2018/10/09 特集

接客の心得やスタイルに迫る! できるサービスマンはここが違う(3ページ目)

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お出迎えを重視し、接する回数を増やしておもてなしを表現

【東京・二子玉川】CHICAMA(チカマ)

「ファーストインプレッションがもっとも重要」というのが、高橋氏の持論。エントランスでは2名体制でお出迎えをする

キッチンと連携して適切なタイミングで料理を提供

東京の二子玉川駅から徒歩1分のビル3階に、2017年4月オープンした「CHICAMA」。ピッツァやパスタといったイタリアンをメインに、ジャンルの枠にとらわれないメニューを提供し、人気を集めている。

株式会社MOTHERSでマネージャーを務める高橋佑輔氏は、同社が掲げる社訓「上質なお出迎えとお見送りでお客様をもてなす」を基本とした接客を体現している。なかでも高橋氏は「お出迎えがもっとも大事」と語る。「お客様は期待を持って、来店してくれています。それなのに、誰もお出迎えしなければ、それだけで店の印象は大幅に下がってしまう。それを防ぐために、エントランスにはホールとキッチンスタッフを1名ずつ配置。2名体制にしておけば、ホールスタッフがお客様を案内している間に次のお客様が来ても、キッチンスタッフが対応できます」(高橋氏)。

来店客目線の細やかな心配りは、迎え入れた後のホールでの接客にも活かされている。「ホスピタリティを考えるうえで、“気が利く”ことを大事にしています。例えば、『寒いからブランケットがほしい』というニーズを、言われてから気づくのではなく、寒そうなしぐさを見たら、察してブランケットをすぐに渡すことが大切だとスタッフに伝えています」と高橋氏。また、おもてなし感を高めるため、来店客と接する回数を意識的に増やしている。あえて、荷物カゴを各テーブルにセットせず、席に着いたら「お荷物入れにお使いください」と、カゴを差し出す。オーダーでは、注文用の端末機器は使わず、来店客の目を見て対応。「目を合わせる時間は3秒以上としています。お客様が『スタッフが自分にきちんと向き合ってくれている』と感じていただける目安です」(高橋氏)。

オーダーを取ったら、店内数箇所にある注文システムの端末を設置したバッシングステーションで注文内容を入力する。その際、例えば会話がはずむ女性グループなら、「前菜2品のみ先に提供し、その後はスタッフがOKを出したタイミングで料理を提供する」、ファミリーであれば「子どもが飽きないように次々と料理を作って運ぶ」など、料理の順番や提供するタイミングをキッチンに指示。ホールスタッフが担当テーブルの適切なタイミングを見極め、料理の提供をコントロールする。デシャップとバッシング担当のスタッフが料理を運ぶため、ホールスタッフは担当テーブルや来店客の様子を注意深く見ることができるとともに、オペレーションも効率的になった。

これらのノウハウやオペレーションは全スタッフに浸透するよう、高橋氏がロールプレイングで指導したり、料理の知識を養うためにペーパーテストを実施するなどして、日々研鑽を続けている。システマチックでありながら、根底に流れるのはホスピタリティにあふれる想い。「自分で考え、行動に移してすぐに反応をもらえるのが飲食業。いろいろなことに挑戦していけば、次のステージが見えてくるはずです」と高橋氏は若いスタッフに向けて語る。

来店客の目をしっかりと見て言葉を交わし、ていねいにもてなす。180席という大箱ながら、利用シーンに合わせた接客を実践
注文システムの端末を設置したバッシングステーション。客席の様子をここから注意深くうかがう
端末にオーダーを入力すると、料理の提供順やタイミングの指示が書かれた注文シートが出てくる。このシートと客席の状況を見ながら、適切なサーブを行う
自慢のピッツァは、国産の小麦粉を使用。提供時には、使用している食材の紹介も行う
株式会社MOTHERS  マネージャー
高橋 佑輔氏2010年に入社し、2013年「MOTHERS 東大和店」の店長に。その後、系列店の店長を経て、2018年2月より「CHICAMA」のマネージャーに就任。接客のほか、マネジメントも行う。
CHICAMA
東京都世田谷区玉川2-24-1 Q plaza 二子玉川3F
https://www.mothersgroup.jp/shop/chicama_cafe.html総席数180の洗練された広々とした空間。昼は近隣の主婦が中心で、夜はカップル、女性グループ、周辺企業の会食などの利用が多い。休日はファミリーも多く来店する。

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