ライナ株式会社 代表取締役 小川 雅弘 氏 - 挑戦者たち -

2016/10/20

みんなが人生をデザインできる、
そんな場所を提供していきたい

ライナ株式会社 代表取締役 小川 雅弘

IT企業を辞め、23歳の時に飲食業で独立。その後、苦い経験を経てライナ株式会社を設立し、再生にチャレンジした小川雅弘氏。現在、東京都内で14店舗を展開するまで成長を遂げた。さらには、念願のビール醸造も開始。「GROW UP」という経営理念のもと、全員経営者目線で創造と挑戦を続けている。

――早くから独立を目指していたとか。なぜ、飲食業だったのですか?

 実家が自営業の家具屋で、小さい頃からサラリーマンになるという発想はありませんでした。大阪の大学を卒業後、将来につながればとIT企業にSEとして就職したものの、そのままやっていても“独立”のイメージがわかず、退社。自分で開業することにしました。でも、何をするか決めていたわけではありません。飲食業を選んだのは、考えた末に、経験があまりなくても比較的簡単に始められ、キャッシュフローがいいと思ったから。今思えば、大いなる勘違いですね。

 業態も決めないまま物件を探し、古いけど格安の3階建てビル物件を大阪市内に見つけました。一棟貸しが条件だったので、実際に見て、1階をカフェバー、2階を鉄板焼、3階をオフィス、そして、屋上を貸切でBBQができるテラスにしようと考えました。お金がなかったので、内装をはじめ、店はすべて手作り。いろいろ考えて、ランチタイムに500円でステーキを提供したところ、行列ができる人気店になりました。その後すぐに2店舗目を出しましたが、それができたのは、低投資で回収が早かったからですね。

――順調だったのに、大阪から撤退して東京で店舗展開を始めた理由は?

 勢いに乗って3店舗目の準備を進めている時、詐欺に遭ってしまったのです。ある人物を信頼して、現金やカードなどを預けていたのですが、それを全部失い、店も売却せざるを得ませんでした。すべて清算し、残った現金44万円を手に、新天地で出直そうと決意して2007年、上京しました。

 とにかく前に進もうと会社を立ち上げたものの、自己資金はゼロ。そこで考えたのがオーナー制度です。知人の会社の人たちに、共同で1人40万円を出資してもらいました。オーナーは毎日ランチが無料、夜はドリンク2杯の無料サービスという特典が付きます。最終的に10人に出資してもらい、400万円で新宿・四谷三丁目にアジアンテイストのカフェバーをオープンしました。居抜き物件で、内装はまた手作り。出店にかかった費用は集めた資金でまかなえ、料理は、自己流でガパオやタコライスなどを提供しました。人件費が抑えられ、キャッシュもどうにか回ったので、翌年、同じスキームで2店舗目を出店。こちらも順調で、実績ができたことで借り入れが可能になり、3店舗目からは自己資金で出店できるようになりました。

――その後、次々に店舗を拡大され、様々な業態を展開されましたね。

 会社を作った時から10店舗は出店しようと決めていたものの、経営は自己流で、戦略も特にありませんでした。3店目の「鉄板焼と焼酎のお店 ウシカイ」で弾みがつき、その後につながった気がします。さらに、6~7店目をオープンした頃から、ノウハウが蓄積され、10店舗が見えてきましたね。

 「戦略はない」と言いましたが、最初から重視しているのは、地代が安い場所を選び、居抜き物件や手作りで初期投資を抑え、それを早く回収することです。そして、運営の効率化とお客様の回遊を考えて、新宿・四谷を中心にドミナント化も図ってきました。

 業態は物件ありきで考えていますが、やりたいことと、そのときの世の中の流れを考えながら作った結果、他店との差別化ができていますね。その1つが、ビール好きが高じて作ったクラフトビールと牛タンの店「Vector Beer」。まだクラフトビールが今ほどのブームになる前の2013年に出店し、さらに翌年には、ブルーパブ「~肉ビストロ~Vector Beer Factory」もオープン。新宿初のビール醸造を開始しました。たまたま、醸造技術を持った人材が社員として入社してくれたので、現在、様々なビールを醸造できています。多くの方にクラフトビールを楽しんでいただきたいので、すべてグラス450円(税抜)というリーズナブルな価格で提供したところ評判になり、売上も非常に好調です。

――店舗が増えていくと、より人材が重要なカギになりますね。

 社名の「ライナ」は、「ライフアート・ナビ」から取ったもの。一人ひとりが夢を持ち、それを実現できる会社。人生をデザインすることをナビゲートできる会社、という想いを込めています。経営については、「全員参加型」を実践してきました。面接時にこういったことを伝え、それに共感できる人を採用しています。そして、それぞれの夢を聞き、できる限りやりたいことに挑戦してもらいたい。こんな店をやりたいといえば、可能な限り任せます。店長の裁量権も大きくし、各店長の考えで、新しいメニューなども自由に導入できるようにしています。

 3年前には「GROW UP」という経営理念も作りました。全員が常に新しいことにチャレンジし、お客様とともに成長し続け、地域社会と食文化の発展に貢献したい。実際、やる気のあるスタッフが次々と育っています。

 また、独立支援にも力を入れています。入社3年以上で、実績を出し、独立を希望するスタッフには、新店立ち上げなどに携わってもらい、経験を積んだ後、業務委託で店を任せます。資金が貯まったら店の買い取り、独立、委託の継続などから本人の希望で選択してもらう。結果、今までに4人がこの制度を利用し、1人は、独立して香川県で自分の店を構えています。

 しかし、今後さらに会社を大きくするためには、より組織の強化が必要。そのため、現在、社内体制の整備と評価システムの見える化を進めているところです。今後は、本部で組織を大きくしていく、現場でマネジメントをしたいなど、選択肢を増やしたいですね。また、社員の将来を考えて、外部機関の研修を受けられるようにするなど、社内教育制度の充実も図っています。

――今後の目標と、飲食業を目指す人へのアドバイスを聞かせてください。

 目標は大きい方がいいのではないかと思っているので、2021年には国内80店舗、海外5店舗。そして生産、流通を自社に切り替え、100億円を売り上げるという目標を掲げています。そのためには、スピードを上げることが必要です。これまで出してきた業態は、料理人がいる店がほとんどでした。しかし、それでは出店を加速するのは難しいと考えています。今後は、今年から展開を始めた焼肉業態と、いま力を入れているクラフトビールの店を中心に、店舗を拡大していこうと考えています。海外進出においても焼肉業態を考えていて、そのチャンスをうかがっているところです。さらに、ブルワリーを増やし、オリジナルビールを外販する計画もあります。そして、自社で醸造したビールを運ぶ流通体制を確立させたいです。

 飲食業は実践したことに対して、お客様の「おいしい」「楽しい」という反応がダイレクトに返ってくるのが魅力でもあり、やりがいでもある。夢を持っていて、やる気がある若者に、どんどん参入してもらい、自分が活躍する場を見出してほしいですね。

小川 雅弘 氏
小川 雅弘 氏
 
~肉ビストロ~ Vector Beer Factory(東京・新宿)
~肉ビストロ~ Vector Beer Factory(東京・新宿)
http://r.gnavi.co.jp/cc4e8v200000/
店舗内にブルワリーを併設。自家醸造のビールなど、クラフトビール17種類をリーズナブルに楽しめる。豊富な肉料理も売り。
鉄板焼と焼酎のお店 ウシカイ(東京・ 四谷)
鉄板焼と焼酎のお店 ウシカイ(東京・ 四谷)
http://r.gnavi.co.jp/p605903/
焼酎をはじめ、100種類以上の酒が100分1000円でセルフ飲み放題。名物「極上 厚切り牛タン鉄板焼き」もビジネス層に大好評。
バーベキューでスタッフと。全員が経営者目線で会社や店づくりに参画することで、成長を続けている
バーベキューでスタッフと。全員が経営者目線で会社や店づくりに参画することで、成長を続けている
小川 雅弘 氏
Profile
Masahiro Ogawa
1981年兵庫県生まれ。大阪市立大学を卒業後、1年間のIT企業勤務を経て、飲食店で独立・開業。3店舗目を出店する際、資金をだまし取られる。2007年、東京へ。同年、ライナ株式会社を設立し、資金を調達して再生の1歩目となる店をオープン。現在、都内で14 店舗を展開している。
Company Data
会 社 名
ライナ株式会社
所 在 地
新宿区新宿1-15-7 御苑ハイツ405
Company History
2007年
ライナ株式会社設立。1号店の「カフェ・ドリバネス」オープン(現在は閉店)
2009年
「鉄板焼と焼酎のお店 ウシカイ」オープン
2011年
「築地バル オブラ」オープン
2013年
「Vector Beer」オープン
2014年
「~肉ビストロ~ Vector Beer Factory」オープン
2015年
1人目の独立者輩出
2016年
「馬肉酒場 壱萬馬力」、「梅酒150種飲み放題 明星」オープン

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