「日本料理を考える【未来会議】」が開催 - イベントリポート -

2017/04/05

日本料理界の課題を共有し、日本の食文化継承や発展について考察

日本料理アカデミー東京運営委員会発足記念セミナー
「日本料理を考える【未来会議】」開催!

5つのテーマで講演を実施
飲食店関係者らが多数来場

 日本料理の継承と発展を目的に、2004年、京都にて設立された「特定非営利活動法人 日本料理アカデミー」。その東京運営委員会が昨年に発足したのを記念するセミナー「日本料理を考える【未来会議】」が、2017年2月26日、株式会社ぐるなび本社(東京・日比谷)で開催された。ぐるなびは、同アカデミーのオフィシャルスポンサーに名を連ね、今セミナーも共催している。

 冒頭、日本料理アカデミーの理事長・村田吉弘氏(「菊乃井」主人)と東京運営委員会委員長の堀井良教氏(「更科堀井」主人)らが挨拶。村田氏は「50年後の食を考え、日本料理を世界に発信することが、日本料理アカデミー設立の目的」と語り、堀井氏は「東京でも仲間を増やしていきたい」と、広く参加を呼びかけた。

 続いて、都内の日本料理店の料理人らで構成される東京運営委員会のメンバーが、それぞれの知見を活かして日本料理に関する5つのテーマで講演やディスカッションを実施。テーマごとに、前半は講演、後半は4~5名によるディスカッションを行った。

 最初のテーマは、「料理人・料理長を目指すみなさまへ」。講演では、「賛否両論」のマスター・笠原将弘氏が、料理を志した理由、修業時代の苦労話を披露。また、ディスカッションでは、登壇者が料理人を目指すきっかけとなった出会いなどを語った。

 続いてのテーマは、「料理人のキャリアビジョン」。講演では、堀井氏が、2012年から自店で始めた新卒採用に触れ、人材採用やチームづくり、人材育成の方法について紹介した。

 3つ目は、江戸料理の歴史をひも解くプログラム。ディスカッションでは、江戸時代の蕎麦や天ぷら、寿司などについて、東西の違いにも触れつつ特徴を紹介。「江戸湾の魚の臭みを消すため、天ぷらはごま油で揚げるのが江戸前」(「神楽坂天孝」亭主・新井均氏)など、江戸料理の真髄を解説した。

 そして4つ目のテーマ「海外からみた日本料理」では、日本料理の礎となった精進料理について講演。ディスカッションでは、「海外では日本料理と現地の食文化との融合が必要」(「日本橋ゆかり」三代目・野永喜三夫氏)などと、自身の経験を基に提言した。

 最後は、日本料理の「過去・現在・未来」をテーマに、料理を考える際の発想の源、日本料理の今後など、総括的なディスカッションが行われた。

 会場には、飲食店関係者や調理専門学校の学生ら100名以上が詰めかけ、熱心に聴講。トップシェフの意外な一面や失敗談に会場が笑いに包まれるシーンもあり、参加者が日本料理の奥深さを感じる有意義なイベントとなった。

飲食店関係者や調理専門学校の学生など、100名以上が参加し、会場は熱気に包まれた
飲食店関係者や調理専門学校の学生など、100名以上が参加し、会場は熱気に包まれた
セミナーの冒頭、日本料理アカデミー理事長を務める「菊乃井」主人・村田吉弘氏が挨拶。日本料理アカデミーの意義と役割、東京運営委員会の発足の狙いについて語った
セミナーの冒頭、日本料理アカデミー理事長を務める「菊乃井」主人・村田吉弘氏が挨拶。日本料理アカデミーの意義と役割、東京運営委員会の発足の狙いについて語った
熱心に講演を聞きながら、メモを取る参加者たち。セミナーの最後には質疑応答も行われた
熱心に講演を聞きながら、メモを取る参加者たち。セミナーの最後には質疑応答も行われた

「日本料理を考える【未来会議】」プログラム内容

当日の登壇者一覧(順不同)

  • 村田 吉弘氏(「菊乃井」主人)
  • 堀井 良教氏(「更科堀井」主人)
  • 山本 征治氏(「日本料理吟龍」オーナーシェフ)
  • 高津 克幸氏(「株式会社にんべん」代表取締役)
  • 新井 均氏(「神楽坂天孝」亭主)
  • 遠藤 正昭氏(ホテル椿山荘東京 和食料理長)
  • 笠原 将弘氏(「賛否両論」マスター)
  • 倉田 政起氏(「蕎麦割烹くらた」店主)
  • 黒木 純氏(「くろぎ」オーナーシェフ)
  • 野永 喜三夫氏(「日本橋ゆかり」三代目)
  • 野村 大輔氏(「SHOJIN宗胡)オーナーシェフ)
  • 林 亮平氏(菊乃井)
  • 柳原 尚之氏(近茶流嗣家、「柳原料理教室」副主宰)
  • 長澤 昇氏(学校法人誠心学園)
  • 1.料理人・料理長を目指すみなさまへ

    講演

    笠原氏「笠原将弘一代記[賛否両論]」

    ディスカッション

    遠藤氏、笠原氏、倉田氏、長澤氏

    笠原氏(写真)が講演。「毎日店を満席にするためにどうすれば良いかを追求した」と、料理人としての歩みを語った。また、修業時代に食材のスッポンを逃してしまった失敗談も明かし、会場の笑いと共感を誘った。
    笠原氏(写真)が講演。「毎日店を満席にするためにどうすれば良いかを追求した」と、料理人としての歩みを語った。また、修業時代に食材のスッポンを逃してしまった失敗談も明かし、会場の笑いと共感を誘った。
  • 2.これからの働き方。料理人のキャリアビジョン

    講演

    堀井氏「未来を見据えて『更科堀井のキャリアプラン』」

    ディスカッション

    堀井氏、山本氏、遠藤氏、長澤氏、林氏

    人材採用について講演したのは、堀井氏(写真)。2012年から自店で始めた新卒採用について解説し、若手社員のキャリアアップの例を紹介。「人生100年時代」の料理人のキャリアのあり方についても問題提起した。
    人材採用について講演したのは、堀井氏(写真)。2012年から自店で始めた新卒採用について解説し、若手社員のキャリアアップの例を紹介。「人生100年時代」の料理人のキャリアのあり方についても問題提起した。
  • 3.温故知新: 江戸料理と鰹節

    講演

    柳原氏「江戸料理今昔」

    ディスカッション

    堀井氏、高津氏、新井氏、野永氏、柳原氏

    江戸時代の江戸町民の食生活や調味料を、柳原氏(写真)が浮世絵や古文書などを基に紹介。「鰹節と醤油、昆布と塩の相性のよさが、江戸料理の発展につながった」と語り、今日につながる食文化の原点をひも解いた。
    江戸時代の江戸町民の食生活や調味料を、柳原氏(写真)が浮世絵や古文書などを基に紹介。「鰹節と醤油、昆布と塩の相性のよさが、江戸料理の発展につながった」と語り、今日につながる食文化の原点をひも解いた。
  • 4.外国人からみた日本料理

    講演

    野村氏「現代のフードトレンドが凝縮
    今こそ『精進~shojin~』を知る」

    ディスカッション

    山本氏、野永氏、野村氏、林氏、柳原氏

    講演者は野村氏(写真)。「精進料理はベジタリアンなどを含め、様々な食の文化や習慣を持つ人に提供できる料理」と紹介。さらに、「外国人には日本料理に込められた精神的な教えを伝えることも大切」と力説した。
    講演者は野村氏(写真)。「精進料理はベジタリアンなどを含め、様々な食の文化や習慣を持つ人に提供できる料理」と紹介。さらに、「外国人には日本料理に込められた精神的な教えを伝えることも大切」と力説した。
  • 5.日本料理の最前線

    ディスカッション

    山本氏、笠原氏、黒木氏、野永氏、柳原氏

    今後の日本料理についてディスカッションを実施。「海外で生まれた新しい日本料理も大切にすべき」(黒木氏)、「昔ながらの修業スタイルだけがすべてではないと思う」(笠原氏)など、活発な議論が展開された。
    今後の日本料理についてディスカッションを実施。「海外で生まれた新しい日本料理も大切にすべき」(黒木氏)、「昔ながらの修業スタイルだけがすべてではないと思う」(笠原氏)など、活発な議論が展開された。

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