ぐるなび戦略共有会議「飲食店経営戦略セミナー」を開催。今、飲食店が抱える課題とその対策について考える

「ぐるなび戦略共有会議」が全国各地で行われ、東京では2月6日に開催。5つの基調講演と1つのパネルディスカッション、飲食業界の課題解決に向けたセミナーが実施され、多数の経営者やスタッフらが集まった。

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消費税、働き方など5つの注目ワードで戦略を共有

 外食業界の活性化を目的に、飲食店経営に携わる人々の学びの場として、年2回開催する「ぐるなび戦略共有会議」(GON MEETING)。年末の繁忙期前の9~10月と、歓送迎会を控えた1~2月に全国各地で行われており、2019年の最初の開催は、1月22日の岡山会場を皮切りに、全国14カ所で計15回。東京では2月6日、セルリアンタワー東急ホテル(渋谷)で行われ、多数の経営者、スタッフらが集まった。

 当日は、5つの基調講演と1つのパネルディスカッションが行われ、まず、43年間、居酒屋「駒八」を経営してきた八百坂(やおさか)仁氏が登壇。その歩みと継続の源泉となった考え方を披露した。続いて、株式会社物語コーポレーションの加治幸夫氏は、「個」を大事にする企業風土を紹介。さらに、飲食店コンサルタントの山川博史氏は、飲食店のマネジメントに必要な思考と取り組みを提起。3年で7店舗を出店した株式会社和音人の狩野高光氏は、事業のコンセプトと新しい活動を紹介し、株式会社一歩一歩の大谷順一氏は、これまでの歩みを振り返りながら、現在の立ち位置を語った。パネルディスカッションには、ミシュラン1つ星を獲得した富山県のレストラン「レヴォ」のオーナーシェフ・谷口英司氏と、世界のレストランをよく知る株式会社アクセス・オール・エリアの浜田岳文氏が登場。これからのレストランやシェフに求められている視点や行動について語り合った。

 また、平行して「このままではいられない!飲食業界激変時代 注目ワードTOP5 2019」と題し、セミナーも実施。2020年のオリンピック・パラリンピックを控え、激動が予想される飲食業界を5つのワードに注目して掘り下げ、課題解決の方法を探った。

 5つのワードは、ぐるなびの調査などからランキング形式で発表。第1位は「消費税率引き上げ」、第2位は「人手不足・働き方改革」。以下、第3位「オリンピック・パラリンピック」、第4位「キャンセル問題」、第5位「テクノロジーの進化」となった。セミナーではそれぞれの対策について、具体例を交えて提案。売上減が懸念される「消費税率アップ」については、過去の増税時における売上を調査。増税後に売上が上がった店と下がった店を比較し、効果的な価格改定の基本的な考え方を示した。また、「人手不足・働き方改革」では、今年4月から順次施行される「働き方改革関連法」を紹介しながら、「これを機に人材の定着率を上げる視点が重要」と解説した。計4回行われたセミナー会場はいずれも満席で、多くの参加者が熱心に聞き入っていた。

商品展示会には農畜産物から魚介、酒、調味料まで約30団体が出展。試食などを通して、参加者と生産者がコミュニケーションを取る貴重な場となった

 東京会場では「ぐるなび商品展示会」も同時開催され、参加者と生産者が活発に交流。さらに、全国約370店舗のエントリーの中から、日本一に選ばれた「しびれ鍋」を発表する「しびれ鍋グランプリ」授賞セレモニーも開かれた。会場内には「ぐるなびPOS+」「ぐるなびPay」などの特設ブースも設けられ、多くの人で賑わう1日となった。

基調講演(2月6日/東京会場)

駒八おやじの居酒屋人生
~継続経営の哲学~

株式会社 駒八
代表取締役社長 八百坂 仁 氏

1975年に“脱サラ”して「駒八」を開店し、グループ10店舗を展開。日本の居酒屋シーンを牽引してきた八百坂氏が、43年間に及ぶ継続経営の秘訣を紹介。常に「お客様ファースト」を貫いてきたことや従業員との付き合い方、時流を読んだ経営について振り返った。「実際には先を読むのは難しい。目の前の店をしっかりと見つめていくことが大事」と語りかけた。

13期連続増収増益 成長のカギは人財力と開発力
~モノ言う風土が“勝ち”のサイクルを創り出す~

株式会社 物語コーポレーション
代表取締役社長 CEO 加治 幸夫 氏

加治氏は、「飲食企業にとって、個人の成長で企業の成長を生み出す好循環のサイクルの構築がとても重要」と語り、「個人の尊厳と生活の向上、思いの実現」を柱に、採用から社員一人ひとりに合わせた教育のあり方など、自社の様々な取り組みを紹介。直営とフランチャイズを合わせて、国内で500店舗近くを展開し、増収増益を続けて成長する企業の土台を披露した。

採る・育てる・成長させる これからの飲食店マネジメントの思考とアクション
~あなたが育った方法であなたの部下は育ちません~

株式会社 オフィスヤマカワ
代表取締役 山川 博史 氏

参加者に、理想とする店の様子を思い浮かべてもらいながら、「現在は何点?」と問いかけた山川氏。「たとえ10点でも、“今”を認識できたことが重要」と語り、100点に近づくための「アクションプラン」を具体的に提起した。また、これからの飲食店リーダーに求められるのは、様々な価値観や文化を持つ人々を「1つのプロジェクトにまとめる力」と述べた。

三軒茶屋ドミナント、3年で7店舗展開する和音人の出店戦略

株式会社 和音人
代表取締役 狩野 高光 氏

東京・世田谷区の三軒茶屋エリアで、個性的な飲食店を次々と出店している狩野氏は、事業展開の根底にある価値観と戦略、次世代の飲食業界について縦横に語った。「ターゲットはミドルアッパー。上質の素材のよさに共感してくれる人々」と位置付け、日本在来の野菜の種を守ることの大切さなどとともに、現在手がけている多彩な活動についても紹介した。

お客様の不満足に目を向け、満足に変えてきた環境づくり

株式会社 一歩一歩
代表取締役 大谷 順一 氏

東京・北千住で居酒屋をドミナントで出店し、地域の活性化にも大きく貢献してきた大谷氏。「心豊かな街づくり」を掲げた初期の活動から、「豊かさをつなぐ」というキーワードで新たな展開を始めた近年の取り組みを紹介。「生産者の声を消費者に届けるとともに、消費者の満足を生産者に届けることも飲食店の役割」と語り、“つなぐ”ことの大切さを訴えた。

パネルディスカッション

地方レストランから学ぶ 経営手法や食材選定、生産者とのあり方について

富山県のレストラン「レヴォ」は、世界各国から客が訪れる人気店。世界のレストランに精通している浜田氏は、「レヴォは世界中の料理通に愛されている」と紹介。谷口氏は「料理を通して地元を盛り上げる活動が大切」と述べるとともに、富山の水、食材、伝統工芸のすばらしさにも言及した。

  • 株式会社 アクセス・オール・エリア 代表取締役 浜田 岳文 氏
  • 「レヴォ」 オーナーシェフ 谷口 英司 氏