異なる食の文化や習慣を持つ訪日外国人へのサービス向上を提案
ぐるなびとアメリカ大使館農産物貿易事務所による特別セミナー「訪日外国人の食習慣&試食会」を開催!
様々な食のスタイルに対して飲食店ができることとは
年々増加する訪日外国人への対応を課題と捉えている飲食店は多いはず。特に、様々な食文化などに対応するには正しい知識を持つことが重要。その必要性の高まりを受けて、1月17日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて、特別セミナー「訪日外国人の食習慣&試食会」(主催/アメリカ大使館農産物貿易事務所、株式会社ぐるなび)が開催された。移民の多いアメリカで培われた知見を活かして、様々な食文化などへの対応を提案するというもので、飲食店関係者ら250名以上が会場を訪れた。
セミナーの冒頭では、日本政府観光局理事の小堀 守氏が「訪日外国人観光客の動向とビジネスチャンス」をテーマに講演。小堀氏は「政府は2020年までに訪日外国人旅行者数4千万人と、旅行消費額8兆円を目指している。外国人の滞在中の満足度を高めるためには、受け入れ対策の整備が重要。飲食店でも、食文化などへの対応や英語メニュー対応、Wi-Fiやクレジットカードへの対応などの環境を整えることが大切になる」と述べた。
次に、ハラール(イスラム教徒が口にできる食材や料理)の基礎知識についてスカイライトコンサルティング株式会社のRJ和栗サイエッド氏が講演。「世界のなかで、約16億人がムスリム(イスラム教徒)。日本の飲食店でもハラール対応のメニューを作ったり、文化の違いを学んだり、ムスリム向けの情報発信を行うことが大切」と指摘した。
続いて登壇した一般社団法人グルテンフリーライフ協会の代表理事・フォーブス弥生氏は「グルテンは、小麦や大麦などに含まれるたんぱく質の一種。アレルギーなどの理由からグルテンフリー食品を望む人は多い」と語り、グルテンフリー食品をメニューに取り入れる上でのポイントを解説した。
服部栄養専門学校の管理栄養士、孫小淞氏は、ベジタリアンの立場から、「ベジタリアンの人々が安心して食事ができるように、対応可能なメニューの見直し、情報開示の体制づくりや心配りが求められる」と、店側の心構えについて語った。
さらに、株式会社ぐるなび執行役員の杉山尚美は、訪日外国人の食トレンドについて講演。「昨年度の訪日外国人の旅行消費額における飲食費の割合は、約2割の6400億円。飲食店をインターネットで検索する人が多いのも特徴」と解説。ぐるなびが店舗ページの多言語対応など、飲食店のインバウンド対策をサポートしていることを伝えた。
今回、来場者には12の食の文化や習慣への対応策について記された冊子を配布。この冊子について、セミナーの最後に登壇したアメリカ大使館農産貿易事務所所長のレイチェル・ネルソン氏が、作成の経緯とともに、冊子を活かしたサービス向上への期待を述べた。
セミナー後、ベジタリアンやグルテンフリーなどに対応した料理の試食会を実施。来場者が様々な食文化などへの理解を深めるイベントとなった。