2024/05/07 繁盛の法則

「立呑み さぁいこうか!! 自由が丘店」(東京)野菜巻き串を主力に気軽な利用を誘引する、駅前立地の立ち飲み店とは

東京・自由が丘の北口改札を抜け、徒歩1~2分ほどの「立呑み さぁいこうか!! 自由が丘店」は、昭和の雰囲気が残る繁華街にある、わずか7坪ほどの小規模店だ。2024年1月にオープンして以来、月間約1,500人が来店する盛況ぶりで、早くもリピーターを獲得し、知名度を高めている。

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繁盛の法則 3カ条

  1. 野菜類を肉で巻いた野菜巻き串で差別化
  2. 仕込み作業でパートや障害者の雇用機会を創出
  3. オーダーにQRコードを導入しつつも、明るい接客で居酒屋らしい雰囲気を演出

人の可能性を引き出す仕事を志し、教員経験を基に飲食事業を展開

野菜類を豚バラ肉で巻き、串に刺して焼く野菜巻き串をメインとする「立呑み さぁいこうか!! 自由が丘店」は、駅から徒歩1~2分の繁華街という好立地にあり、気軽に立ち寄る利用を誘引しながら認知度を高めている。オープンは2024年1月11日で、7坪約15人の立ち飲み店だが、月間約1,500人が来店しており、リピーターも増えている。

経営者の逆井 真(さかさい まこと)氏は、1988年千葉・野田市生まれで、大学卒業後の5年間は、千葉・松戸市の中学校で保健体育の教師をしていた経験を持つ。逆井氏は、「教員を目指した理由と、今の仕事は、自分としては一貫性があると思っていまして、人の可能性を引き出すような仕事をしたいのです」と語る。

逆井氏がやりたいという仕事は3つあり、1つ目は学校講演を行って、子供たちの可能性を引き出す。実際に、小中高に出向き「言葉の力」と、「習慣の力」という60~90分の講演を、学校や学年に合わせながら行っている。2つ目が少年院や刑務所からの出所者の就労支援で、今は準備段階にある。3つ目が障害者の就労支援で、すでに野菜巻き串の仕込み作業に障害者が携わっている。逆井氏はこの3つの仕事を関連させながら実現するためには、飲食業が一番やりやすいのではないかと考えた。

また学生時代に、熱気あふれる朝礼を公開で行い、全国的な知名度をもつ居酒屋「てっぺん」の創業者であり、現在は株式会社てっぺん取締役会長の大嶋啓介氏の講演会を聞く機会があった。さらに教員1年目に勤務した中学の野球部で同様の朝礼を採り入れている様子を見て、「てっぺん」の影響力の大きさを実感した。自身でも高校、大学時代に学費を稼ぐために飲食店でアルバイトをした経験があったことから、逆井氏は転職を決意し、2016年に「てっぺん 自由が丘店」に入った。ちょうど直営店から、薄田典靖(すすきだ のりやす)氏の独立店舗となるタイミングであり、薄田氏が設立した株式会社DLEの社員となった。

DLE在職中に同社の業績拡大に貢献した逆井氏は、代表取締役社長に抜擢されたほどだった。同社の飲食事業では新業態の開発に関わり、野菜巻き串を主力商品とする「薄田商店」(14坪32席)を2019年11月に東京・学芸大学に出店した。しかし、その後のコロナ禍の影響により、「てっぺん 自由が丘店」は直営店に戻すことになり、2022年6月に逆井氏が独立して「薄田商店」の経営を引き継いだ。なお、現在DLEでは理容事業とセミナー事業を継続している。

QRコード等を導入する一方で、昔ながらの居酒屋の良さを重視

手前左が「極上トロレバー」(528円)で、毎朝届く鹿児島産銘柄鶏さつま純然鶏のレバーを低温調理器でとろとろの食感に仕上げたもの。右が「野菜巻き おすすめ3本セット」(825円)で、右の芽キャベツ巻き、中央のじゃがバタ巻きと、その日の1本(写真では左のレタス巻き)を提供する。薬味は手前が練りからし、奥が紅ショウガみそ。左はお通し的なキャベツサラダで、キャベツ、チキンラーメン、刻みノリを盛り、塩ベースのドレッシングをかけたもの。ドリンクは、お茶専門店に調合してもらった濃厚な玄米茶パックを入れた「濃厚玄米茶ハイ」(528円)で、500mlの大ジョッキで提供する

野菜巻き串は、競合店が少なく、焼き鳥ややきとんと比べてヘルシーなイメージがあり、罪悪感なく食べられ、女性に人気があることから選んだ商材である。逆井氏はこの野菜巻き串を仕組み化し、さらに展開していこうと、2023年7月に「酒場 さぁいこうか!!  元住吉店」(14坪35席)を出店した。現在はこの元住吉店にセントラルキッチンの機能を持たせ、自由が丘店を含めた3店分の野菜巻き串の仕込みを、パートスタッフと障害者スタッフが担っている。

自由が丘店は、もともと立ち飲み店だった居抜き物件をほぼそのまま使い、1~2人で稼働できる体制としている。客単価は2,500円と、着席型の学芸大学店・元住吉店の3,500円より低い。さらにお客様の男女比でも自由が丘店は男性が6割を占め、女性客が7割ほどという他2店との違いがある。

フードは約60品目、ドリンクは約40品目と豊富にそろえるが、自由が丘店では短時間での利用を想定し、30分飲み放題つきの「サクッと、いこう!! セット」(1,650円)、70分飲み放題つきの「さあいこうか!! セット」(3,465円)も用意している。また、卓上に用意しているQRコードからオーダーした場合は3.15%引きとし、約7割のお客がQRコードを利用している。その一方、昔ながらの居酒屋の良さを大切にしたいと、丁寧な商品説明や食べ方のアドバイスなども交えた明るい接客で、楽しく活気ある雰囲気を作り出している。また当面は現金のみでの会計とし、アナログな部分も残していく考えだ。

同店が野菜巻き串というヘルシー感覚の商品で差別化しながら、飲食店としての運営に加え、障害者の就労支援なども含めた独自の事業展開で支持されている要因は、以下のようになるだろう。

  1. 野菜類を豚バラ肉で巻いて串に刺して焼く、野菜巻き串をメインに打ち出している。
  2. 仕込み作業はセントラルキッチンで一括して行ない、パートスタッフや障害者の雇用機会を創出している。
  3. QRコードでのオーダーシステムの導入と同時に、きめ細かく明るい接客で、昔ながらの居酒屋らしい活気ある雰囲気を演出している。

「障害者の方たちも、仕込みだけではなく、店舗での掃除やテーブルセッティングなどの業務を担ってもらえれば、店長や社員の業務の効率化や労働時間の短縮にもつながります。就労支援とのバランスや相乗効果も考えていきますので、飲食店だけの展開スピードとは違いがあると思いますが、2024年中にはあと2店舗出店したいと考えています」と、逆井氏は述べている。

(Text and shop photo by Food Biz, )

立呑み さぁいこうか!! 自由が丘店
住所
東京都目黒区自由が丘1-13-10 山田ビル 1F
TEL 03-6459-5956 
営業時間
17:00~24:00(LO.フード23:00、ドリンク23:30。土日祝12:00~)
定休日
無休

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