日本酒ファンの裾野を広げ、文化を世界に発信したい - 挑戦者たち -

2016/06/16

日本酒ファンの裾野を広げ、
文化を世界に発信したい

株式会社 クリエイティブプレイス 代表取締役 社長 兼 CEO 中村 雄斗

日本酒を原価で販売することで話題の「日本酒原価酒蔵」など、10店舗を展開する株式会社クリエイティブプレイス。代表取締役兼CEO の中村雄斗氏は、大学卒業後、新卒で入った会社を2年足らずで辞め、24歳で起業。現在、100店舗を目標に、海外出店も視野に入れる。その先に見据えるのは、飲食業界のトップだ。

――プロのサッカー選手を目指していたということですが、なぜ飲食業界に?

 5歳からサッカーを始め、プロサッカー選手を目指して、小・中学校はJリーグの下部組織、高校でも別のクラブチームに所属していました。大学に入学してからも、一度はサッカー部に入部したのですが、サッカーへの情熱がなくなってしまい、1カ月で退部。その後、居酒屋で呼びこみのバイトを始めたのが飲食業との出合いです。

 実は、中学生の頃から、いずれは独立して事業を起こしたいという、漠然とした想いがありました。大学を卒業する頃にはそれがはっきりしていたので、独立する前に大きな組織を見ておこうと、航空会社に就職しました。

 しかし、2~3年先輩の仕事が、1年目の自分がやっていることとそう変わらないのを見て、大きな組織の中でいろいろなことを知るのは時間がかかるなと実感。早く独立したいという気持ちが強くなっていき、入社から1年9カ月で退社し、起業の準備を始めました。飲食業に決めたのは、参入障壁が低く、売上が立てやすいと感じたから。そして、24歳で起業し、東京・新橋に居酒屋を出店しました。私自身は、飲食店内での仕事はほぼ経験がありませんでしたが、5人の立ち上げメンバーの中に、店長経験者と調理経験者がいたので、なんとかなるという考えもありました。実際、集客はうまくいき、初月から700万円を売り上げ、順調な滑り出しでした。

――その後、2年余りで店舗数を6店舗まで伸ばしましたね。

 最初から多店舗展開を念頭に置いており、10年で100店舗という目標を掲げていました。勢いに乗って1年後、同じ新橋に2店舗目、その7カ月後には3店舗目を出しました。でも、このあたりでリピーターがまったく付いていないという現実に直面。がむしゃらに売上を追って、新規客の獲得ばかりに頭がいっていました。価格設定やサービスなど、すべてにおいて“お客様目線”が不足していたことに気づいたんです。そこで、それまで設定していたサービス料や時間制などをやめ、どうしたらお客様に喜んでいただけるかを第一に考えるよう、意識を変えました。幸運だったのは、経験もスキルもなく飲食業界に飛び込みましたが、近隣店舗の経営者の方々などを通じて飲食関係者との交流が広がり、組織づくり、人事体制など、いろいろ教えていただけたことですね。

 創業当時は会社として理念などはありませんでしたが、先輩経営者の助言もあり、2年半ほど前に作りました。それが「ALL SMILE, Limitless growth(全ての笑顔と、限り無い成長)」。しかし、これがなかなかスタッフに浸透しない。ある方に相談したところ、「何回伝えた?何千回、何万回と言わなければ、伝わらないのは当たり前だ」と言われ、衝撃を受けました。その助言に従いながら、理念の共有を徹底的に図り、お客様目線を軸にしたことで、各店舗のリピーターも増えました。ただ、財務に関しては独学だったために甘さがあり、1年間に4店舗出店した2014年は資金繰りが厳しく、今思えばピンチでしたね。

――現在の主力ブランド「日本酒原価酒蔵」が誕生したきっかけは?

 唎酒師の資格を持っているスタッフの、日本酒に力を入れたいという希望を聞いたのが、きっかけです。

 日本酒は奥が深く、世界に誇れる文化ですが、様々なデータを調べてみると、実はそれほど飲まれていない。それは、おいしい日本酒を提供している店の価格が高い、ということが一因ではないかと感じました。そこで、日本酒ファンの裾野を広げるにはどうしたらいいか、お客様目線で考えて生まれたのが、「日本酒原価酒蔵」です。日本全国の銘酒60種余り、全店舗合わせて約800本を常備しており、“入館料”880円を払えば、すべての酒を原価で楽しめます。

 もちろん、利益を出すことは大事なので、オペレーションやシステムを作りこみました。例えば酒の肴は、素材を活かすなど、手間をかけなくても価値を感じてもらえるメニューをそろえてレシピ化し、誰が調理をしても一定の品質を保てるようにしました。また、酒の銘柄の説明については、詳しく記した日本酒説明ブックを作り、スタッフが説明する時間を短縮するなど、オペレーションを簡素化しました。ツウに人気の銘柄から、初心者でもなじみやすい低アルコールや、フルーティなものまで、圧倒的な日本酒の品ぞろえと類をみない安さが、この店の価値であり、差別化のポイントですね。

 これが好評で、以前からの日本酒党に加え、若い世代や、特に女性にも日本酒のファンが広がっているのがうれしいですね。客数が多く、回転率が高いので、しっかり利益も出ています。

――業績が順調ななか、今後の拡大には人材が重要になってきますね。

 人材育成のポイントも、やはり理念の共有と考えています。その理念を実現するためのミッションや、共有する価値観を記したものも作って全スタッフに配り、日々、目と耳から徹底的に吸収してもらうほか、個人面談でも必ず話をするようにしています。さらに、社内SNSを活用して、スタッフからその日の報告が上がってくるようシステム化しました。

 スタッフには、「できないことを恥ずかしいと思わず、それを受け入れて乗り越えることが大事だ」ということ、また、「世の中の役に立つことをしよう」と言い続けています。こうした取り組みを続けていくことで、全員で理念を共有・共感でき、これからともに会社を大きくし、目標を実現したいと考える人材が育ってきています。

 「日本酒原価酒蔵」が様々なメディアでも紹介されることで、スタッフの働くモチベーションが上がり、日本酒を世界に広めるという使命感も感じてくれています。そうやってスタッフが仕事を楽しんでいる様子が、お客様にも伝わっているという実感がありますね。

――これからの展開についてはどのように考えていますか?

 「日本酒原価酒蔵」は当社が生み出した、これまでにないオンリーワンの業態。現在、全10店舗中、5店舗がこの業態です。今後も主力ブランドと位置付けていて、100店舗は出店したいと考えています。スピード感を持って出店するにはFC展開が必要なので、パッケージも完成させました。年内にはFC1号店を出店したいと考えています。立地はビジネス街を基本に、全国に展開したいですね。

 さらに、2018年をメドに海外進出も計画しており、そのための人材も採用しました。将来的には、飲食業界でトップになることを目標にしています。そのためには組織固め、財務体質の強化、商品のクオリティアップなど、課題はまだまだたくさんあります。今は、点数を付けると100点満点で10点程度。自分が先頭に立ち、死に物狂いで、誰よりも働かなくては、目標は達成できないと自覚しています。

中村 雄斗 氏
中村 雄斗 氏
 
完全個室居酒屋 きさらぎ はなれ(東京・秋葉原)
完全個室居酒屋 きさらぎ はなれ(東京・秋葉原)
http://r.gnavi.co.jp/819u54bg0000/
「NHS47」を合言葉に、47都道府県の日本酒を100 種そろえる。2~50名に対応する個室があり、様々なシーンで利用される。
日本酒原価酒蔵 新橋二号店(東京・新橋)
日本酒原価酒蔵 新橋二号店(東京・新橋)
http://r.gnavi.co.jp/pydu27ke0000/
酒蔵を模した店内には常時60種、の日本酒をストック。“入館料”880円を支払えば、日本酒が1合単位で原価で飲めると大好評。
会社の理念や使命、やるべきことの共有化が進み、社内一丸となり、さらなる成長を目指している
会社の理念や使命、やるべきことの共有化が進み、社内一丸となり、さらなる成長を目指している
中村 雄斗 氏
Profile
Yuto Nakamura
1987年宮城県仙台市生まれ。高校時代までサッカーに明け暮れる。日本大学経済学部卒業後、大手航空会社に就職するが1年9カ月で退社し、2012年3月、24歳で仲間5人と株式会社クリエイティブプレイスを設立。同年7月に1号店出店。現在、都心部に10店舗を構える。
Company Data
会 社 名
株式会社 クリエイティブプレイス
所 在 地
東京都港区西新橋1-5-5
グランベル銀座ビル4F
Company History
2012年
株式会社クリエイティブプレイス設立
「美食かほりや」新橋店出店
2013年
「和酒旬菜創魚ととのえ」新橋店出店
2014年
「旬魚と季節の和酒きさらぎ」新橋店出店
同年、計4店舗を出店
2015年
「日本酒原価酒蔵 新橋本店」出店
「七福神恵比寿 渋谷店」出店
2016年
「日本酒原価酒蔵 新橋二号店」、「日本酒原価酒蔵 『極』 虎ノ門店」出店

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