台湾発 新感覚フルーツ料理に迫る 前編 - 海外トレンドリポート -

2015/12/10

海外トレンドリポートvol.103 台湾

台湾発
新感覚フルーツ料理に迫る 前編

 南国・台湾の魅力の1つと言えばおいしいフルーツ。そのまま食べたりデザートに用いたりするのが一般的だが、最近台湾では風味豊かなフルーツを料理に使うことがトレンドになっている。フルーツの酵素が食材をよりおいしくする効果も期待でき、ビタミンなどの栄養素も手軽に摂ることができると人気が高まっている。

 前編では台湾料理、広東料理とフルーツのコラボレーションを紹介する。油っぽくなりがちな中華料理にフルーツを使うことで、さっぱり仕上げた新感覚フルーツ料理をご覧いただこう。

市場で売られる様々な種類のマンゴー。ビタミンをたっぷり含むトロピカルフルーツは台湾の生活には欠かすことができない存在だ
市場で売られる様々な種類のマンゴー。ビタミンをたっぷり含むトロピカルフルーツは台湾の生活には欠かすことができない存在だ
中華で有名な料理「生菜蝦鬆」(エビの炒め物のレタス包み)に使われる荸萕(黒クワイ)の代わりにグァバを用いた創作料理。グァバの爽やかな甘みがエビとよく合う一品
中華で有名な料理「生菜蝦鬆」(エビの炒め物のレタス包み)に使われる荸萕(黒クワイ)の代わりにグァバを用いた創作料理。グァバの爽やかな甘みがエビとよく合う一品
パパイヤ、リンゴ、梨などの天ぷら「咖哩水果佐麺包」(360元=約1,354円)。スパイスの効いた本格カレーとフルーツの甘みが、意外だが絶妙な組み合わせ
パパイヤ、リンゴ、梨などの天ぷら「咖哩水果佐麺包」(360元=約1,354円)。スパイスの効いた本格カレーとフルーツの甘みが、意外だが絶妙な組み合わせ

フルーツ料理を存分に楽しめる創作台湾料理レストラン

 台北の中心部、銀行や商社などが軒を連ねる松江路沿いのビジネスエリア。ここに2013年6月オープンしたのが創作台湾料理レストラン「満穂台菜(マンスイタイツァイ)」。常時、約30種類ほどのフルーツを使った創作料理が楽しめ、旬のフルーツを使った季節限定メニューも登場する。

 前菜の人気メニューは「水梨鮮干貝」(480元=約1,805円)。生の梨とさっと湯通ししたホタテを使い、味付けにはマヨネーズ、ゴマとピーナッツのソースを合わせ、サラダ感覚で楽しめる一品となっている。梨のシャキシャキした食感がホタテの柔らかさをより引き立て、梨の甘みとホタテの旨みが見事にソースにまとめられて絶妙な味わいだ。

 スープメニューの中で人気の1つ「蘋果苦瓜排骨湯」(中サイズ960元=約3,610円)は、苦瓜とリンゴを組み合わせた料理。くし型に切られたリンゴが鍋一面に浮かび、見た目のインパクトも強い。リンゴのフルーティーな香りと甘みが染み込んで、苦瓜の苦みがまろやかになっている。出汁には豚骨を使っているが、リンゴを合わせることで臭みはまったく感じず、むしろ旨みが増した感がある。

 また、「香蕉鱔魚」(420元=約1,579円)はバナナとタウナギ(淡水魚の一種)の炒め物。タウナギがおいしい秋の限定メニューだ。台湾バナナの濃厚な甘みと醤油ベースの甘辛いタレがよく合う一品。

 料理長の連武徳氏によると、フルーツ料理のポイントは「果物の持つ甘みや酸味をそのまま活かせるよう、味付けは最小限にとどめること」だという。ビタミンが豊富で、調味料の量も減らすことができるフルーツ料理は、健康面を気にする若い女性から年配の人まで幅広い層に人気がある。

 近年、台湾では食の安全や健康が重要視されるようになり、おいしくヘルシーで安全性の高い料理が求められている。そんな背景のなか、ヘルシーなうえに味も見た目も斬新なフルーツ料理がトレンドになるのは自然の流れなのかもしれない。

手前が梨とホタテを使った「水梨鮮干貝」、奥が苦瓜とリンゴのスープ「蘋果苦瓜排骨湯」。鮮やかな見た目も食欲をそそる
手前が梨とホタテを使った「水梨鮮干貝」、奥が苦瓜とリンゴのスープ「蘋果苦瓜排骨湯」。鮮やかな見た目も食欲をそそる
バナナとタウナギの炒め物、「香蕉鱔魚」。バナナを甘辛いタレと組み合わせるという発想が斬新
バナナとタウナギの炒め物、「香蕉鱔魚」。バナナを甘辛いタレと組み合わせるという発想が斬新
料理長の連武徳氏。研究を重ね、今のメニューが完成するまでには半年ほどの時間を費やした。「台湾が誇るおいしいフルーツを取り入れて新しい料理を作っていきたい」と語る
料理長の連武徳氏。研究を重ね、今のメニューが完成するまでには半年ほどの時間を費やした。「台湾が誇るおいしいフルーツを取り入れて新しい料理を作っていきたい」と語る
満穂台菜(マンスイ タイツァイ)
SHOP DATA
満穂台菜(マンスイ タイツァイ)
台北市松江路128號1F
http://www.mansui.com.tw

老舗レストランの看板メニューにもフルーツ料理が登場

 総統府などの政府機関や銀行の本店などが集まる政治経済の中心地、中正区にある老舗広東料理レストラン「大三元酒樓(ダーサンユェンチョーロウ)」。創業は1970年と、45年もの歴史を持つ老舗だ。政府機関や財閥本社に勤める人たちなどからも信頼が厚く、重要な会合や政府関係者の食事会にも利用される。

 現在の看板メニューは、パパイヤに海鮮を合わせてグラタン風に仕上げた「海鮮焗木瓜」(300元=約1,128円)。台湾の食文化を取り入れながらも、伝統的な広東料理を提供してきた老舗レストランの斬新なアイデアメニューだ。屋台でパパイヤを焼いたものを売っているのを見た女将が考案し、シェフやスタッフたちと数カ月の試行錯誤を経て作り上げた。

 半分に切って種の部分をくりぬいたパパイヤに、一口大に切ったエビ、アワビ、ホタテ、ナマコなどの海鮮をぜいたくにのせ、その上から台湾独特の甘いマヨネーズをたっぷりかけてオーブンで焼き上げる。熱を加えることでとろけるほど柔らかくなり、甘みの増したパパイヤが海鮮とマヨネーズの塩分と合わさり、なめらかなクリームソースのような味わいが口いっぱいに広がる。パパイヤは台湾南部の屏東産を厳選。加熱すると柔らかくなり、甘みも増すことを見越して、デザートとしてそのまま食べるものより水分が少なく、7割ほどしか熟していないものを使用している。

 新鮮なエビとパイナップルを合わせた「鳳梨明蝦球」(580元=約2,181円)も人気の一品。肉厚で大ぶりな車エビをまるごと使用し、一度軽く片栗粉をまぶし揚げ、そこにマヨネーズと一口大に切った台湾産のパイナップルを加えて炒める。エビにパイナップルの酸味、甘み、さらに新鮮な歯ごたえとみずみずしさが加わり、揚げ物とは思えないほどさわやかな口あたりだ。

 オリジナルのフルーツ料理を始めてから政府・財界関係者や常連客だけでなく、トレンドに敏感な若い世代や外国人観光客の利用も増加した。老舗であることにあぐらをかくことなく、おいしくて健康的なものを探求した結果、新たなトレンドを生み出すことにつながったといえる。

取材・文/石井 三紀子(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1元=約3.76円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。
看板メニューのパパイヤ海鮮グラタン「海鮮焗木瓜」。パパイヤをそのまま器として使う盛り付けのアイデアもユニーク
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新鮮なエビとパイナップルを合わせた「鳳梨明蝦球」も人気。果肉をくりぬいたパイナップルの器に盛られた様子は華やかでテーブルを明るく彩る
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「オーナーからスタッフまで常に様々なことに興味を持ち、新聞はもちろん、街角でも新しい情報にもアンテナを張り巡らせることが発想力の秘訣」と語る料理長の張勤賢氏
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大三元酒樓(ダーサンユェンチョーロウ)
SHOP DATA
大三元酒樓(ダーサンユェンチョーロウ)
台北市衡陽路46號
http://www.3coins.com.tw/index.php
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