宴会シーズンに飲食店が頭を悩ませるのが「キャンセル」。直前にキャンセルされた、当日来なかったというケースを経験している店も多いのではないだろうか。どんな準備・対策をしていればキャンセルを防げるのか。2店の取り組みをヒントに、宴会客を逃さないためのポイントを押さえよう!
複数回の電話連絡で宴会内容を明確化。仮予約は期限を決めて成約に導く
【静岡・浜松】地酒・刺身処 まどか
不快感を与えないように、必要事項を聞き出す
毎年、早い時期から忘年会予約が入る人気店の「まどか」。「もっとも早い予約は5月。9月末には12月の各週末はほぼ埋まっています」と店長の早川近氏は語る。人気の理由は新鮮な魚介と40人規模の宴会が可能な空間。特に大宴会ができる店が周辺に少なく、早めに予約する客が多い。だが宴会の規模が大きいほどキャンセルの損失も大きいため、その手立てが重要だ。
ポイントは4つ。まず、最初の予約電話のときには、幹事の名前と携帯電話番号だけでなく、10人以上の宴会はできるだけ会社名と会社の電話番号も聞く。「社名を名乗るとキャンセルしづらくなる」と早川氏。そして会社名を聞く理由を「当日、会社名を名乗る方がいらっしゃるので」と話すと、不快感が回避され、必要事項を聞き出すことができるという。また、希望の日時で予約が受けられなければ、別の日にちや時間をずらした二次会プランなどを案内して、店の認知度と信頼度アップにつなげている。
次に、当日までの間に複数回、連絡をして、宴会の内容を徐々に明確にすることも大事だ。同店では10月初めに忘年会プランを決定してぐるなびに掲載。予約客にはその後、電話を入れて、ぐるなびを見てプランを決定するように依頼する。「料理への要望を聞き、『人数にお変わりございませんか』と聞きます」(早川氏)。プランが決まると人数も絞られ、宴会のイメージがだんだんと固まる。そして、翌11月と宴会2日前にも電話をし、変更がないかを確認。こういったこまめな電話対応で、キャンセルはほとんどなくなるという。
3つ目に、複数の店を仮予約している客への対応も工夫が必要だ。この場合、早川氏は「期限を明確にして決断を促す」ときっぱり。猶予期間を2~3日とし、店側からも電話を入れるが、「期限内に連絡がつかなければキャンセル」と取り決めておく。厳しいようだが、先延ばしにしないようにすることが、結果的にキャンセル防止につながるのだ。最後に空席情報をカレンダーにして店内・店頭に張り出す。予約を促しつつ、万一キャンセルが出たときもこれで対応できる。宴会当日は、料理を出すタイミング、乾杯やシメの挨拶の時間帯などにも気を配り、時間内で収まるように誘導。スタッフミーティングを重ねて体制を整え、満足度の高い宴会になるよう取り組んでいる。
「まどか」の宴会キャンセル防止&対策術
- 予約時に幹事の名前、連絡先、会社名、会社の連絡先を聞く
- 予約確認の電話は直前だけでなく、複数回行う
- 仮予約の場合は、期限を決めて決定を促す
- 予約カレンダーを貼り出し、キャンセルの穴埋めとしても活用する