人時売上高は5,000円が合格ライン - 繁盛の黄金律 -

2013/06/28

神山 泉の繁盛の黄金律

Vol.22
今回の黄金律
人時売上高は5,000円が合格ライン

正確な売上高(客数)予測を前提に数字を想定する

 1人の従業員が、1時間にいくら稼ぐか。これを「人時売上高」といいます。そして、これが飲食業の収益力を測るモノサシです。売上高を全労働時間で割れば、はじき出されますね。

 この場合、時給の多い少ないは関係ありません。店長の時給はベラボーに高いでしょうし、今日入ったパート・アルバイト(PA)の時給は800円前後だと思います。しかし、店長も、正社員も、PAも関係なく、全従業員の労働時間で計算します。あなたの店の数字をチェックしてみてください。これが5,000円を超えていたら優良店です。6,000円を超えていたら高収益店です。3,000円以下ですと、あまり儲かっていない店です。ちなみに、これに粗利益率をかけると、「人時生産性」になります。人時売上高が5,000円で粗利益率が70%だとすると、人時生産性は3,500円ということになります。

 人時売上高は店長を評価するための基準になります。粗利益率は会社が決めることですから、人時生産性よりも人時売上高を店長の評価基準にしてよいのです。では、その人時売上高が5,000円の店長よりも、6,000円の店長のほうが偉い? 実はそんなことはありません。使う人間を少なくすれば、数字は上がりますが、当然店のレベルは落ちます。調理人を減らせば料理の質が落ち、提供時間も遅れます。フロア人員を減らせば、サービスの質が落ちます。当然、評判はガタ落ち、お客様の数は減少していきます。

 ですから、評価は想定の数字にどれだけ近接しているか、その差異の小ささで出されなければなりません。そのためには、売上高の正確な予測数字が存在していることが前提です。そして、その予測に基づいてワークスケジュールを立てなければなりません。また、食材の準備、下ごしらえも必要です。

 店長の仕事は準備業です。その前提になるものは、正確な売上(客数)予測です。しかもこの予測は、時間帯別で作られていなければなりません。店長は「ワーカー」ではありません。「マネージャー」と言われるくらいですから、マネジメントができなければいけません。マネジメントとは、人を使って店をもっとも機能的に作動させることにほかなりません。

利益を出しやすい店舗の、標準店があぶりだされる

 経営者は、単純に高い人時売上高を実現した店長を評価してしまいがちですが、これはいちばん危険なことです。先に言ったように、少ない(少なすぎる)人員で店を回して高い数字を獲得している場合もあるわけですから、その場合、そのシワ寄せは、劣化したサービスという形でお客様に押し付けられているのです。適正な労働時間を確保している店長をこそ、いちばん評価しなければなりません。

 ただし、ジワジワと人時売上高を上げている店長は、きちっとマネジメントができているのです。最初は多めの労働時間を投入する。そこから正社員、PAを訓練していき、トータルの戦力を高めます。労働時間は絞り込まれていき、なおかつ商品力・サービス力は上がり、客数も上昇トレンドを維持します。まさに理想形ですね。少数精鋭の部隊づくりということになりますが、このプロセスで人時売上高が上がるのは、店長のマネジメント力の勝利なのですから、これはいくら高く評価してもしすぎることはありません。

 ダメな店長の店は、瞬間風速でいい数字を出しても、売上が下落しますから、結果的に人時売上高も落ちていきます。 客数を伸ばす力があれば、人時売上高は自然に上がっていくということですね。

 もうひとつ。同業態で、同じ規模の店を複数持っている場合、人時売上高を用いて収益性の高い店舗の標準店をあぶりだすことができます。何坪で何席の店で、どういうレイアウトの店が、いちばん利益を出しやすいか。カウンター席はあったほうがいいのか。キッチンスペースと厨房機器の配置は? 自店の理想形がわかってきます。収益が確実に出る店を作るためにも、人時売上高による店舗比較が必須になるということです。

 それから、優秀店長の経験は、会社全体で共有化しなければもったいないですね。店長会議で改善のプロセスを発表してもらうのです。その店長自身も、発表という機会を通じて、無意識で行っていた改善を意識化することができます。これが会社の財産になるのです。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
株式会社エフビー 代表取締役
神山 泉
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

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