2015/02/24 特集

ダメージを残さないクレーム回避&対処術(3ページ目)

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来店客からのケース別クレームの回避・対処法「物への怒り」を「人への怒り」に変えない“初動”を意識

発生させないための情報共有と発生時の情報共有を

では、具体的にクレームを未然に回避する方法、出てしまったときの対処法を押さえていこう。

まず、来店客による靴や傘の取り違え、忘れ物などは、直接的な店のミスとはいえないが、対応を間違えると思わぬクレームに発展するので注意が必要だ。例えば、客の忘れ物を放置したり、保管したとしてもスタッフ間でその情報を共有していなかったら、探しに戻った人に迷惑をかけることになり、"怒り=クレーム"になりかねない。

「お客様の様子をよく見て、スタッフからお客様へ適切な声かけをすることで、取り違えや忘れ物は減らすことができます。また、仮に起こったとしても、情報を共有していれば、適切な対応ができ、かえって好印象につながることもあります」(白岩氏)。

実は、スタッフから来店客への声かけ(=コミュニケーション)は、飲食店の大敵であるサイレントクレームをも防止する、確かな力になるのだ。「店の中でクレームを言ってくれるお客様はむしろありがたい存在。怖いのはクレームを持ち帰ってネットで流したり、口コミで広げたりされることです」と白岩氏。悪い印象を持ち帰らせないために、「今日のお料理、いかがでしたか」などと、何かしら店側から声をかけるのが効果的だという。なぜなら、たいていの客はその場で感想を言ってくれるからで、「いい感想ならうれしいですし、ネガティブな感想でも店で吐き出せば、ネットへ書き込む可能性はぐっと下がります」(白岩氏)。

最後は、飲食店にとって最大のクレームとなる異物混入の未然回避だ。まず、異物混入を起こさないためには、日ごろの衛生管理の徹底が不可欠。「特に厨房スタッフはお客様と直に接する機会が少ないので、危機意識が育ちにくい」と白岩氏。対策としては、「最近の異物混入事件のネット画像などを積極的に共有して、危機感を刺激し、慣れを起こさない努力が大事」と話す。

でも、万が一、異物混入が起こってしまったら!? 「この世が終わったような悲壮な顔で、まず、お客様に謝ってください。初期対応を間違えると、まさに“物への怒り”が“人への怒り”に変わり、容易には許してもらえなくなります」。言葉での謝罪はもちろんだが、それだけでは不十分。「表情や態度で“起こしてはいけないことを起こしてしまって申し訳ない”という気持ちを伝えることが大事なのです。そのうえで、写真や動画を撮られないように、自然に商品を下げましょう」(白岩氏)。また、商品を取り替えるか返金するかは、店が決めるのではなく、客に決めてもらう配慮も必要だ。いずれにしても「人への怒り」に発展させないように、一丸となって取り組む姿勢が大切だ。

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