エントリーは448名 初となる一般公開審査も導入
日本料理界の明日を担う、若きスターシェフを発掘する「RED U-35」(RYORININ’S EMERGING DREAM U-35)。2013年に始まった日本最大級の料理人コンペティションには、毎年、35歳未満の料理人が自らの夢と誇り、未来をかけて挑戦。これまで4名のグランプリ「RED EGG(レッドエッグ)」を選出し、その才能を世に送り出してきた。
2017年の「RED U-35」は、11月6日に東京都内で最終審査会と授賞セレモニーが行われ、広島県出身の赤井顕治氏(フランス料理)がグランプリに輝き、「2017 RED EGG」の称号を獲得した。確かな料理技術と相手を思いやる豊かな人間性が、脇屋友詞氏(Wakiya 一笑美茶樓 オーナーシェフ)を審査員長とする10名の審査員団に高く評価された。
毎年、審査方法をブラッシュアップし、料理技術だけでなく人間性や将来性まで掘り下げる審査を行う「RED U-35」。今年は国内外から448名がエントリーし、一次審査(書類審査)で「BRONZE EGG(ブロンズエッグ)」59名、二次審査(映像審査)で「SILVER EGG(シルバーエッグ)」22名をそれぞれ選出した。11月5日に東京・池袋の武蔵野調理師専門学校で行われた三次審査では、初の一般公開となる「学園祭審査」を実施。シルバーエッグ22名に敗者復活戦を勝ち抜いた3名を加えた総勢25名が、「旬のアミューズ」をテーマに模擬店を出店し、事前に募集した180名の一般来場者にオリジナル料理を提供。料理技術、コンセプト、来場者への接し方などを含めた総合的な審査となった。
この三次審査を勝ち抜いた5名がファイナリスト「GOLD EGG(ゴールドエッグ)」に。その日の夜、5名に告げられた最終審査のテーマは、熊本・天草で昔ながらの技法で塩を生産している松本明生氏と面談し、「“天草の塩”をテーマにしたレストランのスペシャリテ(看板料理)」を、翌11月6日に披露することだった。考える時間は一晩限り。しかも、築地市場での買い出しから仕込み、調理までを限られた持ち時間で1人で行う過酷な内容。赤井氏は、天草の塩だけで味付けした鴨肉のローストに、牡蠣を添えた渾身の一品で、見事、栄冠を手にした。
「一次審査と二次審査のときはフランスにいて、三次の学園祭審査までずっと1人で苦しい戦いでした。でも、最終審査は『1人ではない、松本さんという素晴らしい生産者と一緒に戦える』と思うことができ、とても心強かった」と語る赤井氏。松本氏も「赤井さんが『松本さんと一緒に(料理を)作ることができる』と言ったとき、何か通じ合うものを感じた」と受賞を祝福していた。
同日夜に東京・日本橋の日本橋三井ホールで行われた授賞セレモニーでは、審査員の1人である作曲家・千住明氏による「RED U-35」のテーマ曲「Challengers」が生演奏で初お披露目され、若き料理人たちの奮闘といっそうの活躍にエールが送られた。
脇屋 友詞(Wakiya 一笑美茶樓 オーナーシェフ)
落合 務(LA BETTOLA オーナーシェフ)
田崎 真也(ソムリエ)
徳岡 邦夫(京都 吉兆 総料理長)
千住 明(作曲家)
辻 芳樹(学校法人辻料理学館 辻調理師専門学校 理事長・校長)
鎧塚 俊彦(Toshi Yoroizuka オーナーシェフ)
狐野 扶実子(料理プロデューサー)
生江 史伸(レフェルヴェソンス シェフ)
黒木 純(くろぎ 主人)
総合プロデューサー
小山 薫堂(放送作家)