タイ発 TAKOYAKIが独自に進化中! 前編 - 海外トレンドリポート -

2018/02/08

海外トレンドリポートvol.155 タイ

タイ発
TAKOYAKIが独自に進化中! 前編

 近年、日本食がブームのタイには、約2,700店もの日本食レストランがあると言われている。寿司やラーメンなどが人気の中心だが、最近、注目を浴びているのが「たこ焼き」だ。

 人気の理由はいくつかある。まず、たこ焼きの形が、タイの屋台で売られている焼き菓子「カノムクロック」に非常に似ていて話題になったこと。また、ここ数年、日本への旅行がブームになっていて、本場・大阪などでたこ焼きのおいしさを知った人たちが増えたこと。さらに、手軽な値段でたこ焼きを販売する屋台が増え、幅広い層が購入できるようになったことなどがあげられる。

 前編では、そんなタイで独自の進化を遂げたたこ焼きを提供している店を紹介する。

タイでポピュラーな、たこ焼きに似た屋台スイーツ「カノムクロック」。米粉などをココナッツミルクで溶いて焼いたもので、たこ焼きのように回転させながら焼くのではなく、片面を焼いたものを2枚重ねて球状にする
タイでポピュラーな、たこ焼きに似た屋台スイーツ「カノムクロック」。米粉などをココナッツミルクで溶いて焼いたもので、たこ焼きのように回転させながら焼くのではなく、片面を焼いたものを2枚重ねて球状にする
屋台はもちろん、たこ焼きを提供している日本食レストランやラーメン店も多いことから、その人気ぶりがうかがえる
屋台はもちろん、たこ焼きを提供している日本食レストランやラーメン店も多いことから、その人気ぶりがうかがえる
タイ独自の調理法や提供方法のたこ焼きが人気を呼んでいるが、一方でソース、かつお節、マヨネーズをかけた、日本のスタンダードなたこ焼きの人気も高い
タイ独自の調理法や提供方法のたこ焼きが人気を呼んでいるが、一方でソース、かつお節、マヨネーズをかけた、日本のスタンダードなたこ焼きの人気も高い

豪快! たこ焼き一つひとつにイイダコを丸ごとトッピング

 タイの首都・バンコク市内の高級住宅街で、ミニバンを改造した移動式屋台で営業する「BLOC26ベイビー・オクトパス・タコヤキ」。2015年9月に創業し、2~3日ごとに場所を変えながら、16~22時ごろまで営業しているたこ焼き店だ。

 看板メニューは、店名にもなっている「ベイビー・オクトパス・タコヤキ」(3個120バーツ=約416円)。イイダコ一杯を丸ごと使うため、タコが生地からはみ出た豪快なビジュアルが特徴。「日本のたこ焼きに入っているタコは小さすぎる」という友人たちの声に応えるため、オーナーシェフのシャーリン・サクンペッタオン氏が考え出したものだ。既存のたこ焼き器ではサイズが小さいので、イイダコを乗せて焼けるように特注したものを使用している。

 イイダコは、タイの近海で獲れたものを使用。カリカリの食感を好むタイ人向けに、強めの火力で焼き上げており、食べやすいようにハサミでタコに切れ目を入れてから提供している。口に入れてみると、生地は外がカリッと、中身はフワッとしており、何よりムギュッとした歯ごたえのイイダコの存在感が特徴的だ。

 ソースは2種類。「オリジナル」は、日本のウスターソースをベースにいくつかの調味料を混ぜたもの。看板の甘辛いソース「シグネチャー」は、アメリカ製のスパイシーなソースにタイのハーブなどを加えたもの。

 また、日本風のスタンダードなたこ焼き「レギュラー」(6個120バーツ=約416円)も販売。同じく特注のたこ焼き器を使うので、日本のたこ焼きよりも大ぶりで、こちらも外がカリッとするようにしっかりと焼いている。

 オープン当初は、試行錯誤の連続。「外の生地が柔らかすぎる」「塩がキツい」など、口コミサイトで自店の書き込みをチェックしたり、大阪に本場のたこ焼きを食べに行ったり、タイで日本人が経営する食材業者から原料を購入したりするなどして現在の味にたどりついた。

 「ベイビー・オクトパス・タコヤキ」の3個120バーツという価格は、庶民的な屋台での2~3回分の食事と同等。そのため中間層以上のタイ人をターゲットにしており、市内の高級住宅街にミニバンで店を出しているのもそのためだ。タイの地方都市にも3つの店舗をオープンするなどビジネスは順調。見た目のインパクトが絶大なタイ発のたこ焼きが、日本に逆輸入される日がいずれ来るかもしれない。

特注のたこ焼き器で、生地の上にイイダコを丸ごと一杯乗せて焼き上げる「ベイビー・オクトパス・タコヤキ」。イイダコが半分むき出しのままひっくり返して焼き上げる
特注のたこ焼き器で、生地の上にイイダコを丸ごと一杯乗せて焼き上げる「ベイビー・オクトパス・タコヤキ」。イイダコが半分むき出しのままひっくり返して焼き上げる
タコが上になるように盛り付け、上からかつお節や海苔をのせる。天かす、ネギ、生姜のトッピングも可能で、それぞれ15バーツ(約52円)
タコが上になるように盛り付け、上からかつお節や海苔をのせる。天かす、ネギ、生姜のトッピングも可能で、それぞれ15バーツ(約52円)
オーナーのシャーリン・サクンペッタオン氏と夫人。シャーリン氏は、日本料理店やフュージョン料理店で勤務していた経験をたこ焼き作りに活かしている
オーナーのシャーリン・サクンペッタオン氏と夫人。シャーリン氏は、日本料理店やフュージョン料理店で勤務していた経験をたこ焼き作りに活かしている
BLOC26thベイビー・オクトパス・タコヤキ(BLOC26th Baby Octopus Takoyaki)
SHOP DATA
BLOC26thベイビー・オクトパス・タコヤキ(BLOC26th Baby Octopus Takoyaki)
店を出す場所(バンコク市内)はFacebookで事前に告知。
https://www.facebook.com/Bloc26th/

「たこ焼きラーメン」「たこ焼き丼」がビジネスマンに人気

 バンコク市内にあるシーロム通りとその周辺は、ビジネスの中心地。そこに2007年10月にオープンしたのが、日本人の鈴木範生(のりお)氏がオーナーシェフを務めるラーメン店「もっこりシーロム」。店名の「もっこり」は、“たくさん盛る”や“元気がある”などを意味する宮城県仙台の方言からきている。

 来店客の9割をタイ人が占めており、数年前から「たこ焼きはないの?」という声が徐々に増えてきたため、2017年の春から日本のオーソドックスな「たこ焼き」(9個188バーツ=約652円)の提供を開始。その後、程なくして、「ご飯と一緒に食べたい」という要望があり、たこ焼きとご飯のセットを出してもつまらないと考えて、「たこ焼き丼」(238バーツ=約826円)を開発した。かつ丼や親子丼のように、タマネギや細ネギ、和風出汁を加えた溶き卵でたこ焼きをとじて、ご飯に乗せている。玉子と和風出汁で、たこ焼きとごはんが一体となり、ほっこりする味わいだ。

 さらに、「ラーメンに入れたらおいしいのでは?」という常連の声に応え、しょうゆ味の「たこ焼きラーメン」(228バーツ=約791円)も開発。スープでたこ焼きの生地が程よくほぐれ、明石焼きのような感覚で楽しめる。ラーメンとたこ焼き、まさに「1つで2度おいしい」メニューだ。

 客層の中心は、周囲のオフィスに勤めるビジネス層。大手企業や銀行の本社も多く、彼らはいわばエリートで給与水準も高い。タイの物価からすると高めの値段設定だが、彼らのニーズに応えるべくメニュー開発を進めたことで、ほかにはないオリジナルメニューが完成し、人気店へと成長した。

 「常連の方々の声がなければ、たこ焼きを丼ぶりにしようとか、ラーメンに入れたら売れるだろうなどとは思いつきもしませんでした」と鈴木氏は語る。先入観のない現地の人の自由なアイデアを取り入れることも、海外で日本食を広めていくうえで重要な要素なのかもしれない。

取材・文/梅本昌男(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1バーツ=約3.47円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。
たこ焼きを7つ乗せた「たこ焼き丼」はボリュームたっぷり。ガッツリ食べたいという若い男性に大人気だ
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メンマやゆで卵とともにたこ焼きがトッピングされた「たこ焼きラーメン」。味噌味や塩味でも試作してみたが、たこ焼きにもっとも合うのがしょうゆ味のスープだった
メンマやゆで卵とともにたこ焼きがトッピングされた「たこ焼きラーメン」。味噌味や塩味でも試作してみたが、たこ焼きにもっとも合うのがしょうゆ味のスープだった
「たこ焼き」には、青海苔だけでなく、刻んだ紅ショウガをトッピングし、食感と見た目のアクセントをつけた。かつお節は、苦手なタイ人も多いのであえて外している
「たこ焼き」には、青海苔だけでなく、刻んだ紅ショウガをトッピングし、食感と見た目のアクセントをつけた。かつお節は、苦手なタイ人も多いのであえて外している
もっこりシーロム(Mokkori Silom)
SHOP DATA
もっこりシーロム(Mokkori Silom)
Silom-Surawonge Condo, 43/1, Soi Anumarnratchathon, Suriwong, Bangkok
https://www.facebook.com/mokkorisilom/

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