特別セミナー「全国繁盛店事例から学ぶインバウンド対策」飲食企業によるパネルディスカッションなどを実施!

インバウンド集客に成功している飲食企業の取り組みを学ぶ場として、2月25日、特別セミナー「全国繁盛店事例から学ぶインバウンド対策」をぐるなびで実施。飲食店関係者など約80名が来場し、高い関心が寄せられた。

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訪日外国人が3千万人突破飲食店の役割はより重要に

 2018年、訪日外国人(インバウンド)の数は年間3000万人を突破し、過去最高を記録。飲食業界にも大きな経済効果をもたらしている。こうした流れを受け、株式会社ぐるなびは、インバウンド集客に成功している飲食企業の取り組みを学ぶ場として、2月25日、特別セミナー「全国繁盛店事例から学ぶインバウンド対策」を実施。ぐるなび本社(東京・千代田区)に、飲食店関係者など約80名が来場した。

 セミナーでは、まず、千房株式会社の代表取締役社長・中井貫二氏と、株式会社ワンダーテーブルの代表取締役社長・秋元巳智雄氏が、自社のインバウンド対策を紹介。中井氏は自社の主力業態である、お好み焼き専門店「千房」について、道頓堀店で来店客の約8割が外国人になっているといった現状を紹介し、「外国人だから特別扱いするのではなく、お客様として分け隔てない接客をすることが大事」と述べた。一方、しゃぶしゃぶ・すき焼き専門店「モーモーパラダイス」などで外国人集客に成功している秋元氏は、「世界的な口コミサイト、トリップアドバイザーの影響力は大きい。口コミが増えるような取り組みが集客につながる」と語った。

 続いて、中井氏と秋元氏、ぐるなびの執行役員・杉山尚美によるパネルディスカッションを実施。インバウンド対策について、「“ハード”より“ハート”での接客をするために、おもてなしの心を伝える徹底した従業員教育が必要」(中井氏)、「お客様の母国語で挨拶するなど、ちょっとした気づかいがカギ」(秋元氏)などの意見が出た。また、消費スタイルが、“モノ消費”から“コト消費”に変化していることに触れ、「お客様の目の前でお好み焼きにマヨネーズをかける“マヨビーム”などの演出や、顔をはめて記念撮影ができる、店頭のパネルなどが外国人に人気がある」(中井氏)、「外国人は日本人以上にSNSの利用率が高いので、いかに料理提供などサービスのなかに、写真撮影のタイミングを作るかがカギ」(秋元氏)など、外国人により喜んでもらうためのポイントにも言及。さらに両氏は、「しゃぶしゃぶやお好み焼きなど日本の食文化を世界に発信するのも、飲食店の使命」と位置づけた。

 パネルディスカッションの後は、観光庁・観光戦略課長の秋田未樹氏が登壇。アジア各国で中流階級が増加し、それに比例してインバウンドも増えていることを紹介。また、日本を観光先進国にするための取り組みとして、文化財などの観光名所における多言語解説ツールの充実など、「観光ビジョン実現プログラム」の内容も紹介した。

 最後はぐるなびによるセミナーを実施。ガストロノミーツーリズム(※)のニーズの高まりによって、飲食店が「食文化の発信」という役割を担うことが紹介され、高い関心が寄せられた。

(※)その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム

観光庁
観光戦略課長 秋田 未樹 氏

日本の観光先進国への戦略に加え、インバウンド増加の背景に触れ、「観光ビジョン実現プログラム2018」の取り組みを数値やデータを利用して紹介した。

  • ぐるなびによる「インバウンド大作戦」に関する資料なども配られ、関心を集めた
  • 講演やパネルディスカッションに耳を傾け、熱心にメモをとる人も多く見られた
ぐるなびからは、世界のトレンドになりつつあるガストロノミーツーリズムについて紹介した

パネルディスカッション「インバウンドで成功する施策がまるわかり!今日から始めるインバウンド対策」

千房株式会社
代表取締役社長 中井 貫二 氏

2018年、父・政嗣氏の後を継いで代表取締役社長に就任。お好み焼き店「千房」を軸にした鉄板焼業態などを、国内67店舗、ハワイ、ベトナムほか海外に9店舗展開している。インバウンド対策では視覚に訴えるわかりやすいブランディングが重要であると述べ、台湾人ブロガーを店に招いてマヨネーズパフォーマンスについて発信してもらうなど、具体的な取り組みを紹介した。

株式会社ワンダーテーブル
代表取締役社長 秋元 巳智雄 氏

2000年に株式会社ワンダーテーブルを設立。しゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題が売りの「モーモーパラダイス」のほか、「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」「バルバッコア」など14のブランドを展開。国内52店舗、海外70店舗を構える(2019年3月末現在)。自社内に「インバウンドアドバイザー制度」を導入し、スタッフのネームプレートに、そのスタッフが話せる言語を表示するなど、インバウンド対策を紹介した。