ユニフォームの着用/調理前の手指洗浄
1.きれいなユニホームの着用
見た目がきれいだから衛生とは限らない。店のルールを定め、適用範囲を決める!
キッチンに入る以上、お客様に不快感を与えない清潔感ある服装は最低限の義務。ただし、見た目がきれいでも安心はできない。
「衛生的というのは本来、細菌などが付いていない状態のこと。一見目立たなくても、細かい料理のしぶきやシミなどを一晩放置しておくと、菌は飛躍的に増殖してしまいます。せっかくのユニフォームが、食中毒のリスク要因になってしまっては本末転倒。これを防ぐためにも、厨房で身につけたものは毎日洗濯するのが基本です。その際、80℃以上のお湯を用いるのがベストですが、それが難しい場合でも、殺菌効果のある漂白剤を併用するなど、店としてのガイドラインを設けてください」(安藤氏)。
コストの都合上、お店によっては社員・アルバイトが各自で持ち帰って、ユニフォームを洗濯するというケースも少なくないだろう。その場合、下着などの汚れ物と分けて洗うことが鉄則。「汚れている可能性のあるものを厨房に持ち込まない」という原則は、ここでも変わらない。
「細菌は体の表面にも存在しています。それが食品に移るのを防ぐのも、ユニフォームの役目。髪の毛が落ちないように帽子を着用し、皮膚などが混入しないよう、袖口を絞った長袖の上着を着用するのがベストです」(安藤氏)。
汗を抑えるためのサポーターやバンダナなども、洗濯を忘れがちなので要注意だ。また、清潔に保ったユニフォームを着たまま外出するのも御法度。店の中でどこまでが厨房なのかを明確に定め、それ以外のエリアに出入りする場合には、何かを羽織ったり、着替えるというルールを決めておきたい。履物についても、考え方は同じ。1つの靴でキッチンとホール、トイレを行ったり来たりするなどは、もっての外だ。
2.調理前の手指洗浄
夏場にも増えているノロウイルス中毒。正しい手洗いで二次汚染を防止する!
私たちが日々、何気なく行っている手洗い。飲食店の現場では、この当たり前の行為よりを小まめに、正しいやり方で徹底することが何より重要だ。食中毒を防ぐ手段は、究極的には手指洗浄に辿りつくと言っても過言ではない。
「入店した時、始業のタイミング、調理前後、休憩前後、トイレに行った後、生ものの食材に手で直接触れたとき、ゴミなどを扱った際などには、面倒でも必ずそのたびに手指を消毒してください。これにより、様々な汚れが食品に付着する二次汚染を防止できます」(安藤氏)。
やり方は非常にシンプル。まず温水でざっと汚れを落として、液体石鹸で爪、指間、親指、手首、手の平・甲などをていねいに洗う。
「厨房に入る従業員は、手の平側から見えない程度に爪を切っておきます。爪の隙間に入り込んだ細かいゴミなどは、専用の爪ブラシを用いると効果的。洗い終えたら温水できれいに泡を流し、最後に消毒剤をつけてこすります。この手順を2度繰り返したら、使い捨てタオルを2枚使うなどして水気を拭き取りましょう。乾燥機を使用する場合は、機種によってはウイルスや細菌が飛びやすいので注意が必要です」(安藤氏)。
洗浄前には指輪、ブレスレットなどのアクセサリー類は外しておく。手の平だけでなく手首の汚れまでよく落とすのもポイントだ。また、指先の汚れを食品に付けない意味で手袋は有効だが、洗浄のルールが守れていない場合には、その手袋自体が細菌・ウイルスの媒介になりかねないということも頭に入れておこう。
「前述のように、近年は夏場にノロウイルスが流行し、冬場にも細菌系の食中毒が起こるケースが増えています。手洗いの重要性はどんなに強調しても足りないほどです」(安藤氏)。