり、生産者から野菜を直接仕入れることもあるという髙橋氏は、「京都には、おいしい食材を作る生産者の方々がたくさんいらっしゃいます。このイベントを通して、そうしたこだわりを広めるお手伝いができれば」と想いを語った。
そのほか、会場中央に設けられたメインステージでは、京都市内で行われた農産物品評会で市長賞、京文化担い手奨励賞を受賞した生産者を表彰する「平成28年度農産物品評会 市長特別表彰式」が行われた。式に駆けつけた京都市長の門川大作氏は、「京野菜は戦後、他府県と京都の農産物を流通で差別化し、確立してきたブランドです。これからも大切に守り、京都の食文化を発信することでさらなる発展につなげていきましょう」と呼びかけた。
さらにステージでは、大原野竹太筒やジャズの演奏、立命館小学校の子供たちによる「京のやさい歌」の合唱や「京の食文化クイズ大会」なども行われ、会場を沸かせた。来場者からは、「今まで知らなかった野菜もあり、興味深い」「いろいろな食材を食べることができて楽しかった」などの声が聞かれた。天候にも恵まれ、広場には約1万人が来場。その1人ひとりが、京野菜の魅力を存分に堪能した1日となった。