2020年と、その先を見据えた訪日外国人対策を考える、飲食店向けの特別セミナーをぐるなび本社にて開催

ぐるなびは2月25日、LIVE JAPAN特別セミナー「インバウンド消費額15兆円時代がやってくる」を実施。拡大するインバウンド市場に向けて東京都の観光施策を紹介。飲食店に向けたインバウンド対策セミナーも行われた。

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東京都が行う対策セミナーや補助金制度などを紹介

 2019年、インバウンド(訪日外国人)の数は3188万人を突破し、政府は2020年に4000万人、2030年に6000万人(消費額15兆円)を目標に掲げている。2020年はもちろん、その先のインバウンド需要も見据え、ぐるなびは2月25日、本社(東京・日比谷)にてLIVE JAPAN特別セミナー「インバウンド消費額15兆円時代がやってくる」を実施。飲食店・小売関係者など約100名が会場に集まった。

 セミナーは2部構成で、第1部には東京都産業労働局観光振興担当部長の鈴木誠司氏が登壇。「東京都の観光施策~東京2020大会とその先を見据えて~」と題して講演を行った。まず鈴木氏は、ここ数年、東京を訪れる外国人の数や消費額が増加傾向であることに言及。高まるインバウンド対策のニーズに応えるため、飲食店などを対象に外国人受け入れ体制強化に役立つセミナーを実施するほか、無線LANの設置に関わる環境整備などのインバウンド対策を支援するため、補助金制度を設けていることなどを伝え、「年間で100店舗以上の飲食店様をはじめとした事業者様がこの補助金を活用されています」(鈴木氏)と実績を語った。また、オリンピック・パラリンピック開催期間中の、道路混雑緩和のための取り組み「交通需要マネジメント」の内容も紹介。最後に、今後の観光施策について、「次世代の通信技術・5Gなども活用して、観光振興を進めていきたい」と締めくくった。

  • 会場には、ぐるなびが運営する訪日外国人向け観光旅行情報サイト「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」の解説パネルも掲示され、注目を集めた
  • 講演を聴きながら、外国人対応のポイントなどをメモする参加者が多く見られた

 続く第2部では、ぐるなびによる対策セミナーを実施。飲食店が外国人客を受け入れるうえでのポイントとして、「メニューブックなどの多言語化」「決済手段の拡張」といった対策が重要であることを指摘。また、年間のべ4900万人以上が利用している、訪日外国人向け観光旅行情報サイト「LIVE JAPAN PERFECTGUIDE」についても解説。昨年12月から多言語対応で外国人観光客とチャットしながら予約を受け付ける「飲食店チャット予約機能」が付いたことなどが紹介され、注目を集めた。

第2部のぐるなびによるインバウンドセミナー。外国人客を取り込むメリットなどを、様々なデータを基に解説

ゲスト講演

東京都の観光施策
~東京2020大会とその先を見据えて~


東京都 産業労働局 観光振興担当部長
鈴木 誠司 氏

近年、東京を訪れた外国人数の推移や、現在、都が行っている観光施策などについて、産業労働局の鈴木氏が解説。飲食店にとって役立つセミナーやサービスなどにも力を入れていることを紹介し、広く活用を呼びかけた。

◆講演で紹介された主な観光施策

「世界一のおもてなし都市・東京の実現」

東京都では、飲食店などが外国人客の受け入れ体制を強化できるよう、様々なセミナーを実施するほか、来店した外国人と意思の疎通が困難な場合に、円滑なコミュニケーションをサポートするコールセンター(5カ国語対応、今後12カ国語に拡大。利用無料)も設置。また、無線LANの環境整備、クレジットカードの決済端末導入などのインバウンド対策を支援する補助金制度(1施設あたり最大300万円)も用意。さらに、災害が発生した際、外国人旅行者に対してどのような対応が有効だったかなど、過去の事例を紹介するセミナーなども実施している。


「世界の旅行者を楽しませる旅行体験の創出」

外国人旅行者によるナイトライフ観光(夜間の観光やアクティビティなど)を推進すべく、食、文化・芸能をはじめとする、東京の観光資源を活かした旅行事業者などを支援。また、多摩地域や小笠原諸島などでの登山やラフティングといった、豊かな自然を活かした新たな東京の楽しみ方を提案する体験型・交流型の観光事業開発を行う民間事業者や団体の支援にも力を入れていく。


「旅行地としての世界的な認知度の向上」

ブレジャー旅行者(ビジネスでの出張と休暇を組み合わせて、出張先でレジャーを楽しむ旅行者)を誘致すべく、海外ビジネス誌への広告掲載など観光プロモーションを展開。また、MICE(マイス/国際的な会議や学会などの総称)の会場となる施設の機能強化やブレジャー旅行者向けの観光コースの造成・PRを支援。屋久島(鹿児島県)や知床(北海道)など、自然遺産登録地がある道府県と連携した観光振興事業も実施している。さらに、オリンピック・パラリンピック大会期間中に、プロジェクションマッピングや屋外広告を活用し、観光地としての東京の魅力を発信する予定。


「東京2020大会の交通需要マネジメント」


オリンピック・パラリンピックの開催期間中、交通混雑緩和のために実施される「交通需要マネジメント」(TDM)に関する助成金制度を制定。物流にかかわる都内の中小企業・団体がTDMに対応するために必要な経費(車輌管理システムの導入や海上輸送の導入、倉庫・冷蔵庫の借り上げなど)について、最大100万円(システム導入・改修の場合は最大500万円)を助成する。合わせて、企業に対し、大会期間中のテレワークや時差出勤をはじめとする“スムーズビズ”の導入も推進し、良好な交通状況を目指していく。