2015/07/28 特集

飲食店が知っておきたい2015年上半期トピックス(3ページ目)

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INTERVIEW 2015年下半期に向け飲食店が取り組むべき課題とは?

食材高騰への対策と人材確保。緻密な作戦と大胆な転換を!

キーワードは「利益確保」。宴会販促にも工夫を

2015年の下半期。長期的な視点で2つの重点課題があると考えます。

1つは食材原価の高騰への対策です。「Topic4」でも述べたように、飲食店としては、無理に利幅を圧縮すると、経営破綻につながりかねないため、原価の高騰分を売価に乗せざるを得ない状況です。

売価を上げても、客数が維持できているか利益が落ちていなければ、安心といえます。また、仮に客数が減っても、数カ月で回復すれば大丈夫ですが、こればかりはやってみなければわかりません。売価アップ後の来店客の動向を注意深く見守り、必要な時期に必要な手を打たなければいけないのです。

大切なのは、単に売価アップをするのではなく、付加価値を付けて満足度を上げる、安くて魅力のある食材を調達する、利幅の大きい食材と組み合わせて売価を調整する、表現方法・提供方法を工夫して引き付けるなどの緻密な作戦を重ねること。

2年後の春には消費税の増税が待っています。増税直後は消費が落ち込むのが明白ですから、客数が減ったまま、あるいは利幅が圧縮されたままで迎えるのは危険です。今のうちにしっかり体力をつけておきましょう。

もう1つの重要な課題は「人」です。人手不足は深刻で、求人しても応募がなく、店が開けられない、出店できないという事態も稀ではありません。

私は抜本的で大胆な対策が必要だと思っています。その要は2つ、「新卒採用」と「休日の確保」です。

大手はもとより、中小の飲食店でも新卒採用を考えるべきです。新卒者は企業文化を受け入れやすく、給与単価も割安です。それだけでなく、新卒採用に踏み出すことで、会社側は人材教育のあり方、コミュニケーションのとり方、さらには社風までトータルに見直す機運が生まれます。新卒者を戦力に変え、定着させる取り組み自体が社の構造を変える起爆剤になるのです。

休日の確保も同様です。現在の飲食業界には「不人気業界」のイメージがあるので、大胆に週休2日を目指す改革が必要です。待遇さえ改善されれば、飲食業界で働きたい人は少なくないのですから。まず「休日を確保する」と決めてしまえば、それに基づいて店舗運営の抜本的な改革が始まるはずです。

2018年からは、18歳の人口が急激に減り始めると言われています。人材確保は後手に回りがちですが、このまま2018年を迎えたら、企業の存立基盤を脅かしかねません。すぐにでも始めるべき重要課題なのです。

短期的には、12月の繁忙期を最大化することを目標に、9月前半までにメニュー開発をしておくことが重要です。ポイントは「利益確保」。昨年のメニューを踏襲してしまうと、食材原価高騰のあおりで、利益減は免れません。

そこで強みを発揮するのは、ワンストップ(一回の来店)で様々なニーズを満たす店だと考えます。「刺し身が看板だが、もつ鍋もおいしい」「フグ専門店だがカニも食べられる」などです。

また、宴会予約のとり方にも工夫が必要です。大人数の団体が減り、少人数化の傾向が顕著で、彼らは自ら料理を選びますから、特徴のある魅力的なプランがますます求められています。

景況感は悪くないと見ていますから、ぜひ緻密で大胆な作戦を駆使し、下半期に臨んでほしいと思います。

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