映画『ハイジ アルプスの物語』 - エンタメレストラン -

2017/08/04

エンタメレストラン

Vol.142
ハイジ アルプスの物語
8月26日、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
http://heidimovie.jp/
© 2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film GmbH
【イントロ&ストーリー】
1880年の出版以来、約60の言語に翻訳され5000万部以上が発行されている「アルプスの少女ハイジ」。1974年には高畑勲、宮崎駿らによってアニメ化もされ、今なお世界中で絶大な人気を誇っている。この不朽の名作を、本国スイスが名誉と情熱をかけて実写映画化。ハイジに扮するのは500人の候補の中から選ばれ、これが映画デビューとなるアヌーク・シュテフェン。名優ブルーノ・ガンツが"アルムおんじ"を演じる。
★アルプスに暮らすおんじ(ブルーノ・ガンツ)のもとに預けられた、天真爛漫な少女ハイジ(アヌーク・シュテフェン)。無愛想だが本当は優しいおんじと心を通わせたハイジは、ヤギ飼いのペーター(クイリン・アグリッピ)という友だちもでき、山での日々を心から楽しんでいた。ある日、ハイジはフランクフルトに住むお金持ちのお嬢様クララ(イザベル・オットマン)の話し相手として都会へ呼ばれることになる。足の悪いクララは車いす生活を送っていたが、明るいハイジに励まされ、元気を取り戻していく。だがハイジのなかでは次第に、おんじの待つアルプスへ帰りたいという思いが膨らんで……。
【キャスト&スタッフ】
監督:アラン・グスポーナー
脚本:ペトラ・ヴォルぺ
出演:アヌーク・シュテフェン、ブルーノ・ガンツ、イザベル・オットマン
原作:ヨハンナ・シュピリ「アルプスの少女ハイジ」(講談社青い鳥文庫)
配給:キノフィルムズ

みんな大好きなあの“トロットロのチーズ”も、しっかり再現!
原作ファンも、日本のアニメファンも納得の決定版「ハイジ」

 ヨハンナ・シュピリが1880年に出版した児童文学を、原作が生まれたスイスで新たに実写映画化! 今回はその『ハイジ アルプスの物語』への、こんな絶賛コメントから始めよう。

 可愛いハイジ!
 愛しいハイジ!
 映画の中に
 飛び込んで、
 思いっきり
 この胸に抱きしめて
 やりたくなりました。 --杉山佳寿子(声優)

 異議なーし! 杉山佳寿子さんとは言うまでもなく、あの日本アニメ史上に燦然と輝く『アルプスの少女ハイジ』(1974年)で、ヒロインのハイジを担当したレジェンド声優だ。演出は高畑勲、キャラクターデザイン・作画監督が小田部羊一、さらに場面設定・画面構成(レイアウト)で宮崎駿が参加──と、傑出したアニメーター陣が揃い踏みし、海外でも放映。ヨーロッパをはじめ、世界的に「名作認定」されている。

 これも有名なエピソードだが、高畑勲や宮崎駿らスタッフはなんと約1年間、ロケーション・ハンティングの機会を与えられ、現地の風景や人々の暮らしなどを毎日スケッチしまくってから制作に挑んだという。『ハイジ アルプスの物語』を監督したアラン・グスポーナーは1976年、スイスのチューリッヒ生まれ。子どもの頃から、今まで幾度も映像化されてきたこの古典に触れてきた。観た順番はわからないけれども何バージョンかあって、ひとつは自国で実写映画にした1952年のモノクロ版(1955年に続編もあり)。それから1974年のイギリス・BBC制作によるテレビドラマ版、そして日本の高畑演出のアニメ版で、どれもお気に入りだそう。

 アラン・グスポーナー監督のこの映画版は、原作ファンも日本のアニメファンも“スタンディングオベーションもの”のできで、少女ハイジの自然児ぶりはもちろんのこと、(スイス出身の名優ブルーノ・ガンツが演じた)頑固だが心根はやさしい祖父のアルムおんじ、ヤギ飼いの少年ペーター、足が悪く車いす生活を送っている大富豪のお嬢様クララ、教育係ロッテンマイヤーさん……などなど、よく知るキャラクターたちがスクリーンを通して躍動する。また、高畑&宮崎アニメファンにとってたまらないのは、アルムおんじがハイジにふるまう、あの“トロットロのチーズ”もちゃんと再現されて出てくること!

 長い冬を越すための貴重な食材、スイスの風土に根ざしたチーズの数は数百種類にものぼるというが、暖炉の火で溶かしたチーズをライ麦パンに乗せて食べる場面はインパクト大で、真似をしたいと思った人もたくさんいるだろう。あれ、公式的には具体的なチーズの種類は定められないそうだが、通説では“ラクレット”なんだとか。ラクレットとは、牛乳でつくられるスイスのセミハードタイプのチーズ。フランス語の「削り取る」を意味する“ラクレ”が語源だ。チーズの断面を直火で温め、溶けたところをナイフなどで削いでジャガイモにからめ、食するのがスタンダードである。

 ほかにも本作には、ヤギのしぼりたてのミルク(木製のスプーンやお椀でいただきます!)、クララのいるゼーゼマン家で出される(固いライ麦パンとは違う)白い小麦粉のパン“ゼンメル”なども登場。作品の重要なエレメントとなっており、そこにもアニメファンは大満足。当然映画には流れないけれども、観終わってから思わず、『アルプスの少女ハイジ』のオープニングを飾った伊集加代子&ネリー・シュワルツ(ヨーデル)の名曲「おしえて」(♪口笛はなぜー、遠くまで聞こえるの♪)を口ずさんでしまいそうだ。

Text by 轟夕起夫(映画評論家)
「キネマ旬報」「映画秘宝」「ケトル」などで執筆中。近年の編著に「好き勝手夏木陽介スタアの時代」(講談社)など。雑誌「DVD&ブルーレイでーた」で連載した名物コラム『三つ数えろ!映画監督が選ぶ名画3本立てプログラム』も単行本化。取材・構成を担当した『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』がスペースシャワーブックスより発売中。
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