2021/11/24 NEWS

「RED U-35 2021 ONLINE」のグランプリは堀内浩平氏に決定!

日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」が2年ぶりに開催され、オンラインによる審査の結果、35歳の堀内浩平氏(Yamanashi gastronomyIchii/東京)が応募総数508人の頂点に立った。

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最終審査は、「リモートクッキング」。候補者の指示のもと調理師専門学校生が作った「家庭でできる『未来のための一皿』」で審査!

 食の未来を開く情熱と行動力を持った35歳以下の若手料理人を発掘・後押しすることを目的に、2013年から開催されてきた「RED U-35」(RYORININ's EMERGING DREAM U-35)。2020年はコロナ禍によってやむなく中止となったが、2021年はすべての審査をオンラインで行う方式で、参加資格を36歳まで引き上げて開催が実現した。11月16日には、都内で最終審査が行われ、グランプリ(レッドエッグ)・準グランプリが決定。同日、場所を替えて授賞セレモニーも行われた。

 今年は国内外から508人が応募し、ドキュメント(書類)による1次審査、映像による2次審査、オンライン面談による3次審査を経て4人のファイナリスト(ゴールドエッグ)が決定。Yamanashi gastoronomy「Ichii」(東京)のシェフ・堀内浩平氏(35歳)、フランス料理「nôl」(東京)のディレクター・野田達也氏(36歳)、ガストロノミー「pesceco」(長崎)のオーナーシェフ・井上稔浩氏(35歳)、「ベトナム料理とワイン CHILAN」(広島)の女性オーナーシェフであるドグエン・チラン氏(33歳)が最終審査に臨んだ。審査員は、審査員長の德岡邦夫氏(「京都吉兆」総料理長)を筆頭に、脇屋友詞氏(「Wakiya一笑美茶樓」オーナーシェフ)、和久田哲也氏(「Tetsuya's」オーナーシェフ)、笹島保弘氏(「IL GHIOTTONE」オーナーシェフ)、鎧塚俊彦氏(「Toshi Yoroizuka」オーナーシェフ)、狐野扶実子氏(食プロデューサー)、生江史伸氏(「L'Effervescence」シェフ)、太田雄貴氏(国際フェンシング連盟副会長)の8人が務めた。

リモートで最終審査に臨んだ4人のファイナリスト。左上から時計回りに、堀内浩平氏、野田達也氏、井上稔浩氏、ドグエン・チラン氏

 最終審査はオンラインによる「リモートクッキング」方式。ファイナリストの4人は「家庭でできる未来のための一皿」というテーマでレシピを考案し、遠隔地からオンラインで審査会場にいる2人の調理人(調理師専門学校生)に指示を出し、40分での料理完成を目指す。審査員団は会場で調理の様子を見た後、出来上がった料理を試食し、候補者とオンラインで面談を行うという流れ。ファイナリストは包丁を握らず食材にも触れず、調理人に“伝える力”だけで料理を完成させなければならず、レシピの完成度だけでなく、指示の的確さ、調理に関するあらゆる管理能力が試されることとなった。

  • 最終審査「リモートクッキング」では、ファイナリストがモニター越しに調理人に指示を出し、それぞれの「未来のための一皿」を完成させた
  • 審査員はリモート調理の過程を見るとともに、調理人が作ったファイナリストの料理を試食。オンラインで面談も行った
  • 堀内浩平氏の「希望の種」。 未来の食材として期待される豆類、キノコ、イモ、スプラウトを使用し、食の未来へ一石を投じた
  • 野田達也氏の「大豆ミートのラグートマトパスタ 蕪とお米の食べるスープ」。 代替肉を使用するとともに、調理工程の多い本格的な料理を家庭で作れるようにチャレンジ
  • 井上稔浩氏の「季節香る 春菊の手延べそうめん」。 春菊、そうめん、ゆず、梅干し、アサリなど、身近でなくなりつつある日本らしい食材のおいしさに注目
  • ドグエン・チラン氏の「うちの唐揚げ」。 大人から子どもまで幅広く愛されている料理をベトナム風にアレンジ。家族の温かい時間を演出する一品

 その後、場所を変えて行われた授賞セレモニーでは、総合プロデューサーを務める放送作家の小山薫堂氏がファシリテーターを務め、審査員団によるトークセッションを実施。料理人として大切にしているインプットの方法や「RED U-35」の審査員を務めたことで得た変化などが語られた。

 そして、各賞の発表のあと、グランプリが発表され、見事、堀内浩平氏が頂点に立った。最終審査で堀内氏は、オンライン環境の中、予想できないアクシデントにも柔軟に対応し、時間内に料理を完成。未来の食を支える食材として期待が高まる豆類、キノコ、イモ、スプラウトを使用し、限られた食材でもおいしい料理が作れることを示すとともに、食の未来を考えるきっかけを提示した。堀内氏は「優勝を目指してここまできましたが、実際に選ばれると言葉にならない」とうれしさをにじませ、「賞金の500万円は、ソムリエの兄とともに山梨県に出店するレストランの開業資金にあて、山梨から世界に発信できる店を作りたい」と力を込めた。なお、準グランプリには、代替食材を使用し家庭でも作れる本格的なパスタとスープを提案した野田達也氏が選出された。

グランプリを発表する審査員長の德岡邦夫氏(中央)と、喜びの表情を見せる堀内浩平氏(右、モニター)

 続いて、株式会社ぐるなびの代表取締役社長・杉原章郎が登壇。「RED U-35」のコンセプトを一新したことを報告し、「食で世界を変えるプラットフォーム」としてさらなる発展を支えることを表明した。最後に登壇した小山氏は、「RED U-35」がコロナ禍の中で開催できたことへの感謝を述べるとともに、リモートクッキングの可能性と「RED U-35」の進化に言及。次回からの新しい審査員長として狐野扶実子氏を紹介し、期待を呼びかけて閉幕となった。