「第3回地理的表示(GI)フェスティバル」が開催!

生産地の風土や伝統が育んだ特徴ある産品の名称を、知的財産として保護する「地理的表示(GI)保護制度」。この制度の周知を目指し「第3回地理的表示(GI)フェスティバル」が、2月15~16日に開催された。

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試食や体験を通じてGI保護制度の理解を深める

 生産地の風土や伝統が育んだ、特徴ある産品の名称を、知的財産として保護する「地理的表示(GI)保護制度」。この制度の周知を目的とした「第3回地理的表示(GI)フェスティバル」(主催/株式会社ぐるなび)が、2月15、16日の2日間、商業施設・KITTE(東京・丸の内)で開催。全国から集まった15のGI登録産品のブースが設置され、来場者は試食などを通じてGI保護制度への理解を深めた。

 GI保護制度は、農林水産物や食品などの名称のうち、産品の生産地が特定でき、確立した社会的評価が産地と結びついているものを知的財産として保護する制度。世界では100カ国以上で導入されており、日本でも2015年からスタート。これまでに「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など、36道府県の72産品と、海外の1産品の合計73産品が登録されている。

 GIは、生産者団体から申請された産品の名称(地理的表示)や特性、生産の方法が審査され、農林水産大臣が登録する。登録後は、登録生産者団体の生産者により、特性や生産方法の基準を満たして生産されたもののみが「地理的表示」と「GIマーク」を使用できる。生産者団体は品質管理を実施し、行政はその体制をチェックすると同時に、不正使用があった場合に取り締まる。厳格に運用することで、知的財産の保護や農林水産物の価値、売上を向上させ、さらに産品を利用する消費者の保護にもつながる効果がある。

東京・丸の内のKITTE1階に、15のGI登録産品のブースが登場。 訪れた人たちにGI保護制度と産品をアピールした
  • 来賓として登壇した農林水産省食料産業局 の倉重氏。「この機会に日本のGI登録産品 に触れることで、GI保護制度の理解につな げてほしい」と話した
  • 農林水産大臣により GI登録された産品の 証明となる「GI マーク」。 ブランドの保護や、 他商品との差別化を図ることができる

 初日に行われたオープニングセレモニーでは、農林水産省食料産業局の倉重泰彦審議官が来賓として登壇し、吉川貴盛農林水産大臣からのメッセージを代読。「日本とEUとのEPA(経済連携協定)発効に伴い、GI登録産品についてもお互いに高いレベルで保護することになった」としたうえで、「世界的に和食ブームが巻き起こるなかで、日本の産品の名称が海外で模倣され、知的財産権が侵害されるという問題も起きている」と指摘。日本産品のブランドを守る対策として、国内だけでなく海外でも、相互に地理的表示保護を進めていくとした。

 その後、ママタレントとして活躍する安めぐみ氏と、学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長で料理研究家の服部幸應氏が、GI登録産品の生産者を交えてトークセッションを行った。普段からママ友と食の情報交換をしているという安氏は、「GI保護制度は知るほどに素晴らしい制度だと思います。また、生産者さんのお話を聞いて食材選びがより楽しくなると思いました」と笑顔で話した。和食の魅力を国内外にアピールする「日本食普及の親善大使」も務める服部氏は、「和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、日本食材の注目度がますます高まっています」と話し、「GI保護制度は、伝統の産品を守ると同時に、若い人にも受け継いでいく取り組み。皆さんもぜひGIに注目し、日常の買い物でもGIマークが付いた産品を探してみてください」と呼びかけた。

オープニングセレモニーでは、服部氏と安氏によるトークセッションも行われ、GI保護制度への期待が語られた
  • トークセッションには、生産団体の関係者も登壇。岩手県「二子さといも」協議会の瀬川礼奈氏は、GI登録による生産性向上の効果などを語った
  • 「二子さといも」を生産する及川悦子氏は、「GI登録によって産品の認知が広がり、生産者のモチベーションも上がりました」と話した

 会場内のブースでは、生産者らが試食などを配り、GI登録産品についてアピール。また、「岩手木炭」を使ったオブジェや、「くまもと県産い草」のコースターを作るワークショップなども催され、大勢の人で賑わった。

吉川農林水産大臣も会場に駆け付け、オープニングセレモニー後、生産者らと意見を交わした
  • 「若狭小浜小鯛ささ漬」のブースでは、試食を提供。日本海産の小鯛を3枚におろし、塩や酢などに漬けて木樽に詰めたもので、ほどよい塩気と酸味で引き立つ小鯛の旨み、杉のほのかな風味などが好評を博した
  • 「くまもと県産い草・畳表」のブースでは、い草の原草や畳を展示。畳を使ったコースター作りなど、体験型の企画で品質をアピールした