株式会社 グラフィックホールディングス 代表取締役 山本 壮一 氏 - 挑戦者たち -

2016/12/14

飲食業は、お客様との最大の
コミュニケーションツールです

株式会社 グラフィックホールディングス 代表取締役 山本 壮一

北海道でインバウンドに特化した店舗を展開し、注目される株式会社グラフィックホールディングス。代表取締役の山本壮一氏は、学生時代に起業。個人の才能を最大限に活かす組織づくりで国内はもとより、海外でのさらなる成長を目指す。現在の飲食業をどう見ているのか、そして描くビジョンとは?“異色の経営者”に聞いた。

――学生時代にデザイン会社で起業。どんな経緯だったのですか?

 中学生の時、家族で行ったヨーロッパ旅行が大きかったですね。初めて異国の文化に触れ、「そこに自分が存在していることに満足する」という感覚を覚えました。古い建物がたくさん残る歴史ある街並みのなかに、有名ブランドの店舗が違和感なく溶け込み、家電製品などもデザイン性だけでなく、使いやすさや機能性がしっかり考えられていました。デザインに意味や意図を持たせた先進的な「デザインマネジメント」に触れ、衝撃を受けました。

 そんな体験もあり、観光について学びたいと思い、札幌国際大学観光学部へ進学。将来は旅行業界へ進むことを考えていました。しかし、3年生のときにアメリカで「9.11同時多発テロ」が発生。その影響で旅行会社への就職は叶いませんでしたが、ヨーロッパで確かに感じたデザインマネジメントを生かす仕事を求めて、21歳の時、卒業を待たずに仲間とともにデザイン会社を立ち上げました。

 社会人経験なし、資金も信用も実績もなしと、本当にゼロからのスタートで、最初はイベントのフライヤーや販促物などを制作。様々な企業へアプローチするなかで、地元の求人誌を発行する企業から少しずつ仕事をもらえるようになり、その後、イベントの企画なども任せてもらうなど、徐々に仕事の幅も増えていきました。ただ、やはりクライアントワークでは自分たちの考えを100%表現できないと感じて、ストリートアウトドアブランド「ナチュラルバイシクル」を立ち上げ、アパレル事業を始めました。

――その後、どうして飲食事業を始められたのですか?

 飲食業進出1店舗目の「ミールラウンジ」は、「ナチュラルバイシクル」の販売店に併設し、アウトドア料理を中心に提供するお店としてオープンしました。その狙いは、利用障壁の低い飲食という業態をコミュニケーションツールとして活用し、お客様とより密接な関係を築くことで、アパレルの販売にもつなげたいと考えたからです。店舗の内装は風合いや手触り、素材感を大切に、最初から深みを感じてもらえる店にしようと、スタッフが全員参加してDIYで作りました。その後、店舗が増えるなかで現在は施工会社をグループ傘下に迎え、自社で全てを行える体制を整えて全14店舗を展開中です。なかでも最近は、インバウンドをターゲットにした店舗に力を入れています。

 北海道には欧米人に人気のニセコスキー場があることに加え、近年は爆発的にアジア圏からの旅行客が増えています。そこで、観光客の多い札幌・狸小路に2010年、「ワールドジャパニーズフーディン エン」を出店したことをきっかけに、「北海道ビュッフェダイニング 開」「ジャパニーズビュッフェダイニング 伝」など、ビュッフェスタイルの大型店舗もオープンし、集客も好調です。好きなものを好きなだけ食べられる満足感と、第一印象でたくさんの食べ物が並んでいるワクワク感を感じてもらえていることが、その大きな要因です。

 インバウンドについてはすでに、ハラル対応フードの提供に向けて動いていますし、野菜などは提携農園との取り組みで地産地消を目指しています。ちなみに、店舗運営や出店計画などについて、私からは何も言いません。基本的に、スタッフからボトムアップで上がってきた意見や情報に、返答するかたちで進めています。

――そういった組織は、どのようにして作っているのでしょうか?

 人事理念としては「才能を最大限に活かせる環境をつくる」を掲げています。現在、10の事業を手がけていますが、私たちのような中小企業は、個人の活躍がグループの成長に直結するので、一人ひとりのパフォーマンスをいかに高めるかが大きなミッションです。また、誰か一人のための店や仕事にならないために、「I」ではなく「We」の精神を大切にしています。ですから、当社において役職は「役割」であり、権利や権限ではありません。決定に至る過程がブラックボックス化しないように、常に第三者を含めた状態で決めるのがルールです。その第三者の役割を担うのが「シナジスト」。彼らは飲食事業を含めたすべての事業の会議に出席し、人と人、事業と事業をつなぐ触媒のような存在です。しかし、彼らにも決定権があるわけではなく、あくまで社内シナジー(相乗効果)を最大化することを役割としています。

――飲食業の魅力、また、現在の飲食業をどう捉えているか教えてください。

 お客様と店やスタッフの一体感が、飲食業の大きな魅力ですね。飲食店は、気軽に来店できる利用障壁の低いカテゴリーで、参入障壁も低い。しかし、簡単に始められる反面、失敗しやすいことも事実。お客様に支持され続けるためには、適正な価値を、適正な価格で提供し、透明性の高い食を追求すること。そして、1号店の「アパレル×飲食」のように、垣根を越えて様々なものと掛け合わせることで、今までになかったプラスアルファの価値を生み出すことが必要だと感じています。

 国内の飲食業は少子高齢化、人口減少のなかで、消耗戦に突入しています。そこで商売の原点に立ち戻り、減っているところより、増えているところで勝負することが得策と考え、インバウンドに特化した店舗や海外進出を通して、新たな需要を創造していきたいと考えています。私たちには、特にアジア圏の人たちに絶大な人気の「北海道」というブランドがあります。それを最大限に活かし、カルチャーを輸出入する企業でありたいと思います。

――海外進出や今後の戦略についてお聞かせください。

 2016年10月に、政府系ファンドと銀行を引受先とする第三者割当増資を実施しました。日本政府が「観光立国」を標榜し、2020年には4000万人のインバウンド受け入れを目標に一歩を踏み出した今、両社が有する豊富な知見とネットワークを活用して、この動きを加速させていきたいと考えています。

 成長戦略としては、北海道という愛すべきローカルコンセプトを持って、東アジアを中心とした国々で店舗展開を進めていきます。その第一弾として、道内で温浴施設を運営する企業と業務提携し、2017年には中国・江蘇省徐州市に、飲食施設付きの温浴施設を開業する予定です。この「温泉×飲食」のように、飲食をコミュニケーションツールの軸として、社内の事業や他社とタイアップしながら、プロデュース集団として成長していきたいですね。

 そのためには、国内で実績を積むことも重要だと考えています。2020年にピークを迎えるであろう訪日外国人客向けの店舗を、観光都市を中心に日本全国で展開していきます。それらの店舗で北海道や日本の魅力を感じてもらいつつ、得られた実績やデータを、今後の海外出店のオペレーションに活かす狙いもあります。国内で「ローカル」を突き詰めることが、最終的に「グローバル」につながると思っています。

山本 壮一 氏
山本 壮一 氏
 
meer lounge[ミールラウンジ](北海道・札幌)
meer lounge[ミールラウンジ](北海道・札幌)
http://r.gnavi.co.jp/1r39xz5y0000/
洞窟のような内装で、ダッチオーブンを使ったアウトドア料理が人気。記念日や女子会・パーティーなどでの利用が多い。
炭焼と和酒 居酒屋ななふく(北海道・札幌)
炭焼と和酒 居酒屋ななふく(北海道・札幌)
http://r.gnavi.co.jp/gaprufnz0000/
北海道産の魚介、野菜、肉を中心に、旬な食材を炭焼きで味わえる。日本酒、焼酎、泡盛など、常時50 種の和酒が楽しめるのも売り。
キックオフミーティングにて。「チャンスにチャレンジ」し、「新しい価値を描き出す」社員がそろっている
キックオフミーティングにて。「チャンスにチャレンジ」し、「新しい価値を描き出す」社員がそろっている
山本 壮一 氏
Profile
Soichi Yamamoto
1980年、北海道札幌市生まれ。大学在学中に友人とデザイン会社を起業。ストリートアウトドアブランド「Naturalbicycle」を立ち上げる。2007年には飲食業に進出し、アパレル店舗を併設させた「ミールラウンジ」をオープン。現在、中古車買取、美容、不動産など10の事業を展開する。
Company Data
会 社 名
株式会社 グラフィックホールディングス
所 在 地
北海道札幌市中央区南3条西5丁目 ノルベサ 4F
資 本 金
2億90万円(資本準備金含む)
Company History
2003年
ストリートアウトドアブランド「Naturalbicycle」とWEB/広告制作事業を立ち上げ
2007年
1号店「ミールラウンジ」オープン
2014年
「焼肉ダイナーハウス ファム 札幌大通店」オープン
2015年
「ジャパニーズビュッフェダイニング 伝」オープン
2016年
「炭焼と和酒 居酒屋ななふく」「小樽運河レストラン 輝-HIKARI-」オープン
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