2024/01/09 繁盛の法則

ファストフードスタイルを採り入れたハンバーグとオムライスの専門店とは

オムライス専門店「神田たまごけん」の展開を始めた株式会社TGKが、オムライスと鉄板ハンバーグを組み合わせた新業態として「肉とたまご」を2023年1月25日に東京・新宿3丁目にオープン。手作り、出来たてを徹底することで連日、ウエイティングができるほどの人気店となっている。

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肉とたまご 新宿店

Key Point

  1. ハンバーグとオムライスを合わせた独自の商品を開発
  2. 店内で手作りした、出来たての料理を提供
  3. 都心部での直営店出店に加え、地方でのFC展開も開始

唯一無二のオムライス専門店のチェーン展開を目指して起業

「ラーメンやカレーライスの専門店はたくさんあるのに、なぜオムライスの専門店はないのか」という疑問から、オムライス専門店「神田たまごけん」の展開を始めた株式会社TGKが、オムライスと鉄板ハンバーグを組み合わせた進化形の業態として「肉とたまご」を開発した。

1号店は東京・新宿3丁目に2023年1月25日にオープンした新宿店で、飲食店街の角地のビルの1階にあり、わずか6坪11席という小規模店である。早くも店の横に常にウエイティングができている人気店となっているが、比較的回転が速いので、あまり苦にせずに並んで待つリピーターが多い。

オムライスというと、チキンライスを玉子で包んで仕上げるタイプ、チキンライスの上にオムレツをのせるタイプなどがあるが、「神田たまごけん」では、強火で素早く、ふんわりと仕上げた玉子焼きをチキンライスの上にかぶせるスタイルとしている。見た目はカジュアルだが、オーダーを受けてからチキンライスを炒め、玉子焼きを作るという、手作り、出来たてを徹底することによりファンを増やしてきた。

新業態の「肉とたまご」では、外食店で根強い人気のあるハンバーグをもう1本の柱とし、肉、卵、チーズなどで、栄養価の高い主力商品を作り出している。ハンバーグは、牛肉と豚肉を7対3で配合した合い挽き肉に、牛脂、卵、炒めたタマネギ、パン粉、スパイス類を店内で加え、1枚150gに成形する。ハンバーグを焼き上げるのに約7分かかるため、商品の提供時間も「神田たまごけん」よりは長い。また、野菜類もきちんと摂れるようにと、「神田たまごけん」ではピクルス、「肉とたまご」ではコールスローを用意し、お替り自由で食べられるようにしている。

一番ベーシックな商品であり、かつ人気のある「鉄板ハンバーグオム(150g)」(1,390円)で、スープ付きで提供。チーズ、唐揚げ、ソーセージ、ハンバーグなどの追加により、好みのバリエーションを楽しめる。ライスは、神田たまごけんでのチキンライスと差別化し、ニンニクとしょう油を加えて香ばしく仕上げたバターライスとしており、同一価格で小盛り150g、普通盛り200g、大盛り300gを選べる。卓上に置かれたコールスローは食べ放題で、店内でオリジナルの調味液で仕込んでおり、クミンを利かせたカレーのような風味が食欲をそそる

都心ではエリアごとに知名度を上げ、将来的には海外進出を目指す

「神田たまごけん」の創業は2007年9月にさかのぼる。創業者の安藤隼人氏は1980年東京生まれで、大学卒業後、ホテル開発、カラオケ事業、アミューズメント施設などを運営する会社に就職した。まずカラオケ事業のキッチンに配属され、フレンチのシェフの下で修業したことから飲食業に興味を持ち、3年半在籍した後、2007年に職場の仲間とともに、東京・神田司町にオムライス店の「神田たまごけん」を開業した。創業地にちなんで神田を冠した店名とし、昼はオムライス、夜はパスタやピザも提供する洋食ダイニングという、いわば二毛作の形態だった。

2011年1月に2号店の東池袋店を出店し、ここから券売機の導入やクイックな商品提供などでファストフードスタイルを確立していった。同年6月に神田店を閉店し、10月に株式会社TGKを設立した。同社のビジョンとして「オムライスを世界に広める」「オムライスで幸せを拡げる」「オムライスの地位向上」と掲げており、1人でも気軽に立ち寄れるようなオムライス専門店の展開を推進してきた。2023年末現在で、直営店として東池袋店、秋葉原店、池袋WACCA店、西新宿店と、「肉とたまご 新宿店」の計5店舗、フランチャイズ(FC)店として、都内に高円寺店、神保町店、福岡に福岡天神店、福岡大名店の計4店舗を経営している。

各店の客数や店舗数が増えるにつれ、安定した商品を提供するためのオペレーションも改善を続けてきた。たとえばメイン食材の卵は、1店舗で1日30kg前後、池袋WACCA店では週末ともなると80~100kgを使用するため、店内で卵を割るだけでも重労働になることから、現在は専門業者に依頼し、毎朝、卵を割った液卵を真空パックにして届けてもらっている。1人前に120ccを使用し、調味はせず、マーガリンを多めに使って塩味を加えながら、ふんわりした卵焼きに仕上げるのが特徴である。

メインターゲットは若い女性で、「肉とたまご 新宿店」では女性が6割ほどを占め、また2023年5月以降は外国人観光客の増加が顕著で、約3割を占めるほどになっている。また、最近の原価の高騰を受けて値上げも余儀なくされており、現在の客単価は1,450~1,500円で推移している。

同店がオムライスとハンバーグを2本柱とする専門店として、ファストフードスタイルを採り入れたオペレーションで支持を獲得している要因は以下のようになるだろう。

  1. ハンバーグとオムライスという、人気アイテムを合わせた独自の商品を開発している。
  2. 店内で手づくりした料理を、出来たてで提供している。
  3. 都心部での直営展開に加え、郊外や地方都市でのFC展開も開始している。

2024年3月には、同じく新宿東口エリアで、同店から400メートルほどの至近距離にあるビルの地階に、「肉とたまご」の2号店を出店する予定である。

「池袋エリアでは、東池袋店と池袋WACCA店の2店舗で知名度を上げてきたので、新宿でも同様に『肉とたまご』2店舗、『神田たまごけん』1店舗で認知度を上げていき、その次は渋谷というように、都心ではエリアごとに着実に展開していく予定です。将来的にはオムライスとハンバーグというこの2業態で、海外出店も目標にしています」と、エリアマネージャーの森本康太氏は語っている。

肉とたまご 新宿店
住所
東京都新宿区新宿3-34-3 第31東京ビル 1F
TEL  03-5990-2946
営業時間
11:00~22:00(LO.21:30)
定休日
無休(年末年始に休業日あり)

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